先輩パパとママの毎日コラムvol.22

from baby「人の数だけお産がある(後編)」

2016/6/21
from baby「人の数だけお産がある(後編)」 from baby「人の数だけお産がある(後編)」

ドイツ人の夫と愛娘・スーちゃんと3人で暮らす酒井咲帆さんによる、出産&子育てコラム。

お産の2ヵ月前から「異常はないけど、子宮口が開いている」と病院の先生から告げられ、さらに「病院か助産院どっちで産みたい?(病院で産みたいなら仕事続けていてもいいけど、自然分娩したいなら仕事今すぐ止めなさいという意)」と私に言った。それまで悪阻もなかったので仕事もしっかりこなしていたけど、それがよくなかった。赤ちゃんを産むということがどういうことなのか、しっかり命の重みを受け止めなさいと叱られているようだった。

37週を超え、自然分娩ができることがわかってから、助産師さんとの最初の面談のことを思い出した。運動をしなさい、食事の質を見直しなさい、といろいろ助言をいただきつつも、実践しようとすればするほど、あたりまえに産むことの難しさを実感した日々でもあったなと。それは命の尊さをあらためて感じる日々でもあった。

助産院周辺

お産の当日、朝からウォーキングで汗を流していた。夕方、陣痛がきてから、前祝いにとお寿司をほおばり(体力をつけ、お産を楽しむためにも)、お風呂にも入り、夫が運転する車に1時間30分揺られ(陣痛も促進され)、助産院に向かい、着いて2時間、明け方に産まれてきた。安産だった。日常の延長線上にあるようなお産だった気がする。

六畳一間の薄暗された灯の部屋で、たまたま一緒になった方のお産も体験することになった。陣痛が苦しい中、互いに声をかけあってお互いのお産を見守り合い、隣で生まれる瞬間を見たときは自然に涙がこぼれた。どんな流れにも逆らわずに全てを受け入れ、また、受け入れてもらいながら過ごした日々が本当に心地よかった。きっと今の子育てにもつながっているんだろうと思える。

産まれたばかりの赤ちゃん

お産は多くのことを気づかせてくれる。その1つ1つのメッセージに丁寧に耳を傾けられれば、きっと自分にとってプラスに働いてくれるように思う。人の数だけお産があり、それはどれも否定されるものではない。これからも増え続けるそのストーリーが、産む人はもちろん、生まれてくる人にとっても、大切なものであるようにと願う。

沐浴
酒井咲帆

PROFILE

酒井咲帆このライターの記事一覧

写真家・ALBUS代表。2009年まで九州大学USI子どもプロジェクトの一員として「子どもの感性」を育める居場所づくりを行う。09年に写真屋『ALBUS(株式会社アルバス)』を福岡市中央区警固に設立し、写真現像・プリント・撮影・企画などを行いながら、写真屋とは何かを日々実践中。2015年にスー(娘)が誕生、ドイツ人の夫と3人暮らし。著書『いつかいた場所』(2013)/展覧会『神さまはどこ?』太宰府天満宮(2014)、『いつかいた場所』水戸芸術館(2011)、福岡県立美術館(2014)
http://www.albus.in/

(制作 * エチカ)

RELATED 関連情報はこちらから

RANKING アクセスが多い記事をランキング形式でご紹介。

妊娠・出産・育児は、
わからないことがいっぱい。
悩み過ぎず、自分のペースで
行える育児のカタチを紹介していきます。
コモドライフとは?