イマドキ育児を徹底調査!ピジョン育児イマLABOvol.8

家事ジャーナリスト山田亮さんが思う、「ズレ家事」、「ズレ育児」とその対処法とは・・?

2020/12/3
家事ジャーナリスト山田亮さんが思う、「ズレ家事」、... 家事ジャーナリスト山田亮さんが思う、「ズレ家事」、...

最近は夫婦で協力しあって家事・育児に取り組むというご家庭が増えてきました。その中で新たに聞くようになったズレ家事・ズレ育児というお悩み。イマドキ夫婦の家事育児に対する取り組みの中で生じる夫婦間のズレとは。家事ジャーナリストとして活躍する山田亮さんに、ズレ家事・ズレ育児とは何か、そして、どうアプローチすればいいのかをお聞きします!

『ズレ家事・ズレ育児』とは?

――ズレ家事・ズレ育児とはどういうものなのでしょうか?また、ズレがあることによって夫婦間のコミュニケーションや夫婦生活にどういうことが起こるのでしょうか?

山田さん
2人以上で取り組むと必ずズレが生じるものですけど、認識のズレから行動のズレ、結果のズレが起こる。認識・行動・結果のズレをひっくるめてズレ家事、ズレ育児といっていいのではないかと思います。

――実際に思っている認識、というだけでなく、結果として行動につながり、夫婦間のコミュニケーションエラーにもつながる、そういう一連のことがズレ家事・ズレ育児ということですね。

データから見る『ズレ家事・ズレ育児』

――今回、1才未満の子どもを持つ共働きの20代から40代の夫婦を対象に調査をした結果、どちらかがメインで家事育児をするシュフ型が8割、1つの家事育児を分担するシェア型が約2割という結果が得られましたが、これについてどう思われますか?

グラフ画像1

山田さん
シュフ型の中にも、かなりシェア型に近い人がいるのではないかな、と思っています。
こういうアンケートって、家事育児に関して意欲的な人たちが答えがちだと思うのですが、それを差し引いてもずいぶん進んでいるな、という印象ですね。

――家事・育児の分担の満足度はともに約8割以上となっており、ほぼほぼ、みなさん今の分担状況に満足している、というところですね。

グラフ画像2

山田さん
もろ手を上げて100%満足、というよりは、まあこんなものかな、という方も含まれているかとは思います。
ただ、「満足している」という表現をすること自体がこれまでは少なかったので、大きな進歩だと思います。

――満足している、という回答が多い中で、夫が思う妻の家事育児の貢献度は94.5%と95.0%。一方、妻が思う夫の家事育児の貢献度は68.5%と79.0%。ここに関して、家事育児貢献度に対しての捉え方は以前に比べてどう変わってきているのでしょうか?

グラフ画像3

山田さん
ズレの話で良くあるのが、例えば、哺乳瓶で授乳をお願いすると、飲ませるけど哺乳瓶を洗わない、温度調整が出来ていない、全部お膳立てして初めて哺乳瓶を持たせて飲ませるだけ、という。それも貢献のうちには入るけど、トータルでいうと【部分貢献】だ、という声は良く聞きますね。
ただ、貢献度があがってこないとズレも問題にならないので、やっとズレが問題になってきたな、というのが僕の認識ですね。

――皆が家事育児に対してアクション・アプローチするようになったからこそ、認識のズレが出てきたのかな、というところですね。

その中において、シェア型の方がシュフ型より家事育児の満足度が高い、という結果が得られています。

ズレ家事を感じたことがある人は63.6%、ズレ育児を感じたことがある人は60.8%となっていますが、家事ジャーナリストとして活動する中で認識のズレについての具体的な話はありますでしょうか?

グラフ画像4

山田さん
最近では思ったようにやってくれない、というストレスの話が多いですね。

――具体的にどういうお話がありますか?

山田さん
よくズレ家事の例として出されるのがゴミ出しですね。
玄関に袋でまとめたものをゴミ捨て場に持っていくことをゴミ出しだという人がいるけれど、分別やゴミ袋の購入、ゴミステーションやゴミネットの片付けとかいろいろなことを含めてゴミ出しだという話はよく聞きます。
また、妻は散らかして仕方がない、というけれど、夫はすごく背が高くて、片付ける場所が低すぎて片付けられない、というケースもあって。技術的な問題とマインドの問題がある、というところをまず押さえておいて、どれにあてはまるのかというのを検証していく必要が有ると思います。

『ズレ家事・ズレ育児』を生じさせない為にできること

――具体的にどういうところでズレ家事・ズレ家事を感じているのか、という調査でズレ家事は掃除、食事、お風呂、ズレ育児は子どもの寝かしつけ・お風呂・おむつ替えとなっています。先ほど技術的・マインド的な部分という話がありましたが、こうすることでズレを無くすことが出来た、という話はありましたでしょうか?

山田さん
そうですね。お互いの基準を知る、というのが大事だと思います。そして、認識のズレを小さくして動きやすい環境を作れば、おのずと結果は付いてくると思います。

――ズレの原因を知る、相手のラインを知る、というのがあまりできていないのかな、と今お話を聞いていて思ったんですけど、どうですか?

山田さん
妻が全部やってくれているものに関して、夫はあまり口出しできないんですよね。なので、やってくれている間はそれでよかったけど、自分がやらないといけない段階になって初めて「そこまでやらないといけないんだ」という認識のズレに気付くのです。

こういうのを減らすためには、お互い溜めずに話をすることが大切です。

――思った時に、すっと言う。

山田さん
そうですね。男性は工程の全てを理解した方が良い人と、工程の中でちょっとずつ見せた方が良い人の2タイプあって、人によってどちらの方がやりやすいかが違うのですよね。その人のパターンに合わせて開示する方がいいですね。

――なるほど。
パートナーを考えると、全体を見せるというのは大切なことなのかな、という気がします。

山田さん
確かに工程の全体像を見せて俯瞰してくれた方がやりやすいと思うんですよね。でも、俯瞰を見せる、というのは意外に難しい。その中で全体像を見せるのは家事ジャーナリストとかスーパー主夫とか名乗ってる僕らの役割だと思っています。ただ、家事も育児もその家のスペシャルオーダーなので本当は自分らで作らないといけない。

――コミュニケーションの中で認識のズレを埋めていくには具体的にどういう会話をしていけば良いのでしょうか?

山田さん
2人いれば手間が半分アイデア2倍という関係に持っていければいいですよね。どこが違う、とか違いを強調するのではなく、認識を一致させる。「元気な子に育てたい」「優しい子にしたい」「自分のことは自分でできる子にしよう」というトータルのビジョンを共有することが夫婦の関係・気持ちがズレないための1歩目として大事だと思います。

――ズレが生じるのは仕方ないとして少しでもズレを小さくしてお互いのコミュニケーションエラーに繋がらないように対策をしていくということが重要、というところですね。

山田さん
一番まずいのは「話さなくても通じるよね」と思っちゃうところですよね。その都度話すようにすれば大きなズレにはならないと思います。

――話をあまりしないご家庭とか、妻に全部任せてますという家庭が、急に1日30分多く話をしましょうとなったときに、何を話せばいいか分からなくて困るというお話も聞いたりします。

山田さん
何を話せばいいか分からない、という場合は、「おはよう」「いただきます」「おやすみ」や暑い・寒いくらいで良いと思うんです。

――「寒い・美味い」などから話が繋がっていくと。

山田さん
そうですね。僕は、快楽情報の先にしか不満は通じないと思っています。先に不満を言うと耳をシャットアウトしてしまうので、「良い天気だね」と快適な情報を伝えた後で「洗濯物の干し方を何とかしたいね」という話しをすれば、「干し方が違う」という話に持っていけるんですよね。
ママがよく言うのが「パパの気持ちが分からない」ということ。自分の感情を口に出せる男の人って日本人には多くないと言われがちですけど、それを伝えるだけで全然違う、というのが僕の印象です。ママがパパを信頼している場合には、パパは結構感情を口に出していますね。

――そういう人が増えてくればどんどん変わってきますね。

山田さん
僕はズレていて良いと思っているんです。
どちらか一方しかできない家事育児というのをできるだけ少なくして、全てをシェアしていくということが重要だなと思います。でもそのような状況になると、色々とズレが気になるということも増えてくると思います。
なので、解消すべきズレは解消し、気にしないズレは置いておくとするとものすごい進歩になると思います。

基本的に男性も家事育児に参加するようになってきて、だからこそズレという新たな悩みが出てきたということなのですよね。そういう意味では、いい意味で変化してきた証拠だなと考えていきましょう。

――確かに良い方向性に向かっているからこそズレが生じているということですよね。多くの家庭で少しずつコミュニケーションを増やしていきながら、育児・家事を今まで以上に気持ちよく協力しあえるようになるといいですよね。本日は色々とお話し頂きましてありがとうございました。

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