子育てエール!専門家による、ママパパ応援コラムvol.90

マタニティブルースとは?約半数のママが経験する?予防方法、対処法を産婦人科医が解説

2021/3/12
マタニティブルースとは?約半数のママが経験する?予... マタニティブルースとは?約半数のママが経験する?予...

待望の赤ちゃんが生まれ、幸せな気分も最高潮!......だったはずが、産後数日たったら突然涙が出たり、悲しくなったり、不安になったり、やる気が起こらなくなったりして、戸惑うママは少なくありません。これらはマタニティブルースといわれるもの。 そこで今回はこれらの症状であるマタニティブルースについて、産婦人科の天神院長に、症状と原因、対策方法について教えていただきました。

マタニティブルースとは?症状は?

出産直後は気持ちが高ぶっていたのに、産後数日してふいに悲しくなったり、眠れなくなったり、いらいらしたりする症状が出ることがあります。これをマタニティブルースといいます。妊婦さんの30~50%の割合で起こるといわれていますが、この症状はたいてい一過性のもので、産後10日~14日程度で自然に落ち着くことがほとんどです。

ただし、マタニティブルースが長引いたり症状がひどいときは産後うつに移行する恐れがあるので注意が必要です。このようなときはひとりで悩まずに、出産した施設の医師や助産師に相談しましょう。

マタニティブルースが起こる原因

マタニティブルースは、産後、急激に女性ホルモンが減少してホルモンバランスが変化することが大きな原因と考えられています。

妊娠中は多量の女性ホルモンが胎盤で作られ、出産時に胎盤は排出されホルモンが減少します。この産後の急激なホルモンバランスの変化が、体調だけでなく心にも大きな影響を及ぼすことがあるのです。

ほかにも、出産の疲労、慢性的な睡眠不足、子育てのプレッシャー、環境の変化、孤独感なども原因となることがあります。

マタニティブルースの予防・改善方法

赤ちゃんに笑いかける女性

マタニティブルースの予防も改善方法も一緒で、休息や気分転換などがおもになります。具体的に説明します。

・2週間健診を受ける

マタニティブルースが長引くと産後うつを引き起こすことがあると前述しましたが、その対策として多くの病院が、産後1ヵ月健診までの間に2週間健診を実施しています。産後2週間は育児や授乳に関する不安や悩みが出てくる時期。実施される場合は2週間健診を受けて、体調のこと、育児のことなど不安なことを医師や助産師に相談しましょう。

・ストレスを吐きだす

家族や親しい人に自分の気持ちを打ち明けましょう。不安に思うことを話して一人で抱えこまないようにすることが大切です。身近に話せる人がいない場合は、保健センターや子育て支援センター、助産院などで相談してみるのもおすすめです。

・ママ友と交流する

自治体が実施する育児相談や母親学級を利用したり、子育て支援センターにいったりして、友だちの輪を広げましょう。悩んでいるのは自分だけじゃないこと、先輩ママにも同様の経験があったことなどが聞けたり、気軽に相談ができたりするだけで、気持ちがラクになるかもしれません。

・軽い運動をとりいれる

体調がよければ散歩やヨガやストレッチなど、軽い運動をとりいれてみるのもおすすめです。ずっと家にこもっているとネガティブに考えがち。また、近所を散歩するだけでもリフレッシュになるかもしれませんね。

・ホルモンバランスの乱れであることを理解する

妊娠前、妊娠中、産後と、絶えずホルモンバランスが変化していることを理解し、自分に優しくしてあげましょう。家事の手を抜くなど、完璧を目指さず無理をしないようにすることが大切です。また、おいしいデザートを食べるなど、楽しいひとときの時間をもてるとよいですね。

・専門家に相談する

症状が続いたり、つらいと感じるときは出産した病院、助産院、産後ケア施設などに相談しましょう。一人一人にあったアドバイスがもらえると思います。とくに14日以上続くときは産後うつの可能性も疑われるため、かかりつけ医やメンタルクリニックなどを受診してください。うつ症状でも軽度であれば、早めに受診することで改善が期待されます。

ご家族の方へ

パートナーや家族のみんなが、産後のママの体調の変化、そしてマタニティブルースや産後うつについて理解することが大切です。育児や家事を分担してできるだけママの負担を軽減しましょう。また、ママは周囲に相談できなかったり受診をためらったりしてしまうことがあるので、症状に気づいたら家族が受診をすすめてくださいね。

まとめ

マタニティブルースはホルモンバランスや生活環境の変化による心身の反応で、程度の差はあれ誰にでも起こる可能性があります。たいていは一過性のもので自然に落ち着くことが多いので、過度に心配する必要はありません。ですが、産後うつ予防の観点から症状を感じたら軽視せずに対処することが大切です。

また家族や周囲に不安を打ち明けたり孤独感を打ち消すことが重要なので、家族や周囲の人たちに、マタニティブルースが甘えなどではないということ、産後はマタニティブルースになる可能性があることなどを理解しておいてもらっておくと安心ですね。

天神尚子

PROFILE

天神尚子このライターの記事一覧

産婦人科 | 三鷹レディースクリニック院長
日本医科大学産婦人科入局後、派遣病院を経て、米国ローレンスリバモア国立研究所留学。その後、日本医科大学付属病院講師となり、1995年5月から三楽病院勤務。日本医科大学付属病院客員講師、三楽病院産婦人科科長を務めた後、退職。2004年2月2日より、三鷹レディースクリニックを開業。

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