妊婦さんの8割以上が何らかのつわりを経験するといわれていますが、つわりの症状は人それぞれで、同じ人でも妊娠のたびに違います。今回は、そんな“つわり”についてご紹介します。
つわりってなんで起きるの?
つわりの原因は、はっきりとしたことはいまだに分かっていませんが、妊娠によるホルモンの変化が関係しているのではないかと考えられています。
特につわりがひどくなる妊娠初期や、8~14週に高くなるhCGというホルモンの影響が大きいですが、hCGがより高くなる双子の妊娠であってもつわりを感じない方がいたり、個人差がかなり大きいこともあるようです。他に、プロゲステロンや甲状腺ホルモンの影響もあるとされています。
さまざまなつわりの症状
つわりの症状は多種多様にあります。
・吐き気や嘔吐
・食欲増加や減退
・味覚や嗅覚の変化
・日中の眠気や不眠
・気分の変化(イライラや不安)
・胃もたれや胃のむかつき、胃痛など
・便通の変化(便秘や下痢)
・頭痛
・唾液や痰(たん)の増加
一般的には妊娠4~7週程度で始まり、12~16週程度で落ち着く方が多いです。その後、子宮が大きくなる妊娠後期になって、再度吐き気・嘔吐の症状がでる人もおり、「後期つわり」と呼ばれることもあります。
タイプ別!つわりを少しでも和らげるには?
●吐き気の強いタイプの方
水分摂取だけはするようにして、食べることや栄養摂取にはあまりこだわらず、食べられるときに食べられるものを少しだけ食べる方針がよいとされています。水分が取れず尿が出ない場合や、急速に体重が減り尿ケトンが陽性になる場合は、点滴や治療が必要になることもあるので、注意しましょう。
●食欲が増すタイプの方
野菜やこんにゃくなど、ローカロリーのものを食べるようにするとよいでしょう。また、1回の食事の量を小分けにし、食事の回数を増やすことで、空腹を感じにくくするのもオススメです。
●においが気になるタイプの方
家族の協力を得て、炊事をしなくてよい環境を作ったり、シャンプーなどを無香料のものに買い替えるなど工夫しましょう。
つわりの状況下では、「何が食べられそうか分からない」「昨日食べられたものが今日は食べられない」というように、症状が常に変化していくので、妊婦さん自身も周りも、つわりに振り回されがちになることが多いようです。
最後に
つわりは大変つらいものですが、妊娠している期間限定の症状であり、その先には新しい命との出会いが待っています。ご自身とご家族がつわりについての知識を身に着け、ご自身の症状に合わせて対応していくことで、きっと乗り越えられるでしょう。
PROFILE
藤東淳也このライターの記事一覧
東京医科大学卒業。米国カンサス大学留学後、東京医科大学講師として、婦人科内視鏡手術・がん治療に専念。2010年より広島で「産科・婦人科 藤東クリニック」を開業。専門知識と専門技術を活かし、「根治性を高め、機能温存を図り、さらに、容姿・美容の維持を図る医療」を提供するために努力しています。