先輩パパとママの毎日コラムvol.61

今日も楽しく過ごします。大ちゃん元気です。 「日々、幸せを噛み締める妊婦時代」

2017/4/10
今日も楽しく過ごします。大ちゃん元気です。 「日々... 今日も楽しく過ごします。大ちゃん元気です。 「日々...

東京・調布市で夫とともに「手紙社」を営む北島洋子さんの、愛息子大ちゃんの 妊娠・出産・育児のこと。

その瞬間はふいにやってきました。2年間に渡る不妊治療の末、たとえ今回も残念な結果だったとしても、決して落ち込まないと心の準備をしながらクリニックを訪れた1月の寒い朝。「おめでとうございます」の突然の一言に、私の目には無意識に涙が溢れていました。いつもクールな女医の先生が、とても優しい表情でゆっくりと今後のことを話してくれたのを覚えています。

そこから私にとって幸せと不安が入り混じった、全てが新しい生活がスタートを切りました。小さな命が動き出しているーーー。

とはいえ、それはあまりにも実感がなく、嬉しい反面、万が一何かあったらと、むしろそちらの心配の方が大きくて、安定期に入るまでは気が気ではありませんでした。

唯一確認できるのは、病院で検査を受けるとき。最初の2ヵ月ほどは毎週通院したのですが、その1週間がやけに長く感じられました。エコーで赤ちゃんの、まだ「人」とも呼べないような小さな物体が写し出され、その中心にドクッドクッと動いている部分があり「ほら、ここが心臓。動いてるでしょう」と言われると、不思議な感覚とともにひと安心。ここにきちんと命があることを確認し、そのたびにじんわりと幸せを感じるのでした。

そんな、嬉しさと不安が複雑に絡み合いながらの妊娠生活。妊娠がわかってすぐに報告したのは、母にだけ。周囲はもちろんその他の家族にさえ、報告したのはずっと後のこと、安定期に入ってしばらく経った、6ヵ月目に入る頃でした。私の父は「100才まで長生きしなくちゃ」と張り切り、義母は涙を流して喜び、いつも言葉少ない義父も静かに嬉しそうに笑っていました。

この歳になるまで子供ができなかったことに、私たちの前では何一つ苦言を言わず、でも心の中ではずっと待ち望んでいた両親。ようやく本当の親孝行ができたのかもしれない、この小さな命は私たちだけでなく、たくさんの周りの人たちも幸せにしてくれる。そう思うと、生まれてきてくれることに感謝の気持ちでいっぱいになりました。

家族と赤ちゃんの対面

8ヵ月を過ぎた頃、逆子という問題が出てきました。逆子の場合は帝王切開で産むことになるのです。自然分娩にするには、それを直さなければならない。胎児が小さい時は、ぐるぐると動くのであまり気にしなくて良いそうですが、8ヵ月になってもまだ逆子だと、そろそろ大きくて動きにくくなるため、逆子体操というのをやって、治す必要があるというのです。

逆子体操というのは、ヨガでいう猫のポーズ(うつ伏せになって両ひざをつき、両手は床につけて伸ばし、お尻をつき上げるポーズ)を15分ほどキープすること。これを毎晩寝る前に行うのですが、これが結構きつい。大きいお腹が重くて腰が痛くなったり、顔を床につけているので首が痛くなったり。真夏の夜にじわりと汗をかきながら、ひたすら時間が経つのを待つ。初めの頃は15分がとても長くて、音楽をかけたり、iPhoneで動画を観ながら気を紛らわせてなんとか時間をやり過ごしていたのですが、慣れというのは素晴らしいもの。そのうち、このポーズを取ったままウトウトして気づけば15分なんてことになっていました。

ところが、2ヵ月に及ぶ毎晩の逆子体操の効果はなく、おなかの子はずっと逆さのまま。今の体制が気持ちいいのか、ぎゅっとどこかにつかまって頑固に動かないでいるのか。そんなお腹の中を想像すると、逆子のままの我が子が微笑ましく感じるのでした。

そんなわけで、帝王切開で産むことになりました。帝王切開の場合は、予定日よりも2~3週間ほど早く産むのだそうです。まだ先だと思っていたのに、急にやってくるその日。入院準備やら、入院から帰ってきた時の用意やら、突然慌ただしくなってきて、出産までのカウントダウンが始まりました。

赤ちゃん
北島洋子

PROFILE

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東京出身の編集者。大手通信会社の広告宣伝部、ガーデン雑誌の副編集長を経て、2008年に夫とともに「手紙社」を立ち上げる。手仕事の作家を集めた「もみじ市」などのイベント企画や店舗運営に従事しながら、2016年9月に第一子を出産。獅子座でいぬ年でA型。
http://tegamisha.com

(制作 * エチカ)

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