先輩パパとママの毎日コラムvol.12

すっきり、楽しく、自由な育児「“自分”を探して。不安で仕方なかったマタニティ期」

2016/5/24
すっきり、楽しく、自由な育児「“自分”を探して。不安... すっきり、楽しく、自由な育児「“自分”を探して。不安...

アメリカ・ミシガン州で暮らす人気ブロガー・ジョンソン祥子さん。ママのやさしい目線で綴った、妊娠と出産、そして愛息子・一茶くんの子育てのこと。

妊娠7ヵ月の頃。

妊娠がわかったのは、6週くらいの頃。お腹が少しずつ大きくなり、体重も増え、食の好みも変わり……。体は刻一刻と変化していったけれど、妊娠しているという実感がなかなかわきませんでした。というよりは、どんどん押し寄せる変化のスピードに、心がついていかなかったと表現するのが正しいかもしれません。お腹に赤ちゃんがいるとわかって嬉しかったのと同じくらい、「知っている自分」がいなくなってしまうように感じられて、毎日不安で仕方なかったんです。

何よりもつらかったのが、好きでずっと続けていた「写真」にまったく興味がなくなってしまったこと。それまでは、愛犬のマルを撮る為に、散歩のときにはもちろん、家でもカメラを片時も離さなかったのに、撮らなくなるどころか、自分の写真すら見るのも嫌になってしまったんです。好きなことすら好きでなくなって、「私、一体どうしちゃったの?!」って床につっぷして泣いては、旦那さんを困らせていました。

「変わりたくない!」と思っていた私の小さな抵抗の1つが、「なるべくマタニティ服を着ない」こと。なるべく、いつもの服を工夫しながら着まわしたり、買い足す場合でも普段着られるようなものを選ぶようにしていました。そうすることで、妊婦に「変身する」のではなく、私と妊婦の間にある境を少しずつ埋めていけるように思えたんです。(ただし、直接身に付ける下着やタイツ、レギンス類は、妊娠初期にマタニティ用を揃えました。これはお腹の赤ちゃんのために)

そんな私がとっていた「策」は、1本の輪ゴムを使うこと。デニムのボタン穴の部分にくるっと通し、そのゴムにボタンをひっかけると、ウェストが広がるんです。このワザを使って、妊娠前に履いていたデニムを、臨月に入るまで履いていました。ちなみにゴムでつながったウェスト周りとトップスとの間は、こちらで「tummy sleeve」と呼ばれる薄い腹巻のようなアイテムを使ってカバー。今振り返ると、素直にマタニティ服を着ていれば楽だったろうに……とも思うのですが、こんな風にしながら、自分なりに「妊娠」を乗り越えていったんです。

ちなみに臨月に入ったときに、マタニティ写真を旦那さんにお願いして撮ったのですが、その際も、あえて妊婦らしくないTシャツとデニムで臨みました。今思えば、その写真は「自分」と「妊婦」のバランスを考え続けていた、マタニティ期の私、そのものだなぁと思います。

Tシャツとデニム臨月に自宅で撮影。

変化の渦に巻き込まれるのが、とにかく不安だったあの頃。たどり着いた先にどんな世界が広がっているんだろうと、ずっと考えていた10ヵ月だったように思います。でも「出産」を機に、そんな日々は突然終わりを告げて……。食べ物の好みなんかも、知らないうちに元に戻っていました。もちろん、写真への情熱も。出産直後に動けない状態で、ベッドからカメラを構えていたほどです。今なら、あの頃の自分に言ってあげることができます。「妊娠」の先にいるのは、もう1つ「お母さん」という肩書が加わっただけの、何も変わらない「自分」なんだよって。

自分なりのスタイルで無事乗り越えた妊娠期出産直後に、病院にて。
ジョンソン祥子

PROFILE

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写真家、ブロガー。アメリカ人男性との国際結婚を機に渡米。在米12年目。現在は夫と息子の一茶君、柴犬のマルとともに、アメリカ・ミシガン州に暮らす。最新刊『すっきり、楽しく、自由に暮らす』(新潮社)発売中。
ブログ「Maru in Michigan」: http://shibanomaru.blog43.fc2.com/
Twitter: https://twitter.com/shibanomaru

(制作 * エチカ)

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