アメリカ・オレゴン州にあるアシュランドという芸術活動が盛んな美しい都市で暮らすセキアキコさんのアメリカでの子育てエピソード。
つわりのつらさは人それぞれ、つわりの種類も人それぞれ。つわり中に食べられるもの・食べられなくなるもののコンビネーションなどなど入れたら、そのパターンは星の数ほどあるでしょう。でもひとつだけ、どのつわりにも共通している部分があるとすれば、それはつわりが終わるのをただただ耐えなくてはいけないこと……。
そうは言ってもこの気持ち悪さ、どうにかしたい。つわりが色々あるようにその対処法も数えきれない程ありますが、今回は私のつわり体験とちょっとした克服法を紹介したいと思います。
私のつわりはいわゆる「食べづわり」でした(妊娠するまでつわりといえば吐くものだと思っていた私には、その真逆があるなんて驚き!)。そして私の場合、気持ち悪さの程度で言うと、ず〜っと酷い車酔いをしているような状態。でも吐きはしない、むしろ吐けない。子どもの頃から車酔いしやすい体質だったのでこの種類の気持ち悪さには多少慣れてはいましたが、車酔いと違って永遠にそこから解放されないつらさに何度も心が折れました……。
つわりの期間中は、空腹になると吐き気に襲われるので常におなかに何か入っているようにしました。何か食べてないと気持ち悪いけど、おなかがいっぱいでも気持ち悪くなるし、体重が増えすぎてしまっても困る……。なので、フルーツや野菜を使ったスムージーなどさっぱりしたものを少しずつ飲んだり外出時にはぶどうやカットフルーツを持って行って少しずつ食べたりしていました。中でもぶどうは、少量をちょこちょこと食べられて便利で、よく容器に入れて持ち歩いていました。皮をむく必要のない丸ごと食べられるタイプのぶどうが特にオススメです!
そして夜中はトマト丸かじり。実はこれが私のつわり期間中の救世主だったのです!夜中に空腹で気持ち悪くなって起きてしまったら、冷蔵庫から冷えたトマトを出して丸ごと全部食べる。そうすると不思議と吐き気がすーっと治るんです(ちなみに……私のつわりは夏の間でしたが、冷たいトマトや飲み物でおなかが冷えないように、冷え対策は大切です!)。
こうして四苦八苦しつつもつわりの期間は終わり、少しずつ大きくなるおなかとの平穏な妊婦生活がやってきました。
ところが妊娠9ヵ月に入った頃、今度は突然吐くようになってしまったのです……。調べてみると、妊娠後期にも赤ちゃんが大きくなり胃が圧迫されることで胸焼けやつわりのような症状が出ることがあるとのこと。食べづわりとは全く別の、吐くタイプのつわり……。普通に食べると吐いてしまうので、刺激が弱く消化しやすいものを少しずつ食べてみて、吐き気が起きにくい食材を必死で探す日々が続きました(食べた食材をメモしておいて、吐いたら×、大丈夫だったら○を付けました)。
また胸焼けで、横になって眠るのも難しく、ベッドに枕をいくつも積んで上半身を起こした状態でないと眠れませんでした。
この後期のつわりは3週間くらいで終わりましたが、おなかも大きかったし、アメリカに引っ越したばかりで友達もいなかったので息抜きもできず、私にとっては妊娠中一番つらい時期でした。
つわりは、妊婦さんはもちろんですが、パパも結構つらいと思います。私の夫は、吐き気に苦しむ私をなんとかしようとして色々アドバイスをくれましたが、「そうじゃないんだよなあ……」と思ってしまうものも多くて……。
今になっては笑い話ですが、こんなこともありました。英語でつわりは”Morning Sickness”と言います。これを言葉のまま解釈した夫は、気持ち悪くなるのは朝だけだと勘違いしていて、一日中気持ち悪がっている私を見て「そんなはずがない!どうして朝じゃないのに気持ち悪いんだ!?」という不思議発言をして私をイライラさせていました(笑)。
気持ち悪さやホルモンバランスの変化で機嫌が悪くてパパに当たってしまうママと、つらそうなママを助けてあげたいのに何も出来ないどころか、ときに理不尽にイライラをぶつけられてしまうパパ。つわりの期間はそういうネガティブな関係性が生まれてしまうケースも多いと思います。でも冒頭で「つわりは終わるまで耐えるしかない!」と言いましたが、つわりはいつか終わります。期間が短い人も長い人もいると思いますが、いつかは必ず終わります。
今になって思うのですが、つわりの一番の克服法は、そんなすべてを笑い話に変えてしまうことなのかな?と。渦中にいる間は難しいかもしれないけれど、一度つわりが終わったら、「あの頃のママ、すっごいイライラしてたよね(笑)!」とか、「パパがつわりに効くって勧めてくれたお茶、マズすぎて飲めなかったよ(笑)!」とか、一緒に笑ってしまえばいい。夫は今でも妊娠中の話になると必ず、「あの頃夜中にキッチンから聞こえてくるトマトの汁をすする音がモンスターみたいで怖かった」って言っています(笑)。
PROFILE
セキアキコこのライターの記事一覧
アメリカ・オレゴン州で出産と子育てをスタート。現在はメイン州在住。サンフランシスコで写真を学んだ後、スタジオアシスタント、ブライダルカメラマンとして働く。
http://ameblo.jp/aco-84/
(制作 * エチカ)