先輩パパとママの毎日コラムvol.280

1+1+1+1=∞の日々「出産しても仕事を続けられる?不安を乗り越えた先に」

2019/11/5
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編集職の会社員として楽しくも多忙な毎日を過ごしていた岸野恵加さんの働く母になるまでのストーリー。

忘れもしない2010年11月9日のこと。

生理不順が日常茶飯事の私は定期的に婦人科通いを続けていて、いつも通り昼休みに、何も考えず会社近くのクリニックを受診しました。そこで突如優しい女医さんに告げられたのは、「あら?あらら?赤ちゃんいますね〜」という、ひと言。もう青天の霹靂で。すぐさま夫に電話をすると「ええっ!」と突然のことに驚かれつつ、とても喜んでくれたことで少し実感が湧いて、ふわふわとうれしい気分で道を歩いたことが、昨日のことのようです。

が、同時に頭を埋め尽くしたのは、「会社になんと言えば……」という戸惑い。編集の仕事がしたいという夢を追い求めて、転職したばかりだったのです。しかも小さな会社で若い社員が多く、子持ちの女性は皆無。

妊娠発覚というと“幸せ100%”なイメージだったのですが、正直私は自分の生活に起こる変化の大きさに押しつぶされそうでした。そんな思考が少しずつ変わっていったのは、妊娠の事実を周囲に伝えたとき。上司に伝えると、「おー、めでたいことじゃん!」と喜んでくれ、「申し訳ないなんて思う必要は一切ない」と言い切ってくれたので、とても心が軽くなりました。

実家も義実家も初孫を楽しみにしてくれて、周りの人が素直に喜んでくれたことで、すごく安心感を持てるようになったなと、今振り返って思います。

妊娠中の大きなおなか

幸いつわりは軽く、たまに少し気持ち悪いかなという日がある程度。食事に制限もなく、好きなものを食べられましたが、大好きなお酒を我慢していることで体が嗜好品を求めていたのか、それまでまったく関心がなかった甘いものが大好きになったのはおもしろい変化でした(笑)。

そんな調子だったので仕事の手を緩めることなく、妊娠34週で産休に入るまでフルパワーで働いてしまいましたが、体調が悪いときは電車が混雑する時間は避けて通勤するなど、自分なりに対策していました。おなかの中の息子は大きなトラブルもなくすくすくと育ってくれ、本当に感謝しています。一緒に妊娠期間を乗り切ってくれた相棒のように感じます。

新生児というものに接したことがない人生だったので、あまりにもフニャフニャなことに驚き、その一方でしっかりと人間の形をしていることが神秘的で、かわいくて仕方がありませんでした。息子はしょっちゅうしゃっくりをしていましたが、外界に出てきてからもおなかの中にいたときと同じリズム感だったのでそれもほっこりしたり。夫もすすんで抱っこをしてくれ、泣きやまない深夜は抱っこ紐に入れて近所をふたりで散歩していたことも度々ありました。

ママと長男

息子は生後8ヵ月のときに保育園に入園して、私は職場復帰をしましたが、そこからは起床から就寝までがジェットコースターのように過ぎていく毎日。我が家は夫の帰りが遅いので、夜はお迎えからご飯、お風呂、寝かしつけまで、私ひとりで担当。お迎えに行き家に着く頃には19時。そこから寝かせるまでの2時間強は毎日がタイムトライアルです。夫は朝の保育園への送りのほか、洗濯と洗濯物を畳むこと、朝の掃除機掛けなどを担当。それぞれの分担に関してぶつかることもありながらも、ときには家事育児のタスクをリスト化して、入園入学など状況の変化に合わせて真剣に話し合うようにしています。

兄と妹

息子が8才、下に産まれた娘が3才になった今、朝は夫が娘を連れて出てから自分が出社するまでの30分間で、炊飯器のスイッチを入れ、味噌汁を作り、お肉に下味をつけたり煮込んでおいたりしています。帰ってきたら“温めるだけ”“焼くだけ”で済むところまで夕飯の下ごしらえを済ませ、帰宅後に慌てないように。

会社ではほかの社員と同じだけの仕事量をこなさねばなりませんが、部署異動といった特別扱いをされることもなく、むしろ働きを評価してもらい、リーダー職を任されるなど引け目を感じることなく働ける環境に感謝しています。

「小学校に入る頃にはワーキングマザーに疲れて会社を辞めて、違う働き方をしているかもしれないな」と、産んだ当初はぼんやりと思っていたけど、今でも私は同じ会社で勤務しています。会社の規模が大きくなり社員の数が増えるにつれて、子育てをしながら働く自分の姿が後に続く人の前例になるかもしれないと思うと、身が引き締まる思いも……少しは持つようになりました(笑)。

自分が出産した頃は周りの友人に子育てをしている人が少なかったのですが、SNSを通じて励ましあえるママ友だちができて、新しい出会いがたくさんありました。子どもと子育てを介して出会った人たちや出会った世界に何倍もの大切なものをもらっているな、と実感してばかりの日々です。

岸野恵加(きしのけいか)

PROFILE

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2011年生まれ男児と2016年生まれ女児の母。編集者として働くかたわら、インタビューZINE『meine(マイネ)』を発行するなど活動の幅を広げている。ドラマーとしても活動(所属バンド『the mornings』は現在休止中)。
https://www.instagram.com/kemonokeika/
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