子育てエール!専門家による、ママパパ応援コラムvol.99

妊娠中に料理酒を含む食事、洋酒入りお菓子は食べられる?アルコールはどこからNG?

2021/7/7
妊娠中に料理酒を含む食事、洋酒入りお菓子は食べられ... 妊娠中に料理酒を含む食事、洋酒入りお菓子は食べられ...

妊娠中は飲酒をしないようにいわれるので、料理に使うお酒や洋菓子などに含まれるブランデーは大丈夫なのかと気になったり、また、ノンアルコール飲料なら安心して飲んでよいのかしらと、アルコールについて疑問に思ったりしたことがある妊婦さんも多いのではないでしょうか。そこで産婦人科の天神院長にこれらについて教えて頂きました。

妊娠中の飲酒が赤ちゃんに与える影響

妊娠中にアルコールを摂取すると、胎盤を通じて赤ちゃんにアルコールが運ばれて、流産などのほか、胎児や乳児に対して低体重、脳障害などを引き起こすことがあります。これは「胎児性アルコール症候群」とも呼ばれ、赤ちゃんの発育や精神遅延、多動症など広い範囲での影響が生じる可能性があることが分かっています。また、症状は、低体重など成長するにつれてよくなるものもあれば、数年後に精神的問題などを発症することもあるといわれています。

妊娠中の飲酒量に比例してこれらのリスクが高まると考えられていますが、安全な量が明確になっているわけではありません。妊娠初期にワインを少量飲んだなどであれば問題は起こっていないので、妊娠に気が付かず飲んだからといって過度に心配する必要はないでしょう。ですが、安全な量が明確になっていない以上、妊娠が分かった時点で飲酒はしないことが大切です。

アルコールはどこからNG?お酒を含む料理や食品は

料理でお酒を使ったり、ブランデーが含まれた洋菓子などについては次のとおりです。

【料理酒やみりんやワインを使用した料理の場合】

料理酒やみりんを使用した料理

料理中に使用する料理酒やみりんやワインなどのアルコールは、加熱すればほとんど蒸発するため基本的には問題ありません。ただし、完全になくなるわけではないので十分に加熱することが大切ですし、大量に使用することは避けた方がよいでしょう。

レシピに書かれている分量よりも少なく使用したり、火を通す際に早めに加えて加熱時間を長くするなど工夫しましょう。また、料理酒や料理用ワインなどを購入する際は、塩分や糖分などが含まれていないもの、アルコール度数ができるだけ低いものを選ぶとより安心して使えますね。

【洋酒入りのお菓子の場合】

洋酒入りのお菓子

チョコやドライフルーツ、ケーキやゼリーなどの菓子類にもアルコールが含まれている場合があります。風味付け程度の少量しか使われていないものもあれば、たっぷりの洋酒が使われているものもあるようです。

クッキーなどの焼き菓子なら大部分が焼く工程でアルコールが減少するため問題ないと考えられます。またそもそもお菓子は食べる量が少量で問題が起こらないことが多いかもしれません。しかし、なかには、焼いたあとにお酒をしみ込ませているためアルコールは非加熱であるお菓子、洋酒がたっぷり使われたブランデーケーキなどもあり、これらは控えた方がよいでしょう。

ケーキ屋さんなどであれば店員さんに洋酒が含まれているかを確認したり、市販のお菓子は原材料をチェックして商品を選んだりすると安心です。糖分の摂り過ぎなどにも配慮する必要がありますが、せっかくお菓子を食べるなら洋酒が使われていないものを選んで安心して食べられるようにしましょう。

ノンアルコール飲料は「アルコール分0%」を選んで

ノンアルコール飲料

「ノンアルコール」の定義は、アルコール含有量1%未満。そのため、ノンアルコール飲料であっても、アルコールが含まれるものと、含まれていないものがあります。妊婦さんの場合、アルコール分が0%と表示されているものであれば飲んでも問題ありませんが、0%でないものは避けた方がよいでしょう。たとえ1%未満でも、量をたくさん飲めば通常のアルコール飲料を飲んだことと変わらなくなってしまいます。

また、0%と表示されたノンアルコール飲料もカロリーや糖分などを多く含む場合があるので、妊娠中は少量にしておきましょう。産院から指導を受けている方は、必ずかかりつけの医師に相談して指示を仰ぐようにしてください。

まとめ

妊娠中の料理酒などを使った食事や洋酒などを含むお菓子などについて解説しました。妊婦中に摂取しても安全なアルコール量が明確になっているわけではありません。料理酒は十分に加熱したり、洋酒が含まれないお菓子を選んだりして、安心しておいしく食べられるとよいですね。

天神尚子

PROFILE

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産婦人科 | 三鷹レディースクリニック院長
日本医科大学産婦人科入局後、派遣病院を経て、米国ローレンスリバモア国立研究所留学。その後、日本医科大学付属病院講師となり、1995年5月から三楽病院勤務。日本医科大学付属病院客員講師、三楽病院産婦人科科長を務めた後、退職。2004年2月2日より、三鷹レディースクリニックを開業。

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