アメリカ・ミシガン州で暮らす人気ブロガー・ジョンソン祥子さんに、出産前に準備をしたという、お子さんの名付けのエピソードと、先住犬マルちゃんとの付き合い方を伺いました。
性別が分かる前から決めていた「一茶」という名前。
--息子さんの「一茶(いっさ)」という名前、とってもかわいいですよね!どうやって決めたのですか?
ジョンソン
妊娠中に旦那さんと、色々アイディアを出し合っていたのですが、「男の子だったら一茶!」と、性別がわかる前に決まっていました。
一応、決めてからチェックしてみたのは「Behind the name」というこちらの名前検索サイト。どういうルーツで、どこの国にその名前が多いかなどの情報が調べられるのですが、「Issa」はいくつかの言葉で「神」の意味があると書かれていました(最近インド人の友人が「ヒンディー語で神の意味だよ。」と教えてくれました!)。
アメリカで「Issa」は、あまり一般的な名前ではないので、由来や意味を聞かれたとき、一応この「神」のことも話すようにしています。「エキゾチック!」と会話が盛り上がるんです。
--「神」という意味もあるんですね!とっても素敵です。決めるうえでこだわっていたことはありますか?
ジョンソン
お察しのとおり、江戸時代の俳人「小林一茶」にちなんで「一茶」です。決めるときにこだわっていたポイントは、
・日本人であるというルーツを感じられ
・非日本人でも発音&覚えやすいもの
・できれば、おじいさんのような古風な名前
ということ。他に候補だったのは、「利休」とか「芭蕉」でした。古すぎですね(笑)。ただ、こちらの発音にしたときに、元々名前が持つ雰囲気や余韻を残しにくかったので(例えば「利休→Rick」に聞こえちゃうんです)、「一茶がいいね。」という結論にいたるまでには、そんなに時間がかからなかったです。
ちなみに由来を聞かれたときは、上の神エピソードに加えて、「a cup of teaという意味で、19世紀に活躍した日本の詩人だよ。」と答えるようにしています。
愛犬マルと一茶くんが出会うまで。
--それから、一茶くんが生まれる前から、ジョンソン家には愛犬のマルちゃんがいましたが、一茶くんと初対面をする前に、マルちゃんに何か準備などはしましたか?
ジョンソン 「赤ちゃんと同じように大切にするよ。」って、以前にも増して可愛がったので、絆が強くなったかもしれません。いや、絆というか私の一方的な愛が強くなった、というか……(笑)。毎日すり寄っては、「もういいから!」ってウザがられていました。ツンデレ犬なので!
あと、生まれる前から赤ちゃんの泣き声の入ったCDをかけたり、人形を私が抱いて生活していましたね。
そして、まず産んですぐ、病院で一茶に被せて頂いていたニット帽を義両親に持ち帰ってもらい、当時義両親宅で留守番していたマルにかがせてもらいました。義母がその様子の写メを送ってくれたのですが、義両親の飼い犬は興味津々でにおいを嗅いでいたものの、マルは意外にシレッとそっぽを向いていました(笑)。
犬なりに「変化が起きる」というのが、分かっていたのではないかと思っています。
でも結局、こんな風に準備をしても、マルはなかなか新しい生活に馴染めなかったのですが……。
--そうなんですか!?やっぱり赤ちゃんが一人家族に加わるというのは、犬にとっても大きな変化ですもんね。でも、今やすっかり二人は仲良しですよね。二人が仲良くなるコツなどはありましたか?
ジョンソン
子ども同様かわいがっているマルですが、「犬=人間」ではなく、人間がリーダーであることを、マルが生後間もないころからしつけ教室に通って、しっかり教え込んでいます。犬は、上下関係を普段からはっきりさせないと、リーダーシップをとりたがる習性があるからです。これを赤ちゃんがやってくるまでに理解させることは、子どもと仲良くなる上でのキーポイントだとも言えます。どんなに気だてのいい犬でも、新生児の世話にテンテコマイの飼い主を赤ちゃんにとられた様な気がして、やきもちを妬くので。
基本的な関係は「犬<人間」であっても、犬の心は人間のように複雑なので、1日に何分かでも手が空いたときに、愛犬をかわいがってあげることは大切です。
マルは一茶が生まれてから赤ちゃん返りをして、壁をひっかいたり、それまでしなかったようなイタズラをしてしまうことがあったのですが、頭ごなしにしかるのではなく、「以前と同じように好きだよ。」と心を満たしてあげることで、自然とイタズラの数も減っていきました。
--赤ちゃんと犬とが一緒に暮らすということで、注意すべきことはありますか?
ジョンソン
上でお話ししたことと重複しますが、一茶にどんないたずらをされても、マルがかみつかなかったのは、「犬=人間」ではなく、「犬<人間」だとマルがよく理解していたからです。
互いに哀しい思いをしないためにも、犬にしっかりしつけをするというのが、いい関係を築く基本だと思います。
--きちんとしたしつけも、みんなが幸せに暮らすために大事なことですね。最後に、犬と赤ちゃんが一緒に生活してよかったことを教えてください。
ジョンソン
感情豊かに育った、愛情が深い、自然に対して敬愛の念を抱いている……などなど、マルが一茶に与えた影響は、挙げるときりがありません。5才になった今は、エサやりなども担当しているので、世話を通して責任感も学んでいます。
人間が一生かかってもなかなか得ることのできない「無償の愛」「ゆるすこと」を普段の生活の中で、身をもって教えてくれるマル。この5年間、私たちが一茶に親としてやってあげられたことの中で、一番よかったのが、「マルと暮らすこと」かもしれません。
PROFILE
ジョンソン祥子このライターの記事一覧
写真家、ブロガー。アメリカ人男性との国際結婚を機に渡米。在米12年目。現在は夫と息子の一茶君、柴犬のマルとともに、アメリカ・ミシガン州に暮らす。最新刊『すっきり、楽しく、自由に暮らす』(新潮社)発売中。
ブログ「Maru in Michigan」: http://shibanomaru.blog43.fc2.com/
Twitter: https://twitter.com/shibanomaru
(制作 * エチカ)