子育てエール!専門家による、ママパパ応援コラム

vol.82 悩ましい赤ちゃんの便秘。家庭でできる改善方法と病院に行くべき目安【小児科医が解説】

石戸谷尚子 2020/12/2

赤ちゃんのうんちが何日か出なかったりうんちのときに苦しそうにしているのを見ると、便秘なのかな、病院にいったほうがいいのかな、などと心配になってしまいますよね。そこで石戸谷小児科の石戸谷院長に、赤ちゃんの便秘のサインや改善策、病院に行った方がいい目安などを教えていただきました。

赤ちゃんの便秘のサインとは

便秘はうんちがしっかり出ないこと、硬いうんちが出ることをいいます。便秘を疑われるサインには次のようなものがあります。

・おなかが張っている
・4日間から1週間出ていない
・排便時に痛がったりする
・母乳やミルクを飲む量、離乳食を食べる量が減っている
・うんちが硬い、少量など普段と違う

このような症状がみられたときは便秘のサインかもしれません。ただし、もともとうんちには個人差があり、1日の回数や、何日おきにするかなどは赤ちゃんによって異なります。また、赤ちゃんはまとめてたくさん出すことも。

そのため、「4日間から1週間出ていない」というのはあくまでもひとつの目安と考えてください。うんちが柔らかく、血便などがなく規則正しく出ていて他に症状がみられなければ問題ない場合もあります。普段の赤ちゃんのうんちと比べてみることが大切です。

家庭でできる赤ちゃんの便秘改善方法

赤ちゃんが便秘ぎみのときに家庭でかんたんにできる便秘の改善方法をお伝えします。

1)マッサージ

運動不足が便秘の原因になることがあります。そこで、赤ちゃんを仰向けに寝かせて自転車のペダルをこぐように両足を動かしたり、からだをゆらゆら優しく動かしたりしてマッサージしましょう。

また、おなかの「の」の字マッサージも効果的です。3、4本の指で赤ちゃんのおなかを軽く抑えて、腸の方向をイメージしてへその周りを「の」の字を描くようになでます。こうすることで腸の動きを促進することができます。

2)水分や食物繊維の摂取

とくに離乳食を開始すると、赤ちゃんは母乳やミルクの飲む量が減って水分不足からうんちの回数が減ったりうんちが硬くなったりすることも。離乳食時に麦茶やスープなど飲ませる、バナナやさつまいもなど食物繊維が豊富な食材を用意するなどの工夫をしましょう。

3)綿棒浣腸(綿棒刺激)

綿棒にワセリンやベビーオイルなどをつけて、赤ちゃんの肛門に綿棒を1~2cm挿入します。挿入したら、優しく10秒程度、丸を描くように動かして刺激しましょう。直腸を刺激して便意を促すことができます。

病院を受診する目安

なかなか改善しないときや以下の症状がみられるときはすぐに病院を受診しましょう。

・4、5日~1週間以上出ていない
・ぐったりしていて、熱や嘔吐がある
・排便時に強く痛がっている様子がある
・出血するほどうんちが硬い
・おなかがパンパンに張っている

また、うんちが出ない日数だけでなく、排便時の不快感、症状、普段との違いに注意してよく観察し、判断することが大切です。なかなか便秘かどうかは判断しづらいところもあるので、迷ったら受診して医師に診てもらうと安心ですね。

まとめ

うんちを出すときに痛みがあると、赤ちゃんはうんちをするのが怖くなってしまい便秘が長引いてしまうことがあります。排便習慣は長い将来にわって赤ちゃんの健康な発育に大切なもの。小さな便秘を改善してあげて、慢性的な便秘を予防しておきたいですね。

今回お伝えした改善策を試しても症状が改善されない場合や、あきらかに便秘と思われる場合は医師の診察を受けて早めに治すようにしましょう。

おすすめ記事

すぐに伸びる赤ちゃんのつめ!どのくらいの頻度でつめきりしてる?
産後、体型は戻った?産後リフォームの実態と体型戻しのポイントとは?
食事の準備や後片付け、担当しているのはママ?パパ?
赤ちゃんの水分補給〜大人とは違う、赤ちゃんの水分量
赤ちゃんがぐずった時、どうしてる?
PROFILE 石戸谷尚子 小児科 | 石戸谷小児科 院長
医師、医学博士。1981年徳島大学医学部を卒業後、東京慈恵会医科大学小児科入局、都立母子保健院及び慈恵医大付属第3病院勤務を経て1995年現職に。日本小児科学会認定 小児科専門医、日本アレルギー学会認定 アレルギー専門医、日本血液学会認定 血液専門医。
カテゴリー:
キーワード:
トピック: