先輩パパとママの毎日コラム

vol.97 ちいさなアトリエ「デンマークの赤ちゃんにまつわる習慣」

上原かなえ 2017/9/19

クラフト作家・上原かなえさんの、子育ての楽しみ方。今回は赤ちゃんのための心のこもったハンドメイドのお話です。

一年間暮らしたデンマークは、洗練されたモダンなデザインのインテリアとおとぎ話にでてくるような古い街並みがみごとに調和していて、昔ながらの素朴な生活や習慣にもあちらこちらで出会うことができました。そんな街で暮らすデンマークの人たちに教えてもらった赤ちゃんにまつわるハンドメイドのお話を。

まずは赤ちゃんにまつわる古い習慣のひとつ、家の玄関に木で作ったコウノトリの形をした看板です。コウノトリは小さな布の包みを持っていて中には赤ちゃんの人形が入っています。赤ちゃんの誕生を近所の人にお知らせするための昔ながらの習慣です。それを見かけた近所の人たちは「Tillykke med jeres nyankomme!」「赤ちゃんの誕生おめでとう!」と手作りのケーキなどを持ってお祝いに訪れたり、お手伝いできることはないかしら?と声をかけて訪ねてくれたりすることもあるそうで、子どもの誕生の喜びを地域の人と分かち合う、素敵な習慣だなあと心から感心したのを覚えています。そのあとも街角でその看板を見つけるたびに、幸せを分けてもらうような嬉しい気分になりました。

手書きのカードで出産をお知らせするのもデンマークの人たちに親しまれている習慣のひとつ。届いたカードはインテリアとして飾って、眺めて楽しみます。娘を出産したときにはデンマークのコウノトリと同様、幸せを運ぶとされているハトをモチーフにしてカードを手作りし、「Ema」と娘の名前を書いて友人にお知らせをしました。

その数週間後、知らせが届いたデンマークの手芸学校のヘルガ先生から手編みのブランケットが届いたのです。手触りのよいアイボリーのブランケットはデンマークの幸福のシンボル、ハートがあしらわれています。娘のVandaちゃんからの手書きのお手紙も添えられていました。

そして、さらにもう一人の編み物の名人。友人のカトリーヌからも、ちいさな手編みのベストと愛らしい茶色のウサギの人形が届いたのです。

寒い冬に生まれた娘にとって、手編みのぬくもりがとても有り難かったです。ちいさな命の誕生を大切に想って、手を動かしてくれる時間。そのときを想像するだけで、心まで温まる最高に嬉しいギフトでした。

北欧デンマークに大切に残っている“手作りのもので子どもの誕生をお祝いする習慣”に触れ、心からその魅力を味わった私は、デンマークで出会った人々に感謝でいっぱいの気持ちになったのでした。

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PROFILE 上原かなえ クラフト作家。紙や布をはじめ、さまざまな素材に耳を傾けながら、暮らしを彩るデザインと手作りのアイデアを提案。北欧デンマークのスカルス手芸学校に留学経験を生かし、北欧に伝わるハンドクラフトの魅力を伝える活動も行なう。著書に『ハニカムペーパー・クラフト』『ごあいさつカードのてづくりレシピ』『北欧のかわいい切り紙』他。 http://salviakobo.tumblr.com
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