ヒラトコ家のチームビルディング~夫婦二人三脚で駆け抜ける子育ての日々~

vol.3 4児の父、政治くんの働き方改革

asaco 2019/8/21

前回、初めての妊娠から出産まで、不安もたくさんだった私を夫の政治くんが献身的にサポートしてくれたお話をご紹介しましたが、長女りねんが生まれて始まった怒涛の日々。本当にいろんなことがありました。

まず、当時は完全にフリーターとして生活していた政治くん。一応、某一流私大卒という輝かしい学歴を持っていながら、ミュージシャンとしてのキャリアを積んで、メジャーデビューからほどなくしてバンド脱退。まったく学歴を活かすことなく、フリーターとして生きていた彼と、私は出会いました。

とはいえ、私もモデルの仕事をしながらバイトで生計を立てるような毎日を送っていたし、おたがい貧乏でも2人でいられるだけで超幸せだと本気で思っていた(!)……いわゆる、ラブラブ期特有の魔法にかかっていた私たち(笑)には、正直、暮らしへの不安はまったくと言うほどありませんでした。

ところが妊娠してからは状況が一変。私は仕事をセーブせざるを得ないし、できれば政治くんにもっと働いて欲しいと思うのだけど、この方、びっくりするくらい稼ぐことに興味がない。バイトの時給は決して悪くなく、朝から夕方までみっちり働けばそれなりの収入は得られたのに、仕事に出かけるのは決まって昼過ぎ……。それなのに午後5時には職場を出ているのだから、月の稼ぎもご想像いただけるでしょう。
もちろん、電気にガス、なかなか止まらない水までも止めてしまう男、平床政治。真冬にお湯が出なかったあの衝撃は、今思い返しても怒りで震えそうになります。

バンド脱退してフリーターになっても、4児の父になった今でもずっと、音楽は変わらず続けている政治くん。こんなかぶりものをかぶってる時期もあったし(笑)、いつだってめいっぱい楽しく生きる人です。

ただ、お金はないけど、時間はある。初めての妊娠判明から出産してしばらくの間、政治くんといつも一緒に過ごせたのはとても心強く、幸せなことでした。特に産後は、右も左もわからない育児に心がどんよりすることも多かった私。そんな私を察して、ふらっとお散歩したり買い物したり、みんなでご飯を食べたり、家族3人で過ごす時間をさりげなく作ってくれる彼の気づかいに、たくさん心が救われたものです。

さて、そんな政治くんに転機が訪れます。りねんが生後8ヵ月くらいの頃、とある知人から「ウチで働いてみない?」と神の声がかかり、人生で初めて会社勤めをすることになったのです。
しかも、ミュージシャンをしてきた彼にとってはもってこいの、音楽制作の仕事。
ヤッター!ついに私たちも、「安定」という2文字を手にする日がきた!
それはそれは嬉しいニュースでした。本人も親になった責任感なのか、早々に働くと決意して、新たな毎日が始まったのです。

会社勤めが始まってから、政治くんのために毎朝お弁当を作っていました。がんばれーと、息子を送りだす母のような気持ちで。あ〜、なつかしい。

朝、決まった時間には家を出て、帰宅するのは20時以降。おそらく、世の働くパパたちにとってはごく普通のルーティンだと思うのですが、なんせその生活が初めてだった私たち。政治くんはもちろん、私自身もりねんとふたりっきりになる時間が増えて、その暮らしに慣れるまでが大変でした。それまで何気なく夫婦で分担していた家事全般を、ほぼ一人でこなしていくことはもちろん不安だったけれど、それよりも、子育てという未知な毎日を、政治くんがいない間、私ひとりでまかなっていけるのかというプレッシャーがとても大きかったのです。

何か分からないことがあれば、PCでキーワード検索。周りにママになったお友達もいなくて、一人必死で子育てをした日々が蘇ります。そして、彼は彼で初めての環境で仕事をがむしゃらにがんばっていた時期。それゆえに家族としての時間はどうしても少なくなって、やっと安定を手にしたはずが、実はおたがいが少しずつ少しずつ、心のバランスを崩してゆくことになったのです。

ある日、突然政治くんから電話がかかってきました。
「一緒にお昼食べない?」
どうしたんだろうと不思議に思って、呼ばれた渋谷へと出かけました。すると、なんだかいつになくスッキリとした表情の彼が。「どうしたの?」と尋ねると、「仕事やめてきた!」と、衝撃の一言!

「えーーーーーー!? マジでーーーーーッ!!!!!!!!!?」思わず東口裏のカフェで叫んだのは言うまでもありません。だって、そりゃ叫びたくもなります!当時、まだりねんは2才、ふたり目の“ざいざい”ことりざいは生後半年くらいの頃でした。こんな小さな子どもたちがいるっていうのに、あんた仕事辞めるのかいー(涙)。明日からの生活を思うと途方にくれましたが、でもなぜだか、きっとそうなるんじゃないかなぁって思っていた自分もいて、ランチを食べ終わる頃には、私も不思議と気持ちがスッキリ。政治くんが会社勤めを始めて、ちょうど2年が経った頃の出来事でした。

それから、お金に関していうと、どう乗り切って過ごしたのか本当に記憶になく、、、でも超絶貧乏だったのは確かで、これまたある日、政治くんが出先でお昼にラーメンを食べようと言い出したことがありました。麻子にも食べさせたいお気に入りのラーメン屋がこの近くにあるとかで、じゃあそうしようとお店へ向かっている道中になんと、、、、彼の全財産がラーメン代に満たないことが判明したのです!!!!その事実に愕然とし、しかも、何なら私のお金でラーメンを食べようと目論んでいた彼の腹黒さに心底腹が立ち、ラーメン屋さんからコンビニへ行き先変更……。公園で二人、100円のおにぎりを頬張ったのは、まだざいざいが1才にもなっていなかった頃のはず。その数年後、4人の子どもたちと6人で暮らしている未来なんて、微塵も想像できない日々でした。

笑えないエピソードの数々でおわかりだと思いますが、良くも悪くも、政治くんにとって、お金は生きる上でそこまで重要ではないのです。それ以上に大事にしたいのが家族との時間なんだと気付けたとき、今までの出来事すべてをやっと、受け入れられる自分がいました。

さて、そんな我が家の今。政治くんはフリーター時代から徐々に始めていたナレーターの仕事を生業にしています。仕事内容にもよりますが、例えば先日担当させてもらった某企業CMでは、最後の2秒に政治くんの声が流れて(いわゆる、CM最後に流れる企業名とか、企業コンセプトのナレーションです)、その2秒に全神経を注ぐところがなんとも政治くんらしいなぁと、働き方に悩んだ、かつての彼の姿を思い出しては微笑ましい気持ちになります。

そして、数年前からおたがいの仕事の合間に、夫婦ふたりでフード業も始めました。政治くんの料理好きが高じて、お友達主催のイベントによく声をかけてもらって出店していたことがきっかけです。この展開は全く想像していなかったけれど、夫婦で動くので子どもたちとの連携も取りやすく、とても私たちらしい働き方だと思っています。

子どもが生まれて以来、家族のあるべき姿を探り続けてきた私たち。おたがい大切にしたいことは何か、いろんな経験を経てやっと今、ベストな形に近づけているような気がします。家族6人で食卓を囲めること。「ただいまー!」と帰ってきた小学生チームを「おかえりー」とお家で迎えられること。夫婦で一緒に食材の買い出しに出かけたり一緒に食事の支度をしたり、週末は家族みんなでキャンプに出かけたり。とにかく、家族で過ごす時間を大切に過ごせているのは、あのとき、目先の貧しさに臆することなく、先を見据えて決断してくれた「政治くんの働き方改革」があってこそだと実感する日々です。
そして何より、彼と一緒に夫婦で子育てできる毎日が、その後4人の母親になる人生に繋がったのだと思っています。

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PROFILE asaco モデル・kitutukiディレクター。1978年静岡県浜松市生まれ。ファッション誌やママ誌を中心に活躍。夫のヒラトコセイジさんとケータリングユニット「マフィオ」を展開するなど、多方面で活動中。2男2女のママ。
Instagram:hiratoko_asaco
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