子育てエール!専門家による、ママパパ応援コラム

vol.101 授乳のキホン!赤ちゃんのくわえさせ方など大切なポイントと5つの授乳姿勢を助産師が解説

加藤千晶 2021/7/9

授乳姿勢にはさまざまなスタイルがあり、赤ちゃんが成長するに従って、いろいろな姿勢を知っておくと役に立つことがあります。授乳時の3つのポイントと5つの授乳姿勢について、助産師で杏林大学の准教授である加藤千晶先生に教えて頂いたので、ぜひチェックしてみてくださいね。

正しいおっぱいのくわえさせ方など授乳時に大切な3つのポイント

母乳育児をスムーズに進めるために大切なことは次の3つです。どの授乳姿勢でも共通なので覚えておいてくださいね。

1)赤ちゃんの体はねじらず一直線にする

赤ちゃんのからだはママのおっぱいに対して平行でねじれていないようにします。授乳の際、頭、首、背筋、腰まで一直線になっているか確認しましょう。たとえば横抱きで授乳する際に、体が天井をむいていて、顔だけおっぱいにむいている状態はNGです。赤ちゃんにとって居心地が悪く、しっかり飲むのは難しいでしょう。まっすぐ抱かれてママと赤ちゃんのからだが密着することで集中して飲みやすくなります。

2)おっぱいを深くくわえさせる

飲ませるときは乳首だけでなく乳輪部まで深くくわえさせます。深く口にふくませることで母乳の分泌がよくなることが期待できるからです。また、乳頭のみをくわえさせると、乳首に傷がついたり乳頭が痛くなったりする原因になることも。赤ちゃんが口を開けたらおっぱいを深く口に入れて飲ませましょう。

3)ママが前かがみにならない

座って授乳する際にママが前かがみになるとママに負荷がかかったり、おっぱいが下を向いてしまって赤ちゃんがおっぱいを深くくわえにくくなったりします。そこで、ママが赤ちゃんに近づくのではなく、ママの背筋を伸ばして、赤ちゃんをおっぱいに引き寄せるのがポイントです。授乳クッションを下に敷いて高さを調節すると背筋を伸ばしやすくなります。

基本の5つの授乳姿勢

授乳の際の抱っこはさまざまな姿勢があります。ママのおっぱいの状態や赤ちゃんの吸い方などによって選ぶとよいでしょう。いろいろ試して、ママと赤ちゃんが心地よく感じられる姿勢を見つけてくださいね。

1.横抱き

赤ちゃんの首を支え、横向きに抱っこしながら授乳する姿勢です。母乳を飲ませるおっぱい側の腕の肘を曲げその上に赤ちゃんの頭を乗せます。そのままその腕で赤ちゃんのお尻のあたりまで支えます。赤ちゃんのからだ全体はママの体に寄せて、赤ちゃんのからだごとママに向かうようにしましょう。もう一方の手で飲ませる側のおっぱいを支えるとよいです。

赤ちゃんの頭はママのおっぱいの高さにくるようにするのがポイントです。授乳クッションを膝の上に置いて高さを合わせるようにすると腕の負担を軽減できるでしょう。

2.交差横抱き

横抱きと似ていますが、横抱きと異なり、飲ませるおっぱいと反対の手と腕で赤ちゃんを支える姿勢です。もう一方の手は、飲ませる方のおっぱいを下の方から全体を支えるなどして赤ちゃんが飲みやすいようにします。

首がすわる前の赤ちゃんや、まだ飲むことに慣れていない赤ちゃんでも比較的ラクにおっぱいをふくませることができる姿勢です。ママにとっても赤ちゃんを抱き寄せやすいので前かがみになりにくく正しい姿勢を保ちやすいでしょう。

3.縦抱き

ママの太ももの上で向かい合せにして授乳する姿勢です。赤ちゃんが乳輪までしっかりくわえやすい姿勢なので、乳頭が短い人、乳首を深くくわえられない小さめの赤ちゃんなどにとくにおすすめといえます。

赤ちゃんの背中に腕をまわして支え、赤ちゃんのおなかとママのおなかがくっつくように、赤ちゃんをママに引き寄せておっぱいをふくませましょう。もう片方の手でおっぱいを支えて、少し赤ちゃんが上向きの姿勢で乳首を含むことができると赤ちゃんもおっぱいが飲みやすいと思います。赤ちゃんの口がママの乳首の高さにくるよう、クッションなどで高さを調節してもよいですね。首がすわっていない時期は赤ちゃんを支えるときに頭から首をしっかりサポートするようにしましょう。

4.添い乳

ママと赤ちゃんが横に寝ておなかを向かい合わせて授乳する姿勢です。ママのからだを休ませながら飲ませることができるので、ママの体調がよくないとき、帝王切開後で安静が必要なときなどにもむいています。

ママが横向きに寝たら上にくる腕を赤ちゃんの背中から頭にまわし、ママの手で赤ちゃんの頭を支えます。赤ちゃんの頭をママのおっぱいの位置に調節して赤ちゃんにおっぱいをふくませましょう。位置や高さが合わない場合は、タオルなどを赤ちゃんの下に敷いて高さを出したり、赤ちゃんの体がねじれないように、背中に丸めたタオルやクッションなどを支えとして置いてあげるとよいですね。

からだが休めやすく、赤ちゃんの寝かしつけもしやすい便利な授乳姿勢ですが、赤ちゃんの鼻と口をママがふさいでしまうことがないよう、ママが眠いときは避けた方がよいでしょう。また、赤ちゃんが眠りについたら、SIDS(乳幼児突然死症候群)を予防するために、赤ちゃん用の布団やベッドに移動させて仰向けに寝かせてください。

5.フットボール抱き

赤ちゃんのからだをラグビーボールを持つようにママの小脇に抱えて授乳する姿勢です。赤ちゃんの口がよく見えるため、深く飲めているか確認がしやすいのが特徴です。そのためおっぱいの吸い方が弱いなど上手に吸えない赤ちゃんの授乳などにとくにむいています。また、帝王切開の傷に強くあたらないので傷が痛む場合などにもおすすめです。

ママの小脇に赤ちゃんを抱えたら、赤ちゃんの頭がおっぱいの方に出て、足がママの背中側にくるようにします。ママのからだに赤ちゃんをぴったりくっつけて、まわした腕と手で赤ちゃんの頭から首を支えておっぱいをふくませましょう。授乳クッションを活用すると手の疲れが軽減できて便利です。

まとめ

正しい授乳のポイントと5つの授乳姿勢をご紹介しました。授乳姿勢はいろいろありますが、もし思うようにいかない場合はいろいろ試してみて、ママと赤ちゃんにとって心地よい授乳方法を見つけてください。また、授乳の際は肩の力を抜いてリラックスすることも忘れずに。授乳が少しでも快適になって親子の楽しいスキンシップの時間になるとよいですね。

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PROFILE 加藤千晶 杏林大学保健学部看護学科 准教授
助産師として約10年大学病院にて勤務。その後、看護・助産教育に約15年携わり、産科病院にて看護部長を経験。現在、杏林大学保健学部看護学科准教授として助産師教育に携わっている。
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