子育てエール!専門家による、ママパパ応援コラム
離乳食は赤ちゃんがいろいろな食べ物を知る、そして食べるということを学ぶ貴重な体験。親子共に楽しく過ごして、赤ちゃんに食べることを好きになってもらいたいですよね。そこで今回は、相模女子大学栄養科学部の堤ちはる教授に、ベビーフードのメリットやおすすめのベビーフードの活用方法などについて教えて頂きました。
ベビーフードのメリットは次のとおりです。
ベビーフードは赤ちゃんの口腔機能の発達に合わせて、なめらかにすりつぶした状態や舌ですりつぶせる固さなどに調整されて作られています。そのため赤ちゃんの食も進みやすく、また口腔機能の発達にも役立ちます。また試食をすれば手作りのときの参考になりますね。
離乳食を一生懸命手作りしても、赤ちゃんにも食べたくない気分のときもあります。そんなときにベビーフードをあげるといつもの味に変化がでたからか、食べてくれることがあります。またいろいろなメニューをかんたんに試せるので、赤ちゃんの好みを把握しやすく、離乳食を手作りする際にも役立ちます。
衛生的なので外出時や旅行の際に持ち運ぶのに便利です。密閉されているので漏れる心配もなく、また未開封の状態であれば長時間持ち歩いても傷みません。ふだんは手作り離乳食をあげている場合でも、外出時はベビーフードを取り入れるという状況に応じた使い方もよいのではないでしょうか。
手作り離乳食は、すりつぶしたり、固さを調整したり、とろみをつけるなど普段の料理に比べて手間がかかるものが多いです。ベビーフードはそのまま使用できるもの、ごはんにかけるもの、お湯で溶かすものなどさまざまありますが、どれも手作りに比べて大幅な時短になります。余裕のできた時間を赤ちゃんとの触れ合いや自分の休息、リフレッシュなど他のことに使うことができます。
ベビーフードは保存性があるのでストックしておけば、災害時でガスや水道が使えないときに有効活用できます。赤ちゃんの月齢や発育に合ったベビーフードを非常食としてストックしておくと安心ですね。
ベビーフードはそのままでも使用できるものがほとんどですが、家庭にある食材と組み合わせれば、赤ちゃんの好みに近づけたり、足りない栄養素等を補えたりできます。ベビーフードのかんたんにできるアレンジ方法をお伝えします。
野菜スープはそのままでもお湯を足したりすればスープとして食べられますが、ペーストをのばすのに使用する方法があります。お湯を野菜スープに変えるだけで、味にアクセントがついて赤ちゃんの食が進むかもしれません。また野菜のミネラルやビタミンがとれて栄養価もアップします。
手づかみ食べをする時期であれば、ベビーフードのチャーハンを小分けにして平らにし、フライパンで焼いてお焼きにしてみましょう。水分が多ければ月齢に応じて軟飯や少しつぶした大人のごはんなどを足してください。粉チーズを混ぜてから焼くと、味にうま味が加わって食が進みやすくなるだけでなく、カルシウムを補うことができます。粉チーズは月齢が9ヵ月以上であれば、加熱すれば食べられます。
なお、フライパンやガスを使うのが面倒なときは、軟飯やごはんだけ足してひとくちサイズの丸いおにぎりにするのも一案ですね。
ちぎった耳なし食パンに、ベビーフードのクリームソースと粉チーズをかけたら、トーストするだけでグラタン風メニューのできあがりです。ごはん(おかゆ)に、ベビーフードのクリームソースやトマトソースなどをかけてドリア風にしてみるのもいいですね。ソースに肉や魚、野菜などの具材が含まれていれば、いろいろな栄養素をとることができます。ソースにゆでた野菜などを追加すれば、さらに不足しがちな栄養素を手軽に補えます。
ベビーフードのポタージュを入れた小鍋に、耳なしの食パンをちぎって加えます。弱火でじっくり煮てやわらかくなったら月齢に応じてすりつぶすだけ。かぼちゃポタージュなどであれば、やさしい甘みで、より食が進むかもしれません。
ミネストローネやブイヤベースやポトフなど好みのスープを鍋にいれて、ゆでたスパゲッティを足して弱火で煮れば、立派なパスタ料理に。鍋にツナを加えたり、トマトやブロッコリーやじゃがいもなどの野菜を足せば栄養価もアップします。なお、ツナ缶はノンオイルで食塩無添加のものがおすすめです。和風スープにゆでたうどんを足してうどんにする方法もありますね。
関連情報:
ベビーフードのおすすめ活用術を専門家が伝授!離乳食期をラクに過ごすための賢い使い方とは
離乳食は必ず手作りにしなくてはいけないということはありません。むしろ、離乳食において大切なのは赤ちゃんが食事って楽しいなと思えること。離乳食は手作りでもベビーフードでもどちらでも構わないのです。
手作りを頑張ったママは、赤ちゃんが食べてくれないと悲しくなったりイライラしたりすることがあるかもしれません。しかし、ベビーフードを利用していれば、「あら、この味は好きじゃないのね」「次は和風にしてみようか」などとおおらかな気持ちで赤ちゃんを受け止めやすくなります。
ベビーフードでは家庭の味が伝わらないという方もいますが、離乳食を食べる期間は1年程度。離乳食を卒業し、幼児食へステッアップして、やがて大人と同じものが食べられるようになります。家庭の味は離乳食を卒業したあとでも十分伝えられるのです。
ベビーフードを上手に活用して、かけがえのない離乳期を親子で楽しく過ごせるよう、心より願っています。