子育てエール!専門家による、ママパパ応援コラムvol.65

妊娠中の熱中症対策は?産婦人科医が熱中症を予防するためのポイントをお伝えします!

2020/7/2
妊娠中の熱中症対策は?産婦人科医が熱中症を予防する... 妊娠中の熱中症対策は?産婦人科医が熱中症を予防する...

妊娠中に気を付けたいことのひとつが熱中症。年々夏の気温も上がり、気がかりな妊婦さんも多いのではないでしょうか。そこで今回は、妊婦さんができる熱中症対策を産婦人科医の先生に教えていただきました。上手に取り入れて、暑い夏も安全で快適に過ごせるとよいですね。

妊婦さんは熱中症にかかりやすいの?

汗を拭いている妊婦さんの画像

熱中症とは、体内の水分や塩分などのバランスが崩れて、体温調節機能が働くなってしまったことによっておこるさまざまな症状の総称です。症状にはめまいや大量の汗、頭痛、吐き気、けいれんなどがあります。

妊娠中はホルモンの変化によって基礎体温が高くなり、気温以上に体感温度が上がってより暑く感じてしまいます。体感温度が上昇すると、体は大量の汗をかいて熱を下げようとします。大量に汗をかくと体内の水分や塩分が失われ、熱中症のリスクが高まります。そもそも妊婦さんは、母体の循環血液量を増やして赤ちゃんに栄養を届けるために妊娠前より体内の水分が多く必要であったり、つわりなどの時期は嘔吐などにより水分補給がしにくかったりすることもあり、水分不足になりがちです。これらの理由から、妊婦さんは妊娠前に比べ熱中症にかかりやすいといわれています。

熱中症対策はこまめな水分補給!1日2Lを目安に

水を飲んでいる女性の画像

大人が1日に必要な水分量は約1.2L。妊婦さんの場合は、基礎代謝量が上がって汗をかきやすいこと、赤ちゃんに栄養を届けるために循環血液量が増えること、またつわりによって嘔吐したり食べ物を受け付けなかったりする場合もあるため、1日の水分摂取量は1.5~2Lを目安にするとよいでしょう。夏はとくに気温が暑く汗をよりかきやすくなるため、ペットボトルや水筒を持ち歩いて一口ずつ飲むなどのこまめな水分補給が大切です。軽い脱水症状のときにはのどの渇きを感じることができないため、のどが渇く前や暑いところに行く前から水分補給をするように心がけましょう。

なお、妊娠中に糖分をとりすぎるとさまざまなリスクが生じるため、スポーツドリンクは控えめにして水や麦茶などを中心に水分補給をするのがおすすめです。

水分補給のほかに日常生活の中で工夫できる熱中症対策とは

日傘をさしている女性の画像

外出する際には、とくに気温の上がる夏の11時~15時は屋外を可能な限り避けたり、日陰を選んで歩いたりするとよいでしょう。ほかにも、通気のよいゆったりした服を着る、日傘や帽子を使うなどして、体温の上昇を抑えるような工夫をすることが大切です。室内にいるときは、エアコンを利用したり、窓を開けて風通しをよくしたり、窓から差し込む日射が直接あたらないようにカーテンなどで遮ったりするとよいですね。

また、体調を整えておくことも熱中症予防につながります。日ごろからバランスのよい食事をとる、適度な運動で基礎体力をつけておく、十分な睡眠をとるなども心がけるようにしましょう。

最後に

もしも、めまいなど熱中症の症状を感じたらすぐに涼しい場所に避難し、服をゆるめたり、体を冷やしたり、水分をとったりして休息をとるようにしましょう。回復しない場合やつらいときはすぐに医療機関を受診してください。

妊娠中は熱中症のリスクが高まります。日ごろからこまめに水分補給をすること、栄養や睡眠をしっかりとることなどを心がけて安全に夏の暑さを乗り切りましょう。

天神尚子

PROFILE

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産婦人科 | 三鷹レディースクリニック院長
日本医科大学産婦人科入局後、派遣病院を経て、米国ローレンスリバモア国立研究所留学。その後、日本医科大学付属病院講師となり、1995年5月から三楽病院勤務。日本医科大学付属病院客員講師、三楽病院産婦人科科長を務めた後、退職。2004年2月2日より、三鷹レディースクリニックを開業。

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