先輩パパとママの毎日コラム

vol.445 まだまだ新米おかあさん「『おっぱい、バイバイ』のタイミング」

藤沢あかり 2021/12/10

卒乳や断乳のタイミングはいったいどうしたらいい?ライターの藤沢あかりさんの「おっぱい、バイバイ」のタイミングのお話です。

授乳シーンというと、どんなイメージでしょうか。やさしく子を見つめる母親と、目をとじて穏やかな顔で寄り添う赤ちゃん。授乳ケープの隙間から控えめにお乳を出し、赤ちゃんがそっと口に含む様子はしあわせそのもの。聖母マリアのような神々しさすら感じるかもしれません。わたしもそうでした。

しかし実際は…。慣れない授乳に気づけばいつも半裸状態。ヨレヨレの姿で格闘しながら、痛いわ暑いわ吐くわ、汗と母乳で両者はベタベタです。

特に生後1〜2ヵ月は、あちらもこちらもおっぱい初心者。需要と供給のバランスもなかなか整わず、あちらが吸えばこちらが枯渇し、こちらが痛いほどパンパンに張ってもだえていても、シャワーのようなおっぱいはうまく飲めずにごぼっと吐く始末。最初の1ヵ月は切れたり裂けたりにも悩まされ、授乳のたびに激痛が走り、軟膏が手放せませんでした。

そう、おっぱいタイムは聖母マリアのおもむきどころか、「いざゆかん…!」と毎回歯を食いしばって挑むチャレンジタイムでありました。

うちはとにかく、おっぱい大好きっ子でした。寝かしつけにはじまり、夜間の添い乳は当たり前。甘えてもおっぱい、泣いてもおっぱい…寝ても覚めても、とにかく四六時中おっぱいでした。

そんななか、半年を過ぎたころからでしょうか。「早めに断乳したほうが楽だから」「お酒も飲みたいし」と、おっぱいを卒業する人が周囲にちらほらと現れ出したのです。さらに「保育園入園を機に」「1才を目安に」と、やめていく人がどんどん増えていきました。

うちもそろそろ、でもまだあげたいなぁ、そんな思いをいったりきたりしながら、あっという間にもうすぐ2才。

さすがに2才ともなると、やめている人が大半です。わたしもネットの記事を見ながら「断乳」と腹をくくったのです。カレンダーを見ながら、「2才のお誕生日が来たら、おっぱいおしまいね」と何十回と言い聞かせました。

そして迎えた2才の誕生日。「これが最後だよ、おっぱいバイバイね」と伝えながらの授乳時間は、いま思い出しても涙が出ます。わたしはおいおい泣きながら、最後のおっぱいをあげたのです。

その夜は、娘を夫に託してわたしはリビングで眠りました。寝室から聞こえてくる「おっぱいおしまい〜!(涙)2才になっちゃったから〜〜〜!(涙)」と叫ぶような娘の泣き声は、今もはっきりと覚えています。卒乳ではなく、断乳の瞬間です。「2才になった!」の喜びを「2才になっちゃったから」に変えてしまったことを実感して泣き崩れ、そこから一週間くらいは岩のようにカチカチで燃えるような痛さのおっぱいを抱えてさらに泣き。そうして娘はいつの間にか、おっぱいを飲んでいた事実などなかったかのように、ケロリと乳ばなれを果たしたのでした。

娘が4才くらいだったでしょうか。おっぱいのことなどすっかり忘れていた、ある日のこと。ママ友と話していたら、ちらほらと耳にするようになったのです。「うち、実は3才までおっぱい飲んでてね」「うち、ついこの間まで飲んでたよ!」

ええええ〜!!!みんなとっくにやめてたんじゃなかったの?2才でも遅すぎるんじゃなかったの???わざわざ人に話さないだけで、2才を過ぎてもおっぱいを飲んでいた人が、ほかにもいたのです。なにが正解かはわかりません。ただ少なくとも、わたしは心のどこかで「まだ授乳を続けたいな」と思っていました。娘もまだまだ、おっぱいが大好きでした。

おっぱいにまつわる考えは、人や立場、時代によっても大きく変わります。「もう飲まない」と、生後半年くらいで自分から自然と離れていく子もいると聞きますし、投薬や妊娠、出張、入院といった物理的な理由で止めざるをえない人もいるでしょう。

明確なポリシーや理由があればよかったのかもしれませんが、わたしの場合は、ネットの向こう側にある情報に流された、「なんとなく」の世間体でした。どのタイミングで卒業するかは、それぞれの親子が自分たちのタイミングに合わせればよかったのかも、と数年たって初めて気づいたのです。

そして長女の断乳から3年。2人目を育てる機会に恵まれ、今度は存分におっぱいをあげようと決めました。わたしもこれが、最後の授乳の機会に違いありませんし、互いに気の済むまで、流れに任せてみよう…。もはや気持ちだけは聖母マリアです。

そう構えていたら、先日息子が4才の誕生日を迎えました。よんさい、です。はい、まだ、おっぱいはバイバイできていません。

えっ…これ大丈夫かな…。

正直なところ、夜間も熟睡できないし、デメリットもいっぱいあります。看護師の友人に相談すると「5才、いや6才までの覚悟決めたほうがいいね!」と笑い飛ばされました。

この先どうなるのでしょうか。「4才 おっぱい」と検索画面に打ち込みながらも、いやいや息子とわたしの問題だ、と思う自分もいます。もうちょっと向き合ってみようかな。いや、でもなぁ…。

おかあさん歴9年、まだまだ悩みは尽きません。

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PROFILE 藤沢あかり 編集者、ライター。衣食住や子育てなど暮らしまわりを中心に執筆。主流・傍流にこだわらない視点で丁寧に取材し、分かりやすい言葉を使って伝えることがモットー。2012年、2017年、どちらも夏生まれの2児の母。
https://www.instagram.com/akari_kd/
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