アメリカ・ミシガン州で暮らす人気ブロガー・ジョンソン祥子さん。ママのやさしい目線で綴った、妊娠と出産、そして愛息子・一茶くんの子育てのこと。
こちらで育児をしていると、色々日本との違いに驚くことはありますが、一番カルチャーショックを受けたのが「お風呂」かもしれません。
まず衝撃を受けたのは、生まれた直後。日本だと、出産の後すぐに産湯で綺麗にしますよね。でもこちらは布で拭くだけなんです。拭くだけ……。あんなに凄まじい工程を経て生まれたのに。
入院中は、お風呂の入れ方を教わる代わりに、ものすごく簡単な拭き方を教えてもらいます。同時に「へその緒がとれるまでは、入浴控えるように」とも。日本人の私は、とにかく湯船に入れて綺麗にしたかったのですが、ここはベッドにも靴を履いたまま寝転んでしまう国。郷に入れば郷に従えで、根本にある「清潔感」が違うんだと自分を納得させ、こちらの方式を取り入れることにしました。
家に帰ってきて初めての入浴、とは名ばかりの「拭きタイム」。
やり方は簡単。部屋をガンガンに暖め(セントラルヒーティングなので不経済)、柔らかいタオル(日本人の私には少々固く感じられる)で全身を優しく拭くだけ。でもその場所は、なんとキッチンのシンクなんです。入浴というよりは、調理の下準備のよう……。まぁ同じ水場だし、何より腰をかがめなくていいので、作業はとても楽でした。
へその緒がとれたら、拭きタイムからやっと「バスタイム」へとレベルアップ。でも日本のように大人と一緒に湯船に入るなんてことはなく、小さなベビー用のバスタブを使います。でもこのときも作業するのは、バスルームではなくなんとキッチン。日本だと「入浴=身を清めるリラックスタイム」ですが、こちらは「汚れを落とす」こと以外のことを求めていないんだなぁと感じました。
初めて、バスルームの浴槽を使ったのは、お座りができるようになった6ヵ月くらいの頃。といっても、親は服を着たまま浴槽の外から膝をついた状態で洗ってあげる方式です。
日本人の私からしてみたら、お風呂は大事な親子のコミュニケーションタイム。「作業」的なバスタイムを味気なく感じて、しばらくは日本のお風呂文化を恋しく思っていたんですが、しばらくやってみると、「こちらの入浴法もいいかも!」と思えるようになったんです。
というのも、同じ月齢くらいの赤ちゃんを日本の方のブログなんかを見ていると、皆さんバスタイムで色々な悩みを抱えてるんですよね。赤ちゃんと一緒にお風呂に入るから自分が洗いにくいとか、出た後赤ちゃんの着替えなどで自分の体のお手入れが手薄になるとか、赤ちゃんの入浴時間に合わせるから生活リズムが崩れるとか。でも、バスタブの外から手を伸ばして洗ってあげるこの方法だと、それが全く気にならないんです。
しかも、この方法だと親が濡れないので、絵本を読んであげたり、自分も飲み物を片手にリラックスしながら話をしたり、たった15分程度だけれど、真剣に子どもに向き合ってあげられるんですよね。
一茶にとっては、小さい頃から「バスタイム=新たな遊びを試す機会」。1才半位からのお気に入りは、フードカラーを使ったアート遊びです。やり方は簡単。カップの中に1、2滴フードカラーを入れて色水を用意してあげるだけ。自由に混ぜて遊んだり、ティッシュを染めたりして遊んでいます。万が一、水を口に運んでも安心だし、汚れたら困る服は着ていないし、周りもシャワーでさっと流すだけだからストレスがないんです。
ちなみに日本の実家に行ったときにも、この「アメリカ式」でお風呂に入れています。こちらに比べて日本は浴槽が深いけれど、座った状態でオヘソが浸かるくらいまでお湯を入れて。半身浴のイメージですね。使うお湯が少ないので、ほんの少し専用のソープを入れて泡風呂なんかにしてあげても喜びます。しばらくゆっくり自分だけで湯船に使ってない……なんて方には、こちら式のバスタイム、おすすめです!
PROFILE
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写真家、ブロガー。アメリカ人男性との国際結婚を機に渡米。在米12年目。現在は夫と息子の一茶君、柴犬のマルとともに、アメリカ・ミシガン州に暮らす。最新刊『すっきり、楽しく、自由に暮らす』(新潮社)発売中。
ブログ「Maru in Michigan」: http://shibanomaru.blog43.fc2.com/
Twitter: https://twitter.com/shibanomaru
(制作 * エチカ)