先輩パパとママの毎日コラム

vol.490 火山のふもとで深呼吸「産後の感性はいそがしい?」

前村詩織 2022/5/26

浅間山の裾野で3人の子育てを楽しむピラティスインストラクター前村詩織さん。産後、いつもと違う夢をよく見るようになったとか。

生まれたら待ったなしに始まる新生児育児。夜中でも明け方でも関係なく、赤ちゃんの目が覚めた時間がすなわち育児タイム!

あの〜、私眠いんですけど30分後にしてくれませんかね…?なんて、当然のことながら赤ちゃんには通用せず、とくに我が家の蕗ちゃんはかなりの頻回授乳タイプだったので、私もなかなか熟睡とはいきませんでした。そして、眠りも浅いためか、毎日のように夢を見ていました。それも、赤ちゃんを守ろうと焦っている夢ばかり。

デパートに買い物に出かけて、ふと赤ちゃんを置いてきてしまったことに気がついた。プールで子どもたちと遊んでいたら、水流が起こり、流されそうになった。目が覚めて、蕗ちゃんの寝顔を見て、よかった、夢だった…と安堵する。

そんなことが産後半年を過ぎるころまで頻繁にありました。

起きがけにこんな笑顔を見たら寝不足も吹っ飛びます。

夢だけではありません。蕗ちゃんを抱っこひもに入れてお散歩に出かけると、やたらと想像力がたくましくなっているのを感じました。川を渡るとき、橋の上からごうごうと流れる濁流を見るだけで、そこに蕗ちゃんを落としてしまったらどうしよう、と怖くなり、蕗ちゃんを抱く腕に力が入ります。向こうから車が走ってくると、あの車、こっちに突っ込んできたらどうしよう…と想像し、背筋がぞくっとしました。なので、散歩のときは車道からできるだけ遠い歩道を選んで歩いていました。

雪の日のお散歩スタイル。ソリを引く手は慎重になるけれど、蕗ちゃんはそんなことは露知らず雪景色を楽しんでいます。

先日、同じく産後1年以内の友人たちとおしゃべりしていてふとその話をしてみたら、「私も!」と何人も共感してくれました。赤ちゃんを抱えて高いところを恐々と歩いている夢や、誰かに追いかけられる夢を見た。散歩中、カラスが飛んでいるだけで赤ちゃんがつつかれたらどうしようと不安になった。などなど、似たようなエピソードがたくさん出てきて、私だけじゃないんだなと安心したものです。映画を観ていて、暴力的なシーンがつらくなって途中で観るのをやめた、という友人もいました。

その友人の言葉を借りると「(産後は)無防備になるというか。1番弱いものを抱えて、世界と対峙しないといけない」状態。うんうん、まさにその通り。自分の命に替えても惜しくないような大切な存在ができて、その存在を守ろうとする本能が、身の回りの世界のいろいろな危険を敏感に察知しているのかもしれません。

赤ちゃんが泣いている様子で、何だかいつもと違うな、具合が悪いのかな、と察する親の勘のようなものも、それに近いのかも。

パパとお昼寝タイム。蕗ちゃんより先にイビキをかき始めるマイペースな夫は、そんな夢は見ないそう。

でも、散歩中はビクビクしているだけでなく、小さな変化にも気がつきやすかったです。霜柱を踏むとサクサクいうかすかな音。膨らみかけている福寿草のつぼみ。仲間を呼ぶシジュウカラの鳴き声。寒さが緩んできた、春の気配。

小さな発見をするたびに、「見て、かわいい鳥さんが枝にとまってるよ」「ほら、雲が流れていくね」なんて蕗ちゃんに話しかけたり、一緒にお花の香りを嗅いでみたり(たいてい蕗ちゃんは口に入れてしまいますが)。そう、お散歩タイムは親と子で世界と対峙して、そして味わう、豊かな時間でもあるのです。

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蕗ちゃんと過ごす2度目の春がやってきました。道ばたで見つけたつぼみ、どんな花が咲くのかな。

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PROFILE 前村詩織 ピラティスインストラクター。日本で十数名しか保有していないオーストラリアのピラティス国家資格を取得し、ASICS Sports Complex TOKYO BAYなどでクラスを受け持つ。2020年長野に拠点を移し、フリーのインストラクターとして働きながら一男二女の子育て中。
https://www.instagram.com/shiorilates/
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