先輩パパとママの毎日コラム

vol.352 Hello New World!!「時を越えて、君を愛せるか(出産直前編)」

青木 昭信 2020/9/9

ミュージシャン、絵描き、会社員として、フォトグラファーの妻と夫婦で綴る育児奮闘記。今回は、緊張の連続だった出産直前についてです。

まだ少し眠いな。ぼんやりした意識の中で妻の声が聞こえた。仕事に行くためにセットしていたアラームより少し早い時間。メゾネットの下の階から「タオル持ってきて!」と叫んでいる。何のこと?まだ少し寝ぼけている。「破水したみたい!」

僕らは年齢的なこともあり無痛分娩を選択していた。なので計画的な入院出産という手順だと思っていたんだけど突然の展開。すぐに産院に連絡して準備にとりかかった。職場に連絡して休みを取り、準備していた入院バッグを手にタクシーに乗り込んだ。タクシーは登録していた陣痛タクシーサービス。赤ちゃんを授かるまではこんなものがあるなんて全然知らなかった。

産院に着いてすぐ「旦那さんはこちらでお待ち下さい」と待合場所で待機。そわそわ。前室に呼ばれ会いに行くと落ち着いてる様子。テレビ画面には子どもの頃から見ていた土曜日の番組が流れている。しばらく時間が経った今でもその番組を目にすると出産の日を思い出す。

まだまだ余裕の表情

前室から分娩室へ移動。あとはこのまま陣痛と闘い出産の流れなのだろうか。「まだ大丈夫だからご飯でも食べてきたら?」と妻に言われ、一度家へ帰りソファに座り一息。そしてすぐ陣痛の知らせで妻のもとへ。その一息がどれくらいの時間だったか、何か忘れ物を頼まれていた気もするし、何かを口にした気もするし、気が気じゃないとはこういうことなのだろうか。

産院へ向かう足は自然と早歩きになり頭の中では妊娠後期の母親教室に参加した時に見た出産シーンの映像が流れていた。妊婦さんの頭側から撮られているその映像は苦しそうにいきむ声とほどなく聞こえる産声、抱きあげられる赤ちゃんとバックに鳴り響く名曲。そんな感動的な映像とは逆に立ち合いを経験した友人に聞くと「何もできなかった」という意見も。なるべく落ち着いて対応しようと早歩きの足を少し緩めて歩いた。

麻酔の管がなんだか痛々しい

「痛い?」「大丈夫」

分娩台に横たわる妻はいつも通りによく喋り、携帯を片手に自分に起こっていることを時間ごとにメモしている。強い人だなと感心させられる。僕はいつもとは逆でカメラマン。記録係を任されている。カメラどころじゃなくなるんじゃないか、という不安もあるがいつか娘が見るであろう映像なのでしっかり撮らなきゃ。時計を映して、妻の顔を撮るのを何度か繰り返していた。

妻は友人から頼まれている妊娠ジンクスという赤富士も描いていた。

こちらは携帯のマークアップ機能を使って僕が描いた赤富士

頑張って描いている妻。出産前に大丈夫かなと心配する。だいぶ周期が早まってきたのか痛そうにしている時間が多くなってきた。僕は飲み物を渡したり、タオルを渡したり、話し相手になったり。どれくらいの時間を過ごすことになるのか分からないけど母子共に健康で今日が終わってくれることを心の底から願っていた。

(いよいよ出産へ!つづく)

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PROFILE 青木 昭信 音楽とお絵かきの得意な会社員。6ヵ月の育児休暇取得で育児奮闘中。最近家庭では料理人。
Instagram @aknbrega
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