先輩パパとママの毎日コラム
写真家・山本彩乃さんが綴る、ゆったり子育てライフ。今回のテーマは「写真」です。
産まれてきたわが子が、見ている世界。
それは、瞳の中に、ちゃんと写っています。
おなかの中から出てきたときは、ただただ、明るくて眩しくて。産まれて少し経ったころは、ぼんやりと見ていて。抱っこをしたときのお母さんの顔が見えるようになっていって、そのうち、だんだんと外の世界が見えるようになっていって。
4月、桜が満開のいい天気の日に、夫と息子と公園にお花見に行ったときのこと。ベビーカーに座っている、生後3ヵ月半の息子の目が、満開の桜の木の方を向いていました。
瞳の中を覗き込んだら、しっかりと彼の黒目に桜の木がたくさん写っていて、まだ言葉は話せないけれど、その眼差しに、「わ〜!きれいだなぁ!!!」と思っているに違いない!と感じました。
そのときに撮った写真を見ていて、こんなにもはっきりと景色が瞳の中に写るなら、私の方を見ている写真なら、私が写っているのでは?と思い、よーく見てみたら、しっかりと写っているではないですか……!!
よく思っていたのが、母親って一番一緒にいる時間が長いのに、子どもと自分が写っている写真があまり無いなあ……ということでした。
「なんだ、一緒に写っているじゃない。しかも、息子が私をしっかりと見ていてくれている、その瞳の中に私がいるって、なんか、とても嬉しい……!!!」と静かな感動がありました。
それから、意識して撮るようになり、思ったより写り込まないなあとか、こんなに広く写っているんだ!とか試行錯誤しつつ、息子の瞳の中でツーショットを楽しむ日々。
さかのぼって写真を見ていったら、意図せずにツーショットが撮れていたものもありました。
だいたいの人は、人物を撮るときに目にピントを合わせるので、顔が大きめに写っている写真で目にピントがきていれば、拡大してみるとツーショットが撮れている可能性もあります。
こんなこっそりとした、さり気ないツーショットも、なかなか良いものです。
ゆるやかに続けていって、いつか息子と一緒に見るのがひそかな楽しみです。