先輩パパとママの毎日コラム
「食とデザインとアート」をテーマに活動しながら、二児の子育てをする堀出隼さんと美沙さんのholiday流子育て回想録。今回の担当は美沙さん。長男の謡(うた)くんとの初めての3世代旅行についてのお話です。
上のお兄ちゃんの謡(うた)が生後3ヵ月のとき、私たち夫婦と謡くん、じいじとばあばの5人で新潟、松本の2泊3日の旅行に行きました。みんなが行きたかった大地の芸術祭・越後妻有アートトリエンナーレを見に行くことが旅の大きな目的で、赤ちゃんが生まれてからまだあまり遠出をしていなかった我が家にとって、ドキドキの旅行だったことをとてもよく覚えています。当時の私は、この2泊の旅行に行くことすら本当に行って大丈夫なのか?と、とっても心配していました。謡が風邪をひいたりしないか、刺激が多くて夜眠れなかったりしないか、などなど心配したことを挙げたらきりがないほど…。
今では子連れの旅もたくさん経験し、荷物の準備もパパッとできるようになりましたが、初旅行ではあれもこれもと荷物が増え、2泊3日なのに100Lのバックパックが満タンに!大きな荷物を主人に任せ、在来線と新幹線を乗り継ぎ新潟へ向かいました。新幹線の中、ぐずるかな?ぐずったらデッキに出てあやさないとなと、前もっていろいろシミュレーションしていましたが、授乳をしたくらいで特にぐずらなかった謡くんに、そんなに心配しなくてもいいよ〜とでも言われているかのようでした。
新潟へ着き、車で来ていたじいじ・ばあばと合流。まずは新潟名物へぎそばを食べに行くことに。実は、食べることが大好きな私の中では本当の目的であるアートトリエンナーレの作品の思い出よりも、このへぎそばと温泉の記憶が今となっては優ってしまっております(汗)。当時暮らしていた家の近所で赤ちゃんを連れて気兼ねなく外食できる所といえば、チェーン店のファミレスやファストフード店、唯一赤ちゃん連れでもいいよと言ってくれた定食屋さんくらい。夫婦2人だとどちらかが食事をしてどちらかが謡くんをあやしていましたが、じいじ・ばあばがいてくれるおかげで久しぶりのゆっくりとした外食。しかもこんなに美味しいへぎそばが食べられるなんて!来てよかった〜と、あれだけ心配していたのが嘘のように一気に楽しい気分に。もともと誰かに甘えることが苦手な私ですが、抱っこしてもらったり、あやしてもらったり、お願いすることもたまには必要だなと感じた瞬間でした。
この旅の中では随所でじいじ・ばあばから子連れ旅の楽しみ方を学びましたが、まずは車って便利だなということ。移動中にしっかり眠ってくれたり、ぐずってしまったら途中で車を止めて、綺麗な景色を見ながらちょっと休憩なんてこともありました。あるときはオムツ替えをさせてもらったり、赤ちゃんを連れていて大変だなぁと思っていたことが車で移動することによって快適に、赤ちゃんのペースで過ごすことができるんだと実感しました。
そして、赤ちゃんに合わせた旅のプランでも、大人も十分楽しいということ。アート作品が町のいろいろな場所にあるのですが、川沿いに設置された作品を見に行ったところ、ピクニックシートとおやつを用意してくださり、シートに座ってそれぞれアート鑑賞をしたり、瞑想をしたり、ばあばは太極拳をしたり、謡くんはシートの上に寝転がり楽しそうに空を見上げたり。ついつい大人のペースでいろいろと予定を立てがちですが、ちょっとしたアイデアや心の余裕で、こんなふうに楽しめるんだととってもためになったことを思い出します。
育児の真っ只中の旅行で、じいじ・ばあばに甘えられてとても楽しかったというのは間違いのない事実ですが、何よりこの旅行に来てよかった!と思ったのは、みんなで同じ部屋に泊まり翌朝目覚めたときに、隣で眠っている謡くんを嬉しそうに眺めているじいじ・ばあばの顔が見られたことでした。初めての旅をじいじ・ばあばという人生の先輩と過ごせたことで、子連れ旅やちょっとした休日の過ごし方の参考になり、子どもとの過ごし方への価値観も大きく変わりました。