先輩パパとママの毎日コラム
子育て中のアイテムをお気に入りで揃えると楽しいもの。ライターの藤沢あかりさんはどんなアイテムを使っていたのでしょうか。
子どもたちの離乳食や幼児食、おやつの話を書いた前回に続き、今回はそれを支えたお気に入りを振り返ってみたいと思います。
乳幼児期の食事まわりのアイテムって、便利でかわいいものがたくさんあって、とてもわくわくします。しかも、そのすべてが小さい!(当たり前だけど)ミニチュアやおままごとのようなワクワクも感じて、選ぶのも楽しいひとときです。
はじめての離乳食のために選んだのは、スプーンとお椀です。雑誌で知り、いつか自分もと思っていた木工作家が手がけるベビースプーン。裏には、ひらがなで名入れをお願いしました。
木なら、長く使えるし色の変化も楽しめると思ってのセレクトでしたが、天然素材のカトラリーで、ていねいで穏やかな食卓…なんていうのは理想の世界。
実際には、子どもが噛んだり、テーブルにガーンとぶつけたりして、娘のスプーンは2度欠けました。そのたびに削り直していただき、いまに至ります。
ベビースプーンは、一度にすくえる量も少なく、「親が口に運んであげる」時期にしか使えないので、本来の用途としての期間はあっという間だった気がします。でも、最初の道具というのはやはり、心に残るもの。わが家では、はちみつやジャムをすくうときに、いまもときどき食卓にのぼり、そのたびに、ふっと心を暖めてくれる存在となっています。
お椀は、岩手でつくられる浄法寺塗を選びました。子どものサイズに合わせた、持ちやすい小ぶりなつくりと、高台が広く倒れにくい設計だそうです。こちらも名入れをしてもらいました。
朝晩、毎日のように使い続けていて、小学3年生になったいまも現役。はじめての離乳食のときから、かれこれ8年以上使っていることになります。まだまだ活躍しそうですが、もし、これでは足りないと言われたら小鉢やごはん茶碗にするつもりです。
漆器は軽く、少々では割れることはありません。熱いものを入れても手に伝わりづらく、口当たりもやわらかいので、子どもにも扱いやすい素材です。傷や剥がれもずいぶん出てきましたが、塗り直しをすることで、長く使い続けられるところも気に入っています。
食べるほうの道具に対し、つくるほうで活躍したものといって真っ先に思い浮かぶのは、小さなマッシャーです。離乳食を機にブレンダーを買う人も多いかもしれません。わたしは娘のときも、その5年後の息子のときも、買おうかな、どうしようかな、と迷っているうちにその時期を逃してしまいました。
すりつぶしが必要な子どもが、一度に食べる量はほんの少しです。味噌汁やスープの味付け前に、柔らかく煮た野菜をお椀にとりわけ、このマッシャーでつぶす、というのをよくやっていました。フォークよりつぶしやすく、お椀に傷がつくこともありません。
当時よくつくっていたバナナ入りのパンケーキやマフィンも、これがあればあっという間だし、ゆで卵を1個だけつぶしたい、というときにも便利です。一体成型なので洗うのもラク。細かな部分に水滴が残って乾かないとか、収納に困るといった小さなストレスもありません。かさばらないので、旅行や帰省に持参することもありました。小さいですが、家族分のポテトサラダくらいなら、まったく苦にならず、スイートポテトをつくったり、アボカドやゆで卵をつぶしてサンドイッチにしたり、いまも一線で活躍のキッチン道具です。
小さなすり鉢も便利でした。特に離乳食の初期は、子どもの食べる量が少なすぎて、大きな道具では、すりこぎの目やミキサーの刃についた部分だけで3食分くらいあるんじゃないの……、と思ってしまいますが、このサイズなら大丈夫。小さな道具は、子どもが見ている食卓で作業ができるというのも、案外よかったように思います。
こうして振り返ってみると、いまも変わらず使っているものが多い気がします。暮らしに根ざす食ですから、その時間をともにする道具は思い入れもひとしお。いろいろ試しながら、お気に入りと出合えるといいですね。