先輩パパとママの毎日コラムvol.447

まだまだ新米おかあさん「毎日の子どものごはん作り」

2021/12/12
まだまだ新米おかあさん「毎日の子どものごはん作り」 まだまだ新米おかあさん「毎日の子どものごはん作り」

子どものごはんを毎日作るのは大変ですよね。ライターの藤沢あかりさんはどうしているでしょうか。

以前、お子さんが1才になったばかりで仕事復帰をした直後の人に聞かれました。「毎日のごはん、どうしていますか?本当に大変で大変で…」。わたしはどう答えるべきか、少し迷ってしまいました。いまなら、あっさりと思えるのです。食事は大人のごはんからちょっと取り分けてお湯でのばしてつぶせば、それだけでじゅうぶんだし、時間がないときは具沢山のお味噌汁とごはんがあれば、上出来。それもできないときは、レトルトやお弁当に頼るのも悪くないよ、って。

子どもが日ごとに食べられるものをひとつずつ増やしていき、その瞬間に自分が立ち会えるなんて、しあわせなことです。小さな口で一生懸命食べる様子を見られるのは、なんてかわいく、わくわくすることなのだろうと、うらやましくすら思います。

でも、当の立場にいたときは、楽しむなんてとんでもない。無垢で小さな子どもを前にすると、このひとさじが血となり肉となるのか、と思い、手抜きをするのもはばかられるような、なんだかうしろめたいような。少し大きくなっても、「子どもに与えたいもの」と「食べてくれるもの」の間で揺られ、限られた時間のなかで、栄養や手間や段取りや味付けその他いろいろなことがしっちゃかめっちゃかになっていた、あのころ。

息子が1才のときのお誕生日プレート。一見がんばったように見えますが、小皿の中は昨夜の残り物で、ハンバーグを作っただけ。長女のときは、全部手作りしたなぁ…(遠い目)。息子が1才のときのお誕生日プレート。一見がんばったように見えますが、小皿の中は昨夜の残り物で、ハンバーグを作っただけ。長女のときは、全部手作りしたなぁ…(遠い目)。

おそらく、当時のわたしも周りからそう言われていたと思うのです。でも、どうしても聞き入れられませんでした。そんなことじゃ栄養が。子どもの食の好みが。もっと自然な味わいを教えなくちゃ。こうすべき!という理想に近づくために、とにかく真剣そのものだった気がします。

長女の離乳食がはじまったとき、市販品などもってのほかだと思っていました。外出には必ず子どもが食べられる手作りのものを持参し、外食ができるくらいの月齢になってからも、子どもの分だけは、親指ほどのおにぎりやパンをいつもタッパーに詰めて携帯していたわたし。

おにぎりだって、白米じゃありません。栄養が摂れるように…と、野菜やシャケ(もちろん自分で焼いてほぐしたもの)、ゴマなどの具材たっぷり。いま思えば、おにぎりに込めていたのは栄養というより、わたしの念。

お出かけのときは、必ずお弁当を作っていました。バナナも忘れずに。お出かけのときは、必ずお弁当を作っていました。バナナも忘れずに。

おやつも手作りが基本です。週に一度はおからや米粉のクッキーを焼き、実家に帰るときにも大量に詰めて持っていくほどでした。母からは、「そこまでしなくても…」と、少々冷ややかな目で見られたりもしましたが、いまなら母の気持ちが痛いほどわかります。

水分のかわりに豆腐でこねる、きな粉ドーナツもよく作りました。水分のかわりに豆腐でこねる、きな粉ドーナツもよく作りました。

毎食のごはんも、写真を見返すと、丁寧に一口大に巻かれたのり巻きに、野菜が中心のおかずが3〜4品…具沢山のお味噌汁もかならずついています。驚くことに、うどんやパスタなど、いまなら一品で「今日はこれだけー」といって出すようなメニューにも、小鉢や具沢山スープがついています。写真を見ながら、そのおかず、一品でいいから7年後のいまください…と懇願したくなりました。

見た目は地味でも栄養満点。息子のときは、仕切り皿だとのせるおかずが足りないので、ワンプレートが定番でした(笑)。見た目は地味でも栄養満点。息子のときは、仕切り皿だとのせるおかずが足りないので、ワンプレートが定番でした(笑)。

その反動か、学びかはわかりませんが、下の息子が生まれたときには、離乳食らしい離乳食を作った記憶があまりありません。もちろん、人参やかぼちゃを蒸したり、おかゆをすりつぶしたりはしていましたが、外食時にはレトルトも大いに活用したし、お菓子も市販の小袋をいつも大量にストックしていました。おからクッキーを焼いたことは、記憶の限りではない気がします。

左は娘のときのお食い初め。右は、5年後の息子のときのものです。

ちなみにこの写真、左は娘のときのお食い初め。右は、5年後の息子のときのものです。鯛やケーキのあるなしはさておき(それもどうかと思いますが)、同じようなメニューに見えて、息子のときはすべてデパ地下&生協のお惣菜です…。ハイ、つまり盛り直しただけ(レンコンの飾り切りだけ頑張った模様ですね)。どっちがいい、悪いという話ではありません。

すべて自分が暮らしのなかで自然に、無理なくできていたら、まったく問題なかったはずなのです。むしろすばらしいことだし、そういった暮らしを心がけている人も、たくさんいらっしゃると思います。

わたしには無理があった、ということです。結局のところ、わたしは頑張り過ぎていたのだと思います。「こうしたい」という理想を掲げるあまり、その理想をなぞる暮らしに一生懸命になりすぎていたのかもしれません。

娘が2才のときにがんばって作ったバナナタルト。しかし、いまもケーキはさほど好きでない娘。このときも2のクッキーをひとくちかじった程度で終わり、翌年からは手作りをやめました…。娘が2才のときにがんばって作ったバナナタルト。しかし、いまもケーキはさほど好きでない娘。このときも2のクッキーをひとくちかじった程度で終わり、翌年からは手作りをやめました…。

愛情の表現の仕方は人それぞれです。食卓で表現する人がいる一方で、外の手を借りながら、別のかたちで愛情を表現する人もいます。今日はこっち、明日はそっち、でもいいですし、いろいろなパターンがあって、そのときそのときで選びとっていけばいいのかもしれません。

ただひとつ、少しだけ子育てのコマを先に進めたわたしが感じるのは、「〜〜じゃないとダメ」という思いは、ほんの少しゆるめられると、楽しくごはん作りに付き合っていけるように思うということです。

こうしなくちゃ、という思いは、裏を返せばそれだけ真剣に向き合っている証拠です。長く続く子育てですから、自分も子どもも、ごきげんになれる方法で食と向き合っていけたらいいですね。

藤沢あかり

PROFILE

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編集者、ライター。衣食住や子育てなど暮らしまわりを中心に執筆。主流・傍流にこだわらない視点で丁寧に取材し、分かりやすい言葉を使って伝えることがモットー。2012年、2017年、どちらも夏生まれの2児の母。
https://www.instagram.com/akari_kd/

(制作 * エチカ)

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