子育てエール!専門家による、ママパパ応援コラム

vol.118 パパの産後の育児のかかわり方ってどうすればいいの?【保育の専門家が解説】

小崎 恭弘 2022/2/17

待ちに待った赤ちゃんとの暮らしが始まります! 初めての育児、パパは赤ちゃん・ママとどうかかわり、どんなサポートをするといいのでしょうか? 産後の育児のかかわり方のポイントを、男性保育士でありファザーリングジャパン顧問の小崎恭弘先生にお聞きしました。

「育児が初めて」「お世話に慣れていない」は、パパもママも同じ!

ママは赤ちゃんを自分よりも上手に育てられて当然と思ってしまうパパもいるかもしれません。たしかに、お腹の中で赤ちゃんを育て、出産することはパパにはできません。でもたとえば、母乳をさく乳して保存しておいてもらえば、ママがあげられないときなどにパパが授乳できます。赤ちゃんの小さなつめを切るのは怖くて緊張するかもしれませんが、それはママも同じ気持ちです。

ママだって赤ちゃんのお世話は初めて。お世話に慣れないうちは、思うよういかなかったり、失敗したりすることももちろんあります。でも、何度か繰り返すうちに慣れていくから大丈夫! パパだからできないというお世話はほぼありませんから、まずはやってみましょう。

そして、とくに産後のママは自律授乳で1日の授乳回数が多くとても大変な時期です。家族に授乳以外のことを任せられるとママの心と体の負担が軽減できます。そのほかの赤ちゃんのお世話は積極的にパパが行い、料理、洗濯、掃除、ゴミ捨て等の家事全般もできるだけパパがするようにできるといいですね。

パパは「やっているつもり」でも、ママから見れば「やっていない」はなぜ起こる?

実際に育児がスタートすると、パパ自身は「自分は育児も家事もやっている」と思っていても、ママからしてみれば「やっていない」と感じるケースが少なくありません。そんなときは、育児や家事の項目を出して、まず視える化してみましょう。それをベースに夫婦で話し合いをしていくと、「平日は明らかにママの負担が多い」「おむつは替えていたけれど、後始末はママ任せだった」「夜、ママが授乳しているときにパパが食器を洗っておけば家事が早く終わりそう」などが見えてくるはずです。育児や家事をチームとして行うなら、どんなバランスがわが家にはベストなのかを意識して、話し合いをしましょう。

そのときに気を付けてほしいことがあります。それは、家事・育児を半分半分にすることが、必ずしも正しいわけではないということ。パパ・ママによって得手不得手もありますし、仕事や社会とのバランスもあります。つい育児・家事の効率ばかりを考えてしまいがちですが、それだけだと家族全員が息苦しくなります。ほかの家庭と比べるのではなく、わが家にとってはどんなバランスがいいかを夫婦で考えましょう。そして家族で作ったルールは家族で変更が可能です。赤ちゃんの成長や、夫婦をとりまく環境・状況の変化に合わせて都度柔軟に変更していけるといいですね。

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母乳育児を成功させるために家族ができるサポート、ママがしてほしいこととは【助産師解説】

パパがやりがちなNGワード・行動

夫婦で育児をしていく中で、パパがやってしまっているNGワードや行動があります。当てはまるものがあるパパは、これからに生かしましょう。

おいしいところ取りをしている

赤ちゃんがご機嫌なときは遊ぶけれど、泣いたりうんちをしたりしたらママにバトンタッチするなど、ラクで楽しいことしかしない……になっていませんか? それでは逆にママが大変になります。

やったことをアピールする

職場のほかのパパや自分の親と比べて、「それに比べたらやっている」と武勇伝をママに語るのはやめましょう。まわりと比べるのではなく、自分の家庭ではどうかを考えないとママとの溝は深まってしまいます。

自分とママを比べる

「僕がしたときは離乳食全部食べたよ」「僕が抱っこしたら泣きやんだよ」など、うまくいった自分の育児とママの育児を比較するのはやめましょう。ママはライバルではなく、チームの一員です。お互いに感謝しほめ合える関係を目指しましょう。

パパのお悩みQ&A

赤ちゃんやママとのかかわり方で、パパたちが悩みがちなことについて、小崎先生に答えてもらいました。

Qパパだってちょっとは息抜きしたい! そんなときはどうすればいい?

Aママは息抜きできているかも確認しよう

息抜きするのはとてもいいことですが、ママは息抜きできているかをちゃんと確認しましょう。パパだけが息抜きをして楽しんでいるとき、ママが大変とならないように気を付けて。家族でお出かけして、それぞれが自由時間を持つなど、赤ちゃんと一緒に息抜きができるようにしていけるといいですね。

Q平日の日中はかかわる時間がなく、パパ見知りされないか心配

A赤ちゃんが成長している証し。めげずにその時を待って

赤ちゃんは特定の養育者(この場合はママ)との関係性・愛着が形成されることで世界が広がっていくので、その過程でパパ見知りされることもあります。人見知り・パパ見知りは、赤ちゃんの記憶や認知がしっかりしてきた証拠。いつかは治まるので、その時を待ちましょう。この時期に、嫌がるのに抱っこするなど、無理に慣れてもらおうとするのも控えて。

Q出産後、ママが変わってしまった気がします

Aママ自身にもコントロールできないつらい時期です

産後はどうしても赤ちゃんのことが最優先になります。また、出産によってママはホルモンバランスが大きく変化し、産後はママ自身もそれをコントロールできずつらい時期でもあります。ママの変化に戸惑うパパは多いですが、今は大変な時期なのだということを理解し、そんなママの変化を受け止めてサポートしてあげましょう。

まとめ

赤ちゃんの育児は待ったなしなので、大変なこともたくさんありますが、楽しいことやうれしいこともたくさんあるはずです。そんな大変さと楽しさの両方を経験できるのが育児の醍醐味。育児を通して、赤ちゃんが成長する喜びを夫婦で分かち合い、家族みんなで成長していけたらいいですね。

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PROFILE 小崎 恭弘 大阪教育大学教育学部学校教育教員養成課程家政教育部門(保育学)教授 兵庫県西宮市初の男性保育士として施設・保育所に12年勤務。三人の男の子それぞれに育児休暇を取得。市役所退職後、神戸常盤大学を経て現職。専門は「保育学」「児童福祉」「子育て支援」「父親支援」。NPOファザーリングジャパン顧問、東京大学発達保育実践政策学センター研究員。テレビ・ラジオ・新聞・雑誌等にて父積極的に発信を行う。「男の子の本当に響く叱り方・ほめ方」(すばる舎)、「育児父さんの成長日誌」(朝日新聞社)、「パパルール」(合同出版)など、著書多数。
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