先輩パパとママの毎日コラム

vol.337 愛するプニプニ「もうすぐ産まれる~本陣痛編~」

かみやかやこ 2020/6/25

イラストレーターかみやかやこさんの愛情たっぷり子育てダイアリー。前駆陣痛で二度夜間外来に向かうものの二度とも不発……。そして二度目に病院から帰った晩のこと。どんどん痛みが大きくなる。ついに!本陣痛がやってきた!初産、自然分娩までの体験談。

二度目の時間外診察の結果、「出産までは、まだまだ」ということで、帰宅。それから2時間経った深夜24時頃。い、い、痛い。なんだか、ものすごーーーく痛い。今までの前駆陣痛の痛みとは、全然違う。これが本陣痛だ!とはっきり確信できた。しかし、陣痛時間を計ってみるが、まだ間隔はあいている。病院から帰ったばかりだし、とりあえず今晩は、この痛みを頑張って乗り越えるしかない。

夫とふたりで布団に入るが、定期的にやってくる痛みで眠ることができない。おとなしく横たわっていることもできない。体の中で交通事故が起きてる感じ、とでも言うのだろうか。ゴリゴリゴリゴリ、ドゥンドン、ズズンズズン。うまい擬音語が見つからない。力強い何かが、ぎゅううううっと内臓と骨をねじっている。こんな強い痛みが健康的な体の中で自然発生するなんて、一体どういうことなんだろうか。生きてきた中で、もちろん一番痛い。これから出産する人を脅すわけではないが、本陣痛は痛い。でも、本当に痛いから、私のように前駆陣痛でビビって、何度も夜間外来に向かうようなことはしなくて良いと思う。

3分ほどの痛みの時間が終わると、その後は不思議なことに全く痛くない。しかし、15分後くらいに確実に次の痛みはやってくる。夜の闇の中、痛くない時間も次にくる痛みにハラハラして、休まらない。ベッドの隣の棚をつかんでいないと、痛みを我慢することができない。よくわからない汗でびっしょりだ。深夜過ぎたので、さすがに眠気もある。けれど、ウトウトしてるところに痛みはやってくる。夫も仕事が忙しい時期で、私を気遣って早めに帰宅してくれたり、疲れも溜まっているだろうから、ゆっくり寝かせてあげたい。が、しかし、唸りながら身をよじる人間が横にいたら、寝れなかろう。そんなことを繰り返していると、窓の外が明るくなってきた。日の光で、気持ちも少し楽になり、起き上がることにした。夫も心配そうに起きてきた。

きっと、午後には出産になる。夫は「早めに帰ってくるから」と、急ぎの仕事を片付けに会社へ向かった。夫を見送り、私は「体力をつけておかないと」と、米を炊いておにぎりを作った。痛みがきたら、握るのをやめて、ううう……としゃがみこむ。前日に冷蔵庫を空っぽにしたので、おにぎりだけ、痛みがない時間にむしゃむしゃと食べる。

痛みがない時は、本当に元気なのだ。「大丈夫、大丈夫」と実家に連絡したり、アロマを垂らした湯船につかったり、撮りためていたドラマを観る余裕もある。笑っていられる。ただ、痛みがくると、本当に、痛い。

しかし、なかなか陣痛時間が短くならない。この状況で病院に向かい、もし万が一、帰ることになったら……もう一晩、この痛みを家でこらえるのは、勘弁したい。不安と痛みはますます大きくなるが、一向に間隔が短くならない。午後になり、夫が仕事から大急ぎで帰ってきた。話し相手がいると、気持ちは軽くなる。ゴルフボールで痛み逃しのツボを押したり、私のあれこれの指示に俊敏に動いてくれた。本人曰く、「出産知識がないから、言うとおりに動くのみだった」とのこと。両親学級でも赤ちゃん人形の作りを笑ったり、始終ニヤニヤしていたので、この人どういう対応するのかな……と思っていたが、案外テキパキ動いてくれたので、助かった。

夕方になり、やっと陣痛間隔が5分になった。待ちくたびれた夫はウトウトしている。あぁ病院に連絡しよう……と電話をすると、「頑張りましたね!お気をつけて病院にいらしてください」と言われ、思わず、ぶぁっと涙が出た。やっと産める……。出口が見え、安堵した。「ありがとうございます」と電話を切り、涙を拭き、一息、深呼吸した。そして夫に「病院に行きます」と告げる。夫がタクシーを呼び、入院バッグを持つ。私はコートを着る。実家に連絡をして、ふたりで病院に向かった。

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PROFILE かみやかやこ 多摩美術大学グラフィックデザイン学科卒業。デザイナーを経て、イラストレーターとして独立。2018年に女の子、2021年に男の子を出産。愛情たっぷり注ぎながら、子育てを楽しんでいる。好きなものは、海、コーヒー、いい香り、植物、ドラマ、美容情報、美味しい食べ物、アイドル。
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