子育てエール!専門家による、ママパパ応援コラム
大人と違って「のどが渇いた」「暑い」とは言葉にできない赤ちゃん。暑い夏、赤ちゃんの熱中症が心配ですよね。そこで赤ちゃんの水分補給には、なにを、いつ、どのぐらいあげたら良いのかなどの疑問を石戸谷小児科の石戸谷院長に聞きました。
赤ちゃんが熱中症になりやすい理由はおもに以下のとおりです。
・体温調節機能が未熟なので暑いときは熱がからだにこもって体温が上昇しやすくなる
・体重の約70~80%が水分なので、汗をかいたときに大人よりも早く水分不足の影響を受ける
・自分で水分補給や衣類の調節ができない
など
これらの理由から、赤ちゃんが熱中症にならないように、大人が水分補給や衣類の調整などに配慮することが大切です。
からだのなかの水分の割合は大人は6割ほどですが、新生児期は8割ほどあり、成長とともに少しずつ変化していきます。そのため適切な1日の水分補給目安量も月齢に応じて変化します。目安としては、3ヵ月頃が750~850ml、6ヵ月頃が950~1100ml、1才頃が1150~1300mlぐらい。体重や食欲や体格などには個人差があるのであくまでも目安と考え、赤ちゃんの成長や体調に応じて様子を見ながら水分補給をおこないましょう。
赤ちゃんの水分は離乳食を始める前と開始後で区別して考えましょう。
*離乳食をはじめる前の赤ちゃんの飲み物
離乳食を始める前の生後5ヵ月ぐらいまでの赤ちゃんは母乳とミルクでOKです。完全母乳育児の場合、母乳の8割以上が水分でできているためママが水分不足にならないようしっかり水分を摂取することが大切です。もしも、気温が暑いときやお風呂上がりで汗をかいたときなど赤ちゃんの水分不足が気になる場合は、生後1ヵ月を過ぎたら母乳やミルクのほかにベビー用麦茶を飲ませても構いません。ただし、この時期の赤ちゃんの栄養源である母乳やミルクを飲む量が減ることにならないように授乳の直前は避けるようにしましょう。
*離乳食開始後の赤ちゃんの飲み物
離乳食初期の頃は母乳や育児用ミルクが水分補給の中心でOKですが、離乳食を進めるとともに母乳とミルクの回数・量が減ってきます。母乳やミルクが減ってきたら、湯さまし(一度沸かしたお湯を人肌程度に冷ましたもの)や麦茶での水分補給もスタートしましょう。なお、麦茶は市販のベビー用麦茶が赤ちゃんに合わせて薄めてあるので便利です。生後9ヵ月以降は赤ちゃんが活発に動くようになるので赤ちゃんも水分を欲しがるようになるでしょう。
水分補給は離乳食時のほか、お風呂から上がったとき、外出する前や帰ってきたとき、遊ぶ前や遊んだ後、よく泣いた後、お昼寝などから起きたときなど、汗をよくかいたときにおこないましょう。ただ、赤ちゃんが水分を飲みたがらないときは足りているのかもしれません。そのようなときは無理に飲ませなくても良いでしょう。また、水分が不足してくるとおしっこの色が濃くなったり量が少なくなったりします。このような様子がみられたら積極的に与えるようにしてください。
赤ちゃんは言葉でのどが渇いたことを伝えられないので、大人は赤ちゃんの水分補給を意識しておく必要があります。汗をたくさんかいているときはとくに気をつけてあげましょう。また、離乳食に汁ものを用意するとさらに水分を摂取することができます。水分補給をしっかりおこなって暑い夏を楽しく乗り切りましょうね。