子育てエール!専門家による、ママパパ応援コラムvol.80

出産費用っていくらかかるの?妊娠・出産にかかる費用ともらえるお金を助産師が解説!

2020/11/10
出産費用っていくらかかるの?妊娠・出産にかかる費用... 出産費用っていくらかかるの?妊娠・出産にかかる費用...

妊娠が判明した方から「出産はどのぐらいお金がかかるのか」「健診にいくときにかかるお金は」などとよく聞かれます。初めてのことで妊娠・出産にはいくらお金がかかるのかなと疑問に思ったり不安に思ったりするのは自然なこと。そこで今回は妊娠中に受ける妊婦健診などの費用や出産にかかる費用について具体的にお話します。

妊婦健診の費用は?自治体が交付する補助券とは

妊婦健診でエコーを見ている様子

妊娠中はおなかの赤ちゃんや妊婦さんの健康のために定期的に妊婦健康診査(通称、妊婦健診)を受けることが大切です。厚生労働省では、妊娠初期~23週までは4週間に1回、妊娠24~35週までは2週間に1回、妊娠36週~出産までは1週間に1回の、合計14回の受診を標準としています。

気になる妊婦健診費用ですが、検査内容により異なり1回3,000~15,000円程度。妊娠は病気ではないため健康保険が適用されません。ですが、妊婦さんが費用の負担を軽減して妊婦健診を安心して受けられるよう、各市区町村では妊婦健診費用を助成する補助券を交付しています。補助券は14回分のところがほとんどですが、市区町村によっては無制限のところも。また助成される金額は自治体によって差がありますが2016年の調査によると全国平均は約105,000円。この補助券で妊婦健診費用はほとんどまかなえる場合もあれば、足りなくて追加費用がかかる場合もあります。医療機関によっても妊婦健診費用は異なるので、事前に調べておくと安心ですね。

なお、妊娠は健康保険がきかないとお伝えしましたが、もしも検査のなかで病気が見つかり治療することになれば、その費用には健康保険が適用されます。

(参考)
厚生労働省「(参考)妊婦健康診査の公費負担の状況」
https://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12601000-Seisakutoukatsukan-Sanjikanshitsu_Shakaihoshoutantou/0000035240.pdf

分娩・入院などにかかる出産費用の平均は約51万円!

出産費用を計算している妊婦さんの画像

出産費用には分娩料、入院料、検査・薬剤料、処置・手当料、新生児管理保育料などの費用が含まれています。国民健康保険中央会によると2016年度の全国の出産費用は約51万円(※1)。出産費用も健康保険はきかず全額自己負担ですが、健康保険から出産一時金が42万円給付されます。実質的な負担額は数万円程度になることが多いでしょう。

ただ、医療機関により金額はさまざまなので、出産一時金内でおさまることもあれば、20万円や30万円などの追加の支払いが必要になることも。また、出産費用は地域差が大きく、東京都では平均金額は約62万円(※2)。追加の支払いが50~60万円になるケースもあります。

追加の支払いなどについては次に具体的にお話します。

(※1)国民健康保険中央会出産費用の全国平均値、中央値(様式1~4)
https://www.kokuho.or.jp/statistics/birth/lib/h28nendo_syussan1-4.pdf

(※2)正常分娩分の平均的な出産費用について(平成28年度)
https://www.kokuho.or.jp/statistics/birth/lib/h28nendo_syussan5.pdf

出産時の追加費用は予期せぬものが発生する可能性も

病室の画像

出産費用は分娩スタイルや処置内容や入院施設の条件などによって異なります。

自然経腟分娩よりも無痛分娩の方が10万円~20万円ほど高くなりますし、入院する部屋も相部屋ではなく個室にするとその分費用は上がります。相部屋を希望していたとしても混雑していて個室しか空いていない場合には思わぬ追加費用が発生することに。また夜間や土日祝日の出産にも追加費用がかかります。

なお、赤ちゃんが出てこられず吸引分娩を行ったり、帝王切開術などの医療処置を伴う分娩にはそれぞれ追加費用がかかりますが、健康保険が適用されて、費用は全体の3割負担となります。またその場合、民間の医療保険が適用されることもあります。契約している保険内容をチェックしておき、必要に応じて診断書などの作成を医師に依頼しましょう。

このように出産時に予期せぬ追加費用がかかる可能性もあるので、いざというときに焦らなくてすむよう準備しておくと安心ですね。

まとめ

夫婦で話している様子

妊娠・出産には思ったよりもお金がかかるな・・・と思った方もいるかもしれません。ですが、助成制度などを活用することで自己負担を大きく軽減することができます。医療費控除の対象になるものもあるので、確定申告用に領収書は保管しておきましょう。また、地域や医療機関によっても金額には差があるので事前に病院に確認したり、パートナーと話しあったりして準備をしておくと安心です。みなさんが楽しいマタニティライフを過ごして素敵な出産を迎えられるよう心より願っています。

榎本美紀

PROFILE

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2001年に助産師免許取得後、杏林大学医学部付属病院・さいたま市立病院・順天堂大学練馬病院の勤務を経て、2013年に埼玉県さいたま市に訪問型の助産院「みき母乳相談室」を開業。病院勤務での経験を元に、地域の母乳育児を支援している。訪問時の相談は、母乳だけではなく離乳食や抱っこひも、スキンケア、寝かしつけなど多岐にわたる。また、おむつなし育児アドバイザーとして、トイレトレーニングなどの相談も受け付けている。自身も一児の母として子育てに奮闘中。
「みき母乳相談室」

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