子育てエール!専門家による、ママパパ応援コラム
待ちに待った赤ちゃんの誕生は感動的で幸せなもの。ですが、いざ育児が始まると、おむつ替え、授乳、寝かしつけなどに赤ちゃんのお世話は待ったなし。生まれたばかりの赤ちゃんはよく泣くので、なかなか泣きやまないときはストレスを感じてしまうこともあるでしょう。今回は小児科医の保田典子先生に赤ちゃんが泣く理由と、対処法について教えて頂きました。泣く理由と対処法のポイントをおさえて、できるだけ楽しく育児ができるといいですね。
生まれたばかりの赤ちゃんは、暑い、寒い、おなかがすいた、眠い、痛い、かゆいなどの生理的な要求を泣いて知らせます。赤ちゃんにとって泣くことは唯一のコミュニケーション手段。赤ちゃんが泣くのも、なかなか泣きやまないのも自然なことなのです。
赤ちゃんが泣くたびに抱っこ、おっぱい、おむつ替えなどで赤ちゃんの要求を満たしてあげると、赤ちゃんは自分が守られていることを感じ、やがてママやパパへの信頼感が芽生えてきます。これは赤ちゃんの心を育てるうえでとても大切なことといえます。
赤ちゃんに泣き続けられるとつらいものですが、赤ちゃんが泣いている理由を考えていくつか対応してみましょう。育児グッズの活用でママやパパの負担を軽減させるのもいいかもしれません。赤ちゃんの要求にあてはまったときに赤ちゃんは満たされ、たいていの場合泣きやみます。それを繰り返していくうちにママやパパも泣いている理由が少しずつ分かってくるでしょう。
赤ちゃんが要求していると思うものをいろいろ試してみましょう。
おっぱいやミルクを飲んだ量と授乳時間の間隔から推測して空腹が考えられるようであれば、授乳してみましょう。すぐに口を離してしまうようであれば違うことで泣いているのかもしれません。
抱っこをしたり、背中をトントンしたり、おしゃぶりをくわえさせてみましょう。寝付く時間であれば、泣いたままでもベッドに横にしてもいいでしょう。背中スイッチの予防にもなります。抱っこは長時間していると疲れてしまうので、お出かけ先でもおうちでも抱っこひもを活用すると便利です。肩腰の負担が軽減されますし、両手があくので抱っこをしながらちょっとした家事もできます。ママやパパにくっつけると赤ちゃんは安心するので、柔らかい布で包み込んで密着できるタイプの抱っこひもを探しておくとよいでしょう。
・ママやパパの体の負担をラクにする「疲れにくい」抱っこの姿勢とは?
またおしゃぶりは眠いときだけでなく、赤ちゃんの心を落ち着けてくれることがあります。電車やお店の中など公共の場で泣いたりぐずったときに上手に使えば、赤ちゃんは落ち着き、ママやパパの気持ちを軽くするサポートをしてくれます。赤ちゃんがくわえたまま眠った場合は、安全のために必ず外しましょう。
・おしゃぶりは、どれくらいの人が、どんなところで使っている?
赤ちゃんは暑すぎる、寒すぎるなどの理由で泣くこともあります。汗をかいていたらからだを拭いて着替えさせたり、冷えていたら衣類を一枚足したりして調節しましょう。赤ちゃんは生後1ヵ月を過ぎたあたりから大人より暑がりになることが多いので、汗が多いときは衣類を減らすのもよいでしょう。エアコンで室温を調整するのもよいですね。
おむつが濡れていて気持ちが悪くて泣いているのかもしれません。おむつをチェックして、濡れていたら取り替えましょう。
肌がかゆくて泣くこともあります。原因は、衣類がチクチクする、湿疹や虫さされ、肌の乾燥などさまざま。衣類や肌をチェックして、着替えさせる、塗り薬や保湿剤を塗るなどの対応をしましょう。湿疹などの症状がひどいときは病院を受診してください。
げっぷ不良や便秘などによっておなかに痛みを感じていることがあります。げっぷをさせたり、便秘解消法を試してみましょう。便秘解消には、おへその下をスタート地点にしておなか全体を「の」の字を描くように手でさすってあげるマッサージや、赤ちゃんの両足を自転車をこぐようにして動かすなどの方法があります。おなかが大きいなと感じたときは綿棒で刺激してみるのもいいでしょう。
赤ちゃんも人間なので、ご機嫌なときもあれば不機嫌なときもあるもの。淋しい、甘えたいと感じていることもあれば、ただ泣きたいだけということもあるかもしれません。
そんなときは抱っこでゆらゆらする、おくるみでくるむ、ビニールをくしゃくしゃさせたときに出る音を聴かせる、ドライブで心地よい振動を与えるなどを試してみましょう。ゆらゆらする子宮にいたときの状態を思い出せてあげることで落ち着くことがあります。
または、気分が変わるだけで泣き止むこともあるでしょう。抱っこでお散歩したり、バルコニーに出てみるというのも有効かもしれません。
赤ちゃんは体調が悪くて泣いている場合もあります。いつもと泣き方が違う、うんちの状態が違う、おっぱいやミルクの飲み方が違う、顔色や唇の色が悪い、というなんらかの異変を感じるようであれば、病気などのサインかもしれません。病院を受診して相談しましょう。
だんだんと泣く理由が分かってくるものの、時期などによっては何をしても泣きやまず、イライラしてしまうこともあるでしょう。そんなときは少し赤ちゃんと離れるのもおすすめです。赤ちゃんが泣き続けて心配になるかもしれませんが、見守れる範囲で距離をとり、少し時間をおいてからあやしてみましょう。
なお、研究によると泣きのピークは生後1~2ヵ月頃で、この頃は何をやっても泣きやまない、激しく泣くことも多い時期といわれています。ですが、生後5ヵ月ぐらいになるとだんだんおさまっていくもの。そのことも理解しておくと、少し気持ちがラクになるかもしれませんね。また、よく泣く赤ちゃんで育児に負担を感じるようであれば、ひとりで悩まず、家族や地域の子育てセンターなどに相談してサポートを得るようにしましょう。