先輩パパとママの毎日コラム

vol.48 後藤家のちちとははの子育て日記 母編

後藤明咲実 2016/12/7

京都の海の町・久美浜で暮らす後藤さん家族は、ちちとははとこの夏に生まれたばかりの息子・季之介くんの3人暮らし。はは・明咲実さんが振り返る、赤ちゃんに出会う前のはなし。

2015年10月のはじめ頃、コウノトリが1羽飛んでいるところを見かけた。お、珍しいな。何かいいことがあるかもしれない。

翌週、またコウノトリを見かけた。今度は2羽。さらに翌週は3羽見かけた。

次の週は4羽見られるかもしれないと思ったが、4週間連続は見かけなかった。その代わり、違うものを見た。

夢。ベッドで寝ている私たちの横に、大きな花の蕾が出てきて、その花びらが解けていくと、赤ちゃんが出てきた。その赤ちゃんは私たち夫婦に似ていた。

それから1週間後、妊娠していることが分かった。

この不思議な出来事の連続は、赤ちゃんが今からお腹の中に行くからねと予告していたのかもしれない。

赤ちゃんを授かった喜びでいっぱいになったのも束の間。最初の試練はすぐにやってきた。

妊娠5週目につわりがやってきた。最初は少し気持ち悪いなという程度だったが、日に日に症状は悪化した。匂いに敏感になり、テレビでお肉が映っているだけで吐き気がした。ご飯がまともに食べられなくなり、食べられたのは、トマトにレモン汁をかけたもの、ヨーグルト、サラダ巻き。とにかく、さっぱりしたものかすっぱいものが欲しかった。欲しいと思ったものでも口に入れると吐いてしまった。体重もどんどん減っていった。

そんな時の心の支えは「気持ち悪いということは赤ちゃんが元気な証拠だよ」と先生が言ってくれた事や健診時にもらったエコー写真を見て我が子の成長を何度も確認できた事だった。

12月に入り、水分も吐いてしまう。あまりにも辛いので、病院に行った。尿検査をすると、ケトン4+。飢餓状態ということを告げられる。そして、入院することになった。幸いにも10日程の入院で済んだが、退院後も体調は不安定だった。いつまで続くか分からないつわりに心がポッキリ折れてしまった。あんなにオエオエ吐いたのは人生で初だった。

つわりが落ち着くと、ご飯が食べられるようになり安心した。しかし、今度はお腹が痛く、よく張るようになる。私の周りに流産の経験をした人が何人かおり、とても不安になってきた。治療も受けて1年かかって授かった子、なんとしても産みたい。少しふっくらしてきたお腹を撫でて、大丈夫?苦しくない?と話しかけたりした。張り止めを飲みながら過ごすが、ずっと不安だった。

そんな中でも、月1回の健診の日は楽しみだった。

心臓がドキドキ動いていて、確かにお腹の中で生きている、大きくなっている事が嬉しくてエコーのモニターを見ながら涙があふれそうになった。

妊娠4ヵ月の健診の時、エコーでちらっと見えてしまった。あれ?ついている気がする。そして、妊娠5ヵ月の健診の時に男の子と確定した。

旦那さんと赤ちゃんの名前の話をした。古風な名前がいいという事は一致していた。旦那さんは〜之介、私は〜太郎がいいなと話をして、候補を一つずつ挙げて、生まれてきた赤ちゃんの顔を見てからどちらにするか決めようという事になった。

胎動を初めて感じたのは妊娠5ヵ月の時。下腹部からポコポコと控えめなキックを感じ取った。大きくなってきたお腹を撫でたり、お腹に話しかけたりしてキックに応えた。胎動を感じるようになってから、まだ見ぬ我が子がなお愛おしくなってきた。日に日に強くなっていく胎動。ドンドコドンドコ毎日お腹で動き回っている。時々、グルンと回転したり楽しそう。胎動は臨月に入ってからもおさまる事はなく、激しさを増した。キック、パンチも結構痛い。男の子だから力強いのかな。うん、今日も元気だ。

食欲が増してきたのは妊娠6ヵ月頃。今度はどんどん体重が増えていく。1ヵ月で4kgも増えてしまった。つわりで減ってしまった体重から出産までに11kg増やす事が目標だったが、これでは、すぐに目標を達成してしまう。もちろん、おやつ禁止になった。晩御飯は旦那さんのお母さんとお父さんにお世話になっていたので、体重の事を話すとお腹いっぱい食べてもいいように野菜中心のメニューに変えてくれた。本当に有難かった!家族の協力もあって、体重増加は落ち着いてきた。

出産予定日が迫ってきたある日、食倒れツアーに出かけた。美味しいハンバーガーランチ、ずっと食べてみたかったさくらんぼ山盛りパフェを食べて、焼き菓子屋さんでマフィンやタルトを買って帰った。夜には大好物のメロンも食べた。お腹と心を満たして、これで思い残す事はないと思った。

出産直前に旦那さんに言おうか言わまいか迷った事がある。

出産は命がけだ。もし、出産時に私と赤ちゃんの命に関わる緊急事態が起きたら、赤ちゃんの方を優先するようにと。でも、結局言わなかった。言わなくても私の気持ちは分かってくれている気がした。治療、妊娠を通して夫婦の絆は強くなったと感じた。妊娠するまでに1年もかかったと思ったが、今はこの1年は私たちに必要な期間だったと思える。

お腹に来てくれた赤ちゃん、旦那さん、本当に本当にありがとう。

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