赤ちゃんがしゃっくりをしていると、小さなからだを震わせる姿に、「このままにしておいていいのか」、それとも「止めるなど対処したほうがいいのか」と迷ったり心配になったりするのではないでしょうか。 そこで、石戸谷小児科の石戸谷院長に、赤ちゃんのしゃっくりについて原因と止める方法、そして予防方法を教えて頂きました。
赤ちゃんにしゃっくりが頻繁に起こる原因
しゃっくりは横隔膜がけいれんしている状態なのですが、赤ちゃんは、母乳やミルクを飲んだときに空気も一緒に飲み込んでしまうため、しゃっくりが起こりやすくなります。飲み込んだ空気で胃が大きく膨れて横隔膜を刺激し、けいれんが起こるためです。
また、赤ちゃんは体温調節が苦手です。からだが冷えたときなどに横隔膜が収縮し、しゃっくりを引き起こすこともあります。
これらの理由から赤ちゃんにはしゃっくりが起こりやすいのですが、成長とともに頻度は自然に減っていきます。
しゃっくりを止める3つの方法
基本的にはしゃっくりは5分~30分くらいの間に自然におさまるので、冬場なら室温が20度ぐらいなどの適温になっているかどうかや、赤ちゃんのからだが冷えていないかチェックして見守るだけで構いません。しかし、長引いているなどで気になるときは以下の方法を試してみてください。
1)背中をトントンしてげっぷをさせる
一緒に飲み込んだ空気が胃を膨らませて横隔膜を刺激しているので、げっぷを出してあげるとおさまるかもしれません。
2)縦抱き抱っこで背中をなでる
からだを垂直にすることで横隔膜への負担を軽減できます。また、なでてあげると赤ちゃんの血行が改善されてしゃっくりが止まることもあります。
3)からだを温める
おしっこでおむつが濡れている、汗で肌着が濡れている、温度差のある外へでたときなど、寒さが刺激となってしゃっくりをしていると考えられるときは、その原因を取り除いたり、室温を調整したり、お風呂にいれたりして赤ちゃんのからだを温めてあげましょう。
しゃっくりを予防する方法
授乳時に、母乳やミルクをゆっくり飲むことが大切です。飲むスピードが速いと横隔膜を刺激しやすいため、途中で休憩して間をおきながら授乳するなどして赤ちゃんがゆっくり飲めるようにしましょう。
また、空気の飲み込みを防ぐこともしゃっくりの予防になります。母乳もミルクも授乳の際に吸着がしっかりできることで余分な空気を飲み込みにくくなるので、乳首と赤ちゃんの口の隙間をできるだけなくすようにしましょう。
工夫しても空気を飲み込んでいることがあるので、授乳後はげっぷをさせてあげるとなお予防になりますね。
まとめ
小さな赤ちゃんがしゃっくりしている姿をみると、ママパパは心配で止めたい気持ちになることがありますよね。ですが、しゃっくりは自然におさまることが多いもの。赤ちゃんにしゃっくりが多いのは成長過程の1つで、母乳やミルクが上手に飲めるようになるにつれて起こりにくくなります。あまり気にしすぎず見守るのがちょうど良いかもしれません。
また、病気の症状としてしゃっくりが出ることはまれですが、元気がない、母乳やミルクをあまり飲まない、ぐったりしているなどのときは病院を受診しましょう。
PROFILE
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小児科 | 石戸谷小児科 院長
医師、医学博士。1981年徳島大学医学部を卒業後、東京慈恵会医科大学小児科入局、都立母子保健院及び慈恵医大付属第3病院勤務を経て1995年現職に。日本小児科学会認定 小児科専門医、日本アレルギー学会認定 アレルギー専門医、日本血液学会認定 血液専門医。