アウトドアスタイル・クリエイターとして、幅広く活動する四角友里さん。SNSでもご家族で自然の中で過ごす楽しい時間の様子を発信されていますが、コモドライフでは２話連載の特別インタビューをお届けします。後編では、自然に囲まれた町への移住、そして親子一緒に訪れる山や自然の中での過ごし方などについて伺いました。
——出産後すぐに、自然が近い神奈川県鎌倉市に移住されましたね。
友里さん
妊娠前から暮らしの中に自然があるのはいいなと考えてはいたのですが、なかなか動けずにいて…でも子どもができたことで思い切って舵を切ることができました。あのまま都会で暮らしていたらどんな子育てをしていたのかなと想像することもありますが、今の暮らしに辿り着けたのは息子のおかげだねって夫婦で話をしているくらい、今ではとても気に入っています。山とのかかわりも、子どもが生まれる前は仕事だったり、どうしても休日の趣味のような部分もあったのですが、今ではすっかりライフスタイルの一部になりました。
——今２才になった息子さんとも、赤ちゃんのころから一緒に山に行かれていますね。
友里さん
赤ちゃんのころは抱っこやおんぶで、今は子どものペースでのんびり歩いています。息子は鳥の声に振り向いたり、いつもキョロキョロしていて楽しそうですね。我が家にとって山登りはスポーツでもないし、必ず山頂に行かなきゃダメというものでもないんです。みんなで仲良く時間を過ごすためのもので、子どもも楽しんでいないとあまり行く意味がないなと思っています。子どものキラキラした時間は大人の私たちにとっても大切な時間。そうそう、息子は私が山に行く準備をしていると、「さんぽ？おさんぽにいくの？」と言ってうれしそうにするんです。鎌倉は山が身近にあるので、息子にとっては「山登り」という特別なものではなくて、「散歩に行く」という感覚なんだなと、その言葉を耳にするといつも微笑ましくなります。
——妊娠や出産を経て、山へのかかわり方は変わりましたか？
友里さん
じつは鎌倉への引っ越しの一番の理由は子育てのためではなくて、私自身のためだったんです。これまでのような自由は効かなくなるから、母である私自身が笑っていられる場所が絶対に必要だなって思ったんです。いつも視界に緑があって、自分にとって気持ちのいい場所、エスケープポイントのような場所。山はもちろんですが、寺社のベンチや砂浜、カフェなど、鎌倉にはほっと息をつける場所がいろいろなところにあります。出産後は、夫の出勤前に30分だけ自分の時間をもらって、近くの山や海に行かせてもらいました。自然が近い鎌倉で本当によかったなと思っています。
——鎌倉の暮らしを満喫されて、素敵な思い出がどんどん増えていきますね。
友里さん
まだ息子がハイハイのころ、家族で近所の海で遊んでいたときに、おもむろに、まるでウミガメが海に戻って行くように、息子が砂浜をハイハイしはじめたことがありました。何も怖がらずに進んでいく様子を見て、子どもの自然に対する本能ってすごいなと感じました。初夏に近所の川で蛍を見たときや初めての離乳食が鎌倉野菜だったときは、息子の幼少期の思い出に暮らしの風土が織り込まれていくのはいいなと思いました。記憶はどんどん上書きされていってしまうので、赤ちゃん期の感動の記憶を全部は覚えてはいられないのは寂しいですが（笑）、きっと息子の成長の根っこになっているはず。これからも家族のたくさんの思い出を季節とともに重ねていきたいと思っています。
PROFILE
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2020年生まれの男児の母。サンリオ商品プランナー、着物着付け師を経て、「自然に触れる喜びを多くの女性たちに感じてもらいたい」との想いから表現活動をスタート。現在は講演や執筆、アウトドアウエア・ギアの企画開発、オリジナルブランド「ＭＯＵＮＴＡＩＮ ＤＡＩＳＹ ＰＲＯＤＵＣＴＳ」を手掛ける。「山スカート」を日本に広めた女子登山ブームの火付け役。ニュージーランドにてトレーラーハウスや湖畔で暮らしたのち、現在は鎌倉在住。海外や日本全国の山を旅しながら、土地の食や文化を味わうのがライフワーク。著書に『一歩ずつの山歩き入門』『山登り12 ヵ月』など。
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(制作 * エチカ)
