先輩パパとママの毎日コラムvol.604

父親、やらせていただくことになりました「赤ちゃんは暗号解読のプロフェッショナル」

2024/4/23
父親、やらせていただくことになりました「赤ちゃんは... 父親、やらせていただくことになりました「赤ちゃんは...

何やら怪しいタイトルがついた編集者の池田圭さんによる今回のパパコラム。愛娘・日々ちゃんの脅威の特殊能力にてんやわんやする池田家のエピソードです!

我が娘は一才になった頃を境に、いろいろと単語っぽい言葉を発するようになってきました。最近、彼女の中で流行っている口癖は、「チャプチェ」と「アッハーン」と「ハッピー」(どれも意味は不明)。朝から晩まで、こんなにチャプチェ、チャプチェと口にしているのは、うちの子か韓国料理店の店員さんくらいだと思います。

一方、赤ちゃんは話す能力よりもヒアリング能力の方が早く発達するようです。つまり、耳から言語を習得していくわけですね。思い返してみると、うちの娘もだいぶ幼い頃から大人たちの言葉を真似しようとしたり、会話内容を理解していたように感じる出来事がいろいろとありました。

バナナは「ば」、デザートは「で」。バナナは「ば」、デザートは「で」。

彼女は食いしん坊なので、特に食べ物にまつわる言葉に関しては、かなり早くから把握していたように感じます。

例えば、まだ授乳期だった頃には、夫婦で「そろそろミルクあげる時間?」「いやいや、まだちょっと早いからやめておこうか」なんて会話をしようものなら、「はっ、ミルクですと?」と即反応。「それ、ちょうだい!ちょうだい!」と泣き喚いて大変でした。

離乳食を始めてからも、料理をしている音や匂いにはあまり反応しないのに「そろそろご飯(おやつ)にする?」という会話を耳にすると、「マンマ、マンマ、マンマ…」と繰り返し唱えながら、自分の席にいち早く這いずっていき、ちょこんと座って食事を待っているのです。特にデザート、おやつ、バナナ、パンへの反応は、脳で考えるより前に脊髄で反応しているのだろうと思わせるほどの速度でして、人体の神秘を感じさせます。

それ以外にもお散歩、お出かけ、電車など、自分が好きな言葉は小さな声でも聞き逃しません。何気なく会話内で使ってしまおうものならば、「え、猫どこ?ねえ、どこに猫がいるの?」と興奮して高まってしまうため、猫という一見可愛らしいワードでさえ、機嫌を損ねる危険なスイッチになりかねません。そのため、最近は娘が起きている時間帯の我が家の会話は探り探り。夫婦間に謎の緊張感が生まれています。

子どもの頭の中には、きっと独自の50音表があるのだと思います。子どもの頭の中には、きっと独自の50音表があるのだと思います。

「このままでは、普通に会話もできん!」ということで、我々が考えた対策は夫婦にのみ通じる暗号を作ることです。

デザートは略して「で」。食事やおやつのことは、「7時」、「12時」、「19時」など時刻で呼ぶことにして、ミルクは「白い粉」と呼んで誤魔化しています。単純過ぎてもダメですが、難しくひねり過ぎると自分たちが覚えられないという、大人の知能まで問われる事態となりました。あまり使い続けると暗号を解読されてしまう危険があるため、よく使う単語はいくつかの呼び方を使い分けています。私、今までネットのパスワードすら使い分けたことないんですがね…。

それでも、やはり子どもの方が一枚上手のようで、我々が暗号を使いこなせるようになった頃には、すでにやすやすと解読されてしまっています。最近は、食事の時間が近づくと私の腕時計を持ってきて時間を指差してみせ、食事が終わると冷蔵庫を叩きながら「で!で!」と連呼する始末。バナナは「ば」、みかんは「み」、ブドウは「ぶ」。2階が「に」で自分のことは「し」。独自の50音表を作れそうな勢いです。

しかし、このままではなんだか変にひと癖ある子どもに育ってしまいそうです。これならば、暗号なんて使わずに初めから正しい名称で覚えてもらった方が、お互いにハッピーかもしれません。

池田圭

PROFILE

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編集者、ライター。40才を越えてから第一子を授かり、仕事そっちのけで溺愛する毎日を送る。共著に『無人地帯の遊び方』(グラフィック社)。編集を手掛けた書籍に『焚き火の本』『焚き火料理の本』(すべて山と溪谷社)など多数。

(制作 * エチカ)

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