子育てエール!専門家による、ママパパ応援コラムvol.52

赤ちゃんの鼻水は吸ったほうがいいの?家庭で吸うコツや受診の目安を小児科医が伝授します!

2020/2/27
赤ちゃんの鼻水は吸ったほうがいいの?家庭で吸うコツ... 赤ちゃんの鼻水は吸ったほうがいいの?家庭で吸うコツ...

赤ちゃんの鼻水は、睡眠や授乳の妨げになったり、中耳炎などの他のトラブルを引き起こすことがあります。そこで今回は、赤ちゃんの鼻水が出る原因や病院を受診する目安、家庭でできる鼻水の吸引方法やそのコツをお伝えします。

●赤ちゃんの鼻水が出る原因と病院を受診する目安

赤ちゃんの鼻の粘膜はとても敏感。そのためちょっとしたことで鼻水が出ます。主な原因は3つあります。

・鼻水が詰まるとどうなるの?

赤ちゃんは鼻がつまると母乳やミルクが飲みづらくなったり、口で呼吸するのがじょうずではないので夜眠れなくなったりして機嫌が悪くなります。また、呼吸がしづらいだけでなく、中耳炎などの他のトラブルを引き起こしてしまうこともあります。

・病院を受診する目安

赤ちゃんの食欲がない、咳が出ている、母乳やミルクを飲めない、37.5度以上の熱が出ている、鼻水が黄色っぽい色をしている、また鼻水が1週間以上続いていたり他にも心配ごとがある場合は小児科や耳鼻科を受診しましょう。なお、呼吸が苦しそうな場合は時間外でも受診が必要です。

●鼻水の吸い方

鼻水が出ていたり、鼻がつまっていたりすると赤ちゃんもとても不快でグズグズしてしまいます。そこで、家庭でできる鼻水の吸い方をお伝えします。方法やコツを知って、赤ちゃんの鼻をスッキリさせてあげましょう。

1)綿棒・ガーゼ・ティッシュなどで拭きとる

鼻の粘膜を傷つけないように綿棒やガーゼなどで優しく取り除きます。ガーゼやティッシュなどで強く肌をこするとただれてしまうので注意しましょう。気になるときは鼻の下にクリームを塗ってあげるといいですね。

鼻水をふいてもらう赤ちゃん

2)鼻吸い器で吸いとる

鼻吸い器にはいろいろな種類がありますが、よく利用される手動タイプと電動タイプをご紹介します。

・手動での吸引

口で吸って取り出すタイプと、スポイトで吸うタイプがあります。口で吸うタイプは逆流しない構造になっているので鼻水が直接ママやパパの口に入ることはありません。吸うのにはある程度の肺活量が必要です。スポイトタイプの場合は手前の鼻水をとるのに便利ですが、奥にある鼻水の吸引は、吸引が持続しないので難しいかもしれません。両方とも手軽な値段で購入できる点が魅力ですね。

・電動での吸引

圧力が調整できて一定の圧力で吸うことができるので吸引がしやすいです。さまざまな鼻の形に対応できるタイプや、片手で使えるコンパクトなタイプなど電動鼻吸い器にもいろいろなタイプがあります。手動タイプよりは高価ですが、よく鼻水が出る赤ちゃんであれば重宝するでしょう。

●赤ちゃんの鼻水を吸うときの4つのコツ

赤ちゃんの鼻はとてもデリケート。安全でじょうずに吸うにはコツがあります。

赤ちゃんの鼻

【コツ1】角度を少し変えると鼻水がズルズル吸えるポイントが見つかる!

ネバネバした鼻水は、赤ちゃんの鼻の穴に対してほぼ平行な方向の奥にたまっています。そのため、鼻吸い器の先端を鼻の穴の方向に下から上へ挿入したら、鼻の穴に対して垂直になるようゆっくり少しずつ立てていきます。垂直の状態を保ちながら角度をいろいろ変えていくのが、鼻水がズルズル吸引されるポイントを見つけるコツです。なお、このとき鼻の粘膜を傷つけないように力は入れず、軽く鼻の穴に当てるだけにするよう意識してください。

【コツ2】赤ちゃんの頭や体を固定することで安全に

吸引するときは赤ちゃんの頭を固定することで、鼻の粘膜を傷つけず安全に吸引できます。パパやほかのご家族などに赤ちゃんを後ろから抱きしめてもらい、頭や体を固定してもらえるとよいですね。ママだけでおこなう場合は、ママの股の間に赤ちゃんの頭がくるようにして、赤ちゃんの両手足を太ももの下に入れて固定しましょう。

【コツ3】お部屋を加湿したり、蒸しタオルやお風呂などで鼻を温めてから吸引する

赤ちゃんの鼻は乾燥に敏感なので、お部屋を加湿するなどして乾燥を防ぐと鼻の通りがよくなり、吸引しやすくなることがあります。また、鼻に蒸しタオルを当てて鼻を温めてからおこなうのも、ネバネバした鼻水を取り出しやすくする効果が。お風呂は湿度があり温かいので、手動のタイプであればお風呂に入ったときに吸引するのも一つですね。1才以上であれば、市販の赤ちゃん向け生理食塩水で鼻腔内を潤してあげるのもおすすめです。

【コツ4】優しく声をかけて赤ちゃんの不安を少しでもなくしてあげて

鼻水の吸引を嫌がる赤ちゃんは多いです。できるだけ赤ちゃんが不安にならないように「鼻水をとると気持ちがいいよ~」「鼻水をとってスッキリしようね~」など声をかけながらおこないましょう。また、ママが鼻に鼻吸い器を入れる真似をしたり、ぬいぐるみに入れる真似を見せてあげるのも、赤ちゃんの不安をなくす効果があるかもしれませんね。

●最後に

赤ちゃんの場合は、鼻水・鼻づまりが中耳炎などのトラブルにつながることも。家庭でうまくケアができない、また症状が長引いている、受診する目安に当てはまることがあるなどの場合は早めに小児科や耳鼻科を受診しましょう。

石戸谷尚子

PROFILE

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小児科 | 石戸谷小児科 院長
医師、医学博士。1981年徳島大学医学部を卒業後、東京慈恵会医科大学小児科入局、都立母子保健院及び慈恵医大付属第3病院勤務を経て1995年現職に。日本小児科学会認定 小児科専門医、日本アレルギー学会認定 アレルギー専門医、日本血液学会認定 血液専門医。

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