子育てエール!専門家による、ママパパ応援コラムvol.74

【生後5~6ヵ月の離乳食】開始のサインとスムーズに進めるためのポイントを専門家が解説!

2020/11/5
【生後5~6ヵ月の離乳食】開始のサインとスムーズに進... 【生後5~6ヵ月の離乳食】開始のサインとスムーズに進...

離乳食とは、赤ちゃんの食事が母乳やミルクなどの乳汁から幼児食(幼児むけの固形の食事)に移る時期に与える食事のこと。一般的には生後5~6ヵ月が開始時期の目安になっています。そこで、この頃になると「いよいよ離乳食をスタートさせる時期になった」と、赤ちゃんの成長を実感し、どんな反応をするのかなとワクワクドキドキしているママやパパが多いのでは。また同時に「離乳食って何を、どのように与えたらいいのかな」などの疑問もたくさんあるのではないでしょうか。そこで、相模女子大学栄養科学部教授の堤ちはる先生に、離乳食を始めるサインやこの時期の離乳食をスムーズに進めるコツを教えていただきました。

離乳食はいつはじめる?おっぱいが大好きな赤ちゃんの場合は?

指をしゃぶっている赤ちゃんの画像

生後5~6ヵ月頃の離乳食の主な目的は栄養をとることではなく食材に慣れること。そのため、おっぱいやミルクをたくさん飲んでいる赤ちゃんも月齢が5~6ヵ月になって次のようなサインがみられたら離乳食を開始しましょう。なお、早産で生まれた赤ちゃんは修正月齢(出産予定日を基準とした月齢)で5~6ヵ月頃を目安にしてください。

離乳食開始の3つのサイン

1)首がすわり、支えがあればお座りができる
2)スプーンを口にあてても嫌がらない。口に入れても舌で押し出すことが少なくなった
3)大人が食事をする際にじっと見ている、よだれが出ている、もぐもぐ口を動かすなど食事への興味を示している

5~6ヵ月頃の離乳食の基本の進め方

赤ちゃんにとって、母乳やミルクなどの乳汁以外のものを初めて口にする離乳食は大きな変化。スプーンや食材に慣れることがこの時期の目的なのであせらず進めることが大切です。なお、エネルギーや栄養素をとるのは母乳やミルクからが中心なので、母乳やミルクはリズムに沿って欲しがるだけ飲ませてあげます。

<離乳食スタートの頃>

なめらかにすりつぶしてポタージュ状にした10倍がゆを、離乳食用のスプーン1さじぐらいの量からスタートします。スタートして5日ぐらいたち、おかゆに慣れてきたらポタージュ状にすりつぶした野菜や果物を、慣れてきたら豆腐、しらす干し、白身魚などのたんぱく質源の食材も離乳食用のスプーン1さじからあげてみましょう。量は様子を見ながら少しずつ増やしていきます。この時期は離乳食に慣れることが目的なので、分量にはあまりこだわらなくて構いません。

<はじめて1ヵ月ぐらいたったら>

トロトロだったペースト状から、赤ちゃんの様子を見ながら少しずつ水分を減らしてヨーグルト状に変化させていきます。おかゆなら7倍がゆが目安。嫌がる様子があるときはまだ早いのかもしれません。前のトロトロに戻したりしながら慣れさせましょう。また、上手に飲み込めるようになったら2回食にします。1回目はいつもの量と時間に、2回目の離乳食は1回目の量より少ない分量からはじめて、慣れたら1回目と同じ分量にしましょう。

食材に慣れることが主な目的ではありますが、母乳育児の場合は生後6ヵ月の時点で鉄欠乏になりやすくなることやビタミンD不足が報告されていることから(※)、鉄分やビタミンDが含まれた食材を意識して取り入れるといいですね。

(※)厚生労働省の「離乳・授乳の支援ガイド」
https://www.mhlw.go.jp/content/11908000/000496257.pdf

離乳食をスムーズに進めるためのこの時期(5~6ヵ月ごろ)の4つのポイント

離乳食を食べている赤ちゃんの画像

この時期に離乳食をスムーズに進めるときのポイントをお伝えします。

1)スプーンは下唇にあてて奥まで入れない!

この頃の赤ちゃんの口はまだ噛むことができず、舌は前後にしか動かせません。赤ちゃんは口を閉じて舌の上にのった食べ物を舌でのどに送り込み、ゴックンと飲み込むのです。そのため、ママやパパが赤ちゃんの口の奥にスプーンを入れてしまうと舌を使って奥で飲み込む練習ができなくなります。与えるときは赤ちゃんの下唇にスプーンをあて、上唇がおりてきたらスプーンを水平に引くようにしましょう。また、赤ちゃんが自分で口を閉じて飲み込むことを促すために、スプーンを上あごにすりつけないことも大切です。

2)つぶつぶを残さずなめらかなペーストにする

噛まずにゴックンと飲み込むことしかできないため、離乳食はつぶつぶをしっかりすりつぶしてなめらかなペーストにすることがポイントです。ペーストのなかにつぶつぶが残っていると、むせてしまったり、ぺっと出してしまったりします。裏ごししたりとろみをつけたりするとよりなめらかになり、より食べやすくなりますよ。離乳食のトロトロ具合やなめらか加減に迷ったら、市販のベビーフードを購入して形状や食感を確かめるのもおすすめです。

3)初めての食材を与えるときは平日午前中が安心

もしも食後に体調が悪くなった場合、病院にスムーズに受診できるように平日の午前中に与えるのがおすすめです。どの食材にアレルギー反応などを起こしているかが分かるよう、初めての食材は1種類ずつ試します。

4)2回食になったら食事時間を一定に

2回食になったら食事時間を一定にしてリズムをつけると食べやすくなります。スケジュールは10時と14時など午前と午後に1回ずつにして、離乳食の後に母乳やミルクを与えます。授乳から4時間以上空けると空腹感がありスムーズに食べることが多くなります。

まとめ

赤ちゃんが食事って楽しいなと思えるようにママやパパは「おいしいね」「どんな味がするかな?」などと語りかけながら、和やかな離乳食の時間を過ごして頂けたらと思います。初めての離乳食がママやパパにとっても思い出のひとときになるよう心から願っています。

堤ちはる

PROFILE

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相模女子大学 栄養科学部健康栄養学科 教授
日本女子大学家政学部食物学科卒業、同大学大学院家政学研究科修士課程修了。東京大学大学院医学系研究科保健学専門課程修士・博士課程修了。保健学博士、管理栄養士。青葉学園短期大学専任講師、米国コロンビア大学医学部留学。青葉学園短期大学助教授。日本子ども家庭総合研究所母子保健研究部栄養担当部長を経て、現職。専門は母子栄養学、保健栄養学。監修書籍に、「あんしん、やさしい最新離乳食オールガイド」(新星出版社、2019)、「食と栄養相談Q&A」(診断と治療社、2018)、「すききらいなんてだいきらい」(少年写真新聞社、2016)など。

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