子育てエール!専門家による、ママパパ応援コラムvol.70

里帰り出産のメリットと懸念すべき点とは?里帰り出産をすると決めたら準備すべきこと

2020/8/12
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里帰り出産にするか、里帰りをせずに出産するか悩むママやパパもいるでしょう。そこで今回は、里帰り出産のメリットと懸念点について、また、里帰り出産をすると決めた場合に必要な準備について産婦人科医の天神先生に教えていただきました。迷っているご夫婦はぜひ参考にしてくださいね。

里帰り出産のメリット

里帰り出産をする際、妊婦さんはご自身の実家に滞在することが多いと思いますが、なかにはパパの実家に滞在する方もいます。里帰り出産のメリットはたくさんありますが、おもなメリットを見てみましょう。

・出産まで安心して過ごせる

妊婦さんとその母親が優しくお腹を見ている様子

里帰り先のお父さんやお母さんが基本的に家にいるような環境であれば、陣痛や破水が起きたときに対応してもらえるので心強いですよね。妊婦さんの不安が軽減され、精神的な支えになってくれるでしょう。

・家事の負担が少なく、産前産後にからだを休ませることができる

妊娠後期のおなかが大きい時期は動きづらく、家族のサポートがあると安心です。とくに産後は寝不足になって赤ちゃんと一緒に寝たり起きたりを繰り返す生活になって、ママのからだの負担は大きくなります。洗濯や料理など、家事の負担が減った分、からだを休ませることができるでしょう。

・気持ちに余裕できて、赤ちゃんのお世話に専念しやすい

お母さんが赤ちゃんを抱っこしている様子

家事などの負担が減る分、「料理をしなくては」「洗濯をしなくては」などと思わなくてすむので、気持ちに余裕ができます。時間だけでなく気持ちに余裕ができることで、赤ちゃんのお世話に専念しやすくなるでしょう。

・分からないことを親に聞ける、昔の子育て話が聞ける

抱っこの仕方やおむつの替え方など、育児経験者であるお母さんやお父さんに聞くことができます。とくにお母さんは出産経験者。産後の不調も理解してくれるでしょう。昔と今では育児の方法が異なることもあるかもしれませんが、昔、お父さんお母さんも試行錯誤していたことが聞けたり、育児について誰かと話をしたりできるとほっとするかもしれません。

・上の子がいる場合、祖父母にケアをしてもらえる

祖父母と孫がリビングで仲良くしている様子

産後、ママはどうしても生まれた赤ちゃんのお世話にかかりっきりになります。上の子どもがいる場合、その子がさみしい思いをするかもしれませんが、祖父母が遊んでくれたり、おしゃべりしてくれたりすることでさみしさも紛れ、心のケアになるでしょう。

里帰り出産の懸念点

メリットが多い里帰り出産ですが、懸念しておきたい点もあります。

・新生児期をパパと共有しづらい場合がある

泣いてる赤ちゃんの画像

里帰り先の距離によっては、パパが生まれたばかりのわが子に会えないことや、立ち会い出産を予定していても間に合わないことがあるでしょう。新生児期の赤ちゃんの成長はめざましいもの。パパが頻繁に帰省できない場合は写真や動画を送るなどして、赤ちゃんの成長過程やその喜びを夫婦で共有できるとよいですね。

・役所の手続きが面倒

出生届けは里帰り先の役所でも受理してもらえますが、児童手当と乳幼児医療費助成制度の手続きは住民票のある役所で手続きをしなくてはいけません。また、妊婦健診の一部を自治体が負担する「妊婦健診費用助成」のチケットは自治体が変わると使用できないので、いったん自己負担をして後に費用助成の申請手続きをする必要があります。

・親の育児アドバイスなどにイライラしてしまう

育児経験者である親(義理の親)は育児に関してアドバイスをしてくれるかもしれません。アドバイスによって心が休まることもあれば、産後はホルモンの関係で敏感になっていることもあり、考え方の違いにカチンときてしまうこともあるようです。生まれる前に育児書などの力を借りて、私はこういう育児をやりたいなどと説明して理解しておいてもらうとよいかもしれません。

・出費が増える

里帰り先には食費や光熱費など経済的にも負担をかけてしまうので、妊婦さんの生活費として両親(義両親)に現金を渡すことが多いようです。また、里帰り先が遠方であればあるほど交通費もかかりますね。

・自宅に戻るときに移動が大変。新生活が負担に感じることも

自宅に戻るときは赤ちゃんと一緒なので移動が大変です。とくに飛行機の移動は赤ちゃんにも負担が大きいので時期などは考慮する必要があります。また、自宅に戻ったあとは親のサポートがないため生活が大変に感じることがあるようです。事前に夫婦で家事や育児の分担を話し合っておくとよいですね。

里帰り出産をすると決めたら準備すること

里帰り出産をすることを決めたら、以下のことにとりかかりましょう。

・里帰り先(実家や義実家)への相談

おじいちゃん、おばあちゃんにとって里帰り出産を受け入れることは、孫である赤ちゃんに会えることやお世話することがうれしい反面、負担もかかるものです。また、仕事をしていて忙しい場合もあります。滞在期間など条件的なことだけでなく、体力面や精神面など里帰り先の状況をしっかり確認しながら相談しましょう。里帰り先に支払う生活費などもあらかじめ決めておくとスムーズですね。

・転院先のリサーチと分娩予約

パンソンやスマートフォンで検索している様子

帰省した際に転院する病院をインターネットなどでリサーチして、分娩予約をします。出産できる病院や枠は限られている場合が多いので、里帰り出産を決めたら早めに動きましょう。また、転院先が決まったら、今かかっている病院の医師に里帰り出産の意思を伝えて紹介状を書いてもらう必要があります。

・帰省スケジュールを立てる

妊婦さんがノートに書きこんでいる様子

出産は予定日よりも早くなるということもあるので、余裕を持って里帰りしておくとよいでしょう。妊娠37週から正産期なので、それよりも前の32週~34週あたりまでには帰省しておくのがよいですね。病院から「妊娠○週までに里帰りをして健診を受けてください」などと指示がある場合はそちらに従ってください。

まとめ

里帰り出産にはメリットもあれば懸念すべき点もあります。また、里帰りはしないけれど親に自宅に来てもらってサポートしてもらうという方法もあります。自分たちにとってベストな方法はどれかを夫婦で考えたり家族に相談したりして、みんなが納得する形で決められるといいですね。素敵な出産を迎えられるよう心より願っています。

天神尚子

PROFILE

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産婦人科 | 三鷹レディースクリニック院長
日本医科大学産婦人科入局後、派遣病院を経て、米国ローレンスリバモア国立研究所留学。その後、日本医科大学付属病院講師となり、1995年5月から三楽病院勤務。日本医科大学付属病院客員講師、三楽病院産婦人科科長を務めた後、退職。2004年2月2日より、三鷹レディースクリニックを開業。

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