子育てエール!専門家による、ママパパ応援コラムvol.106

新生児訪問ってなにをするの?申込方法、費用は?里帰り先にも来てもらえる?【助産師解説】

2021/8/19
新生児訪問ってなにをするの?申込方法、費用は?里帰... 新生児訪問ってなにをするの?申込方法、費用は?里帰...

自治体がおこなっている新生児訪問。興味はあるけどどんなことをするのか分からないという方も多いのではないでしょうか。そこで今回は、新生児訪問でおこなわれる内容と、お申込み方法や費用、里帰り先でも受けられるのかなどについて、みき母乳相談室の榎本助産師にお聞きしました。

新生児訪問ってなに?

新生児訪問とは、生後28日以内(里帰りの場合は60日以内)の赤ちゃんとそのママのいる家庭を保健師、助産師、看護師が無料で訪問する制度のことです。目的はママと赤ちゃんの健康を確認して、必要に応じて適切なケアや支援をおこなうこと。

基本的には希望者に対しておこなわれますが、自治体によって対象の条件などが異なります。例として、生後1ヵ月までのところもあれば、生後3ヵ月未満までを対象にしているところがあったり、経産婦も対象のところと初産婦のみ対象のところがあったりします。また申し込み方法もさまざまなので、あらかじめ自治体に確認しておくとよいですね。

時間は相談内容などにより個人差はありますが、30分~1時間ほど。希望する場合は自治体に連絡して訪問日時を調整しましょう。

*「こんにちは赤ちゃん」制度と何が違う?

自治体によって「こんにちは赤ちゃん」という制度をおこなっているところもあります。こちらは生後4ヵ月までの赤ちゃんのいる家庭を対象にした無料の訪問制度です。希望者のみならずすべての家庭が対象であること、訪問スタッフは助産師や保健師、民生委員、子育て経験者などになることが、新生児訪問とのおもな違いです。赤ちゃんの成長を確認したり、子育ての情報提供をおこなったりすること、子育ての孤立化を防ぐことなどを目的としています。玄関先での短時間の訪問になることもあります。

新生児訪問では何をするの?

新生児訪問を受ける赤ちゃん

赤ちゃんの身長、体重、頭囲、胸囲の測定をおこない、栄養状態や発育状況の確認をします。赤ちゃんを育てるうえで困っていることや不安なことがないかを聞いて、子育てのアドバイスをおこないます。自治体によってはアンケートを持参してママに記入してもらうこともあります。予防接種など今後の育児で必要な情報や近くの育児支援施設について共有をすることもあるでしょう。

*私自身はこんなことに留意しています

私自身、助産師としてさいたま市で新生児訪問を担当していますが、ママの育児や家事のサポート状況を確認するため、パートナーや義両親、両親、赤ちゃんの兄弟の様子なども情報収集するようにしています。

また、さいたま市では、産後うつのチェックシートに記入をしてもらい、精神的に問題が生じていないかなどもみることになっています。たまに、お話をしたりシートを記入しながらつらい気持ちを思い出されたりして涙される方も。できるだけお話を聞いてアドバイスするのはもちろん、適切なサポートを受けられる機関や制度をご紹介したりします。またご相談内容やママや赤ちゃんの状況次第では、定期的に訪問したり連絡をしたりすることもあります。

育児に追われ忙しいママたちが見逃してしまうことのないよう、予防接種の予約方法、離乳食教室の開催などについてもお伝えしています。自治体の子育て支援センターなど赤ちゃん連れでママたちが交流できる場所もリフレッシュになるようご紹介しています。

新生児訪問でよくある質問

実際に私が新生児訪問でママと赤ちゃんを訪問した際によく聞かれることをご紹介します。なにを相談すればいいか分からないという方はぜひ参考にしてみてください。

・体重増加が標準範囲内か、ミルクを足した方がよいのか

体重を測って確認し、体重増加に合わせてミルクの増減をアドバイスします。

・げっぷがうまく出せない、嘔吐しやすい

ママの普段のげっぷの出させるやり方を見せてもらい、コツをお伝えします。嘔吐については、ミルクを足しすぎてないか確認したり、母乳を飲むときに空気を飲み込んでいないかどうかをみるために、ラッチオンがうまくできているかなどをチェックしたりします。

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・スキンケア

赤ちゃんの正しいスキンケア方法をお伝えします。湿疹があるときは症状によって病院の受診をおすすめすることもあります。

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・おっぱいが出ない、痛い

授乳の姿勢や授乳記録(回数、時間など)などをみせてもらい、原因が分かればアドバイスします。授乳姿勢やふくませ方が正しくない場合もあります。痛いときはいったん直接の授乳は休んでもらい、搾乳をおすすめし、搾乳の方法をご紹介しています。

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・気持ちの悩み、ママのつらさ、子育て全般

赤ちゃんが泣きやまない、赤ちゃんがきちんと育っているか心配、夜眠れなくてつらい、上の子どもとの関わり方が分からないなど、子育てに関しての悩みを抱えている方も多いです。お話を聞いて、ひとりひとりに合わせたアドバイスをおこないます。

里帰りのときはどうすればいい?

里帰りの場合、自治体によりますが、里帰り先の自治体の新生児訪問が受けられることが多いようです。住んでいる自治体から里帰り先に連絡をしてもらう、里帰り先の自治体に出生届けなどの手続きが必要など、いろいろなケースがありますので、お住まいの自治体や里帰り先の自治体に実施しているかや申し込み方法などを確認しておきましょう。

まとめ

産後のママは悩みや不安をたくさん抱えがちです。ですがそのままにしてしまうと、育児がどんどん大変になってしまいます。新生児訪問は、専門家にママと赤ちゃんの健康をチェックしてもらい、今後の子育てに関して情報やアドバイスをもらえます。ぜひ、新生児訪問を受けてみましょう。

そして、赤ちゃんのことはもちろん、ママの気持ちや体調など、気になっていることはなんでも相談してみてください。少しでもみなさんの育児の支えになって育児が楽しくできるように私たちもサポートします。

榎本美紀

PROFILE

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2001年に助産師免許取得後、杏林大学医学部付属病院・さいたま市立病院・順天堂大学練馬病院の勤務を経て、2013年に埼玉県さいたま市に訪問型の助産院「みき母乳相談室」を開業。病院勤務での経験を元に、地域の母乳育児を支援している。訪問時の相談は、母乳だけではなく離乳食や抱っこひも、スキンケア、寝かしつけなど多岐にわたる。また、おむつなし育児アドバイザーとして、トイレトレーニングなどの相談も受け付けている。自身も一児の母として子育てに奮闘中。
「みき母乳相談室」

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