スーパー主夫・山田亮「ママを助けたいパパの心得」vol.2

“ワンオペ育児”で抱える悩みは、ママもパパも同じ。

2020/9/16
“ワンオペ育児”で抱える悩みは、ママもパパも同じ。 “ワンオペ育児”で抱える悩みは、ママもパパも同じ。

家事ジャーナリストとして活動している“スーパー主夫”の山田亮さん。インタビュー記事全3回の2回目は、育児の苦労や楽しさ、育児を楽しむコツについて伺いました。パパならではのエピソードもいろいろありましたが、育児をしていると直面する悩みはママたちと変わらないようです!

(vol.1のつづき)

ーー奥さまが出産後2ヵ月で職場復帰され、家事に加えて育児もメインで担当することになった山田さんですが、当時(約20年前)は男性の“主夫”はまだ珍しかったのではないでしょうか?

山田さん
ものすごく希少価値がありましたね。夫が家事と育児を担当している家族として、何度か取材を受けるくらい、珍しい存在でした。身近に同じ立場の人はいませんでしたが、全国的に見るといくつか同じような家族があって、そういう家族は同じように取材を受けているんですよ。だから、取材を通じたつながりができて、全国各地に“主夫友だち”ができました。メールで相談したり、いろいろと助けられましたね。

両手を広げて話す山田さん

ーー育児をしていく中で、苦労したことはありますか?

山田さん
今もですが、当時から妻が仕事に忙しく、いわゆる“ワンオペ育児”だったので、精神的に辛くなることはありました。本来ならば0才児保育に預け、それから僕も仕事に復帰しようと思っていたのですが、0才では保育園に入れず、1才9ヵ月になった4月にようやく入ることができました。その間、娘と二人きりの世界だったので、社会との接点がまったくなく不安でしたね。SNSもまだなくて、オンラインコミュニケーションが今ほど盛んではなかったので、今の時代よりも社会と切り離されている感覚が強かったと思います。また、妻が働いているとはいえ、自分自身の収入がないという事実にも心細さを感じました。

ーーそれは男性だからということではなく、女性にも共通する不安ですね。

山田さん
育児をしているママと同じような悩みは、他にもありましたよ。例えば、当時は妻の実家から徒歩1分のところに住んでいたので、義理の両親が何かと口出ししやすい環境だったんです。もちろん、とっても頼りになるし、ありがたいのですが、前時代的な子育て常識の洗礼も浴びましたね。例えば、ずっと抱っこしていると抱き癖がつくなど、いろいろ言われたのでそれを聞き流すのに苦労しました(笑)。

ーー子育てにおける嫁姑の定番のテーマですね(笑)。男性だから、パパだからこその苦労はありましたか?

山田さん
うーん、パパだから大変、というのはあまり思い浮かばないですね。当時は男性用トイレにおむつ交換台が設置されていなかったので、お出かけ先のおむつ交換が大変だったことくらいでしょうか。ほぼアクロバットのような体勢で交換していました(笑)。あとは、保育園や小学校に入ると、パパ友同士の飲み会があるのですが、そこに参加すると他のパパからクレームがありましたね。「山田さんが家事も育児もやりすぎているから、妻に『あなたも山田さんを見習いなさい』と文句を言われる」というようなクレームをよく受けました。

ーーでは逆に、育児をしていて楽しかったことは?

山田さん
やはり子どもと一緒にいる時間が長いので、成長の瞬間に立ち会えることですね。また、時間と経験をたくさん共有することができたので、家族としての絆が生まれました。ごく当たり前の日常の中で生まれる出来事を共有できると、家族としてつながっているんだな、と実感できます。これは、パパだからというより、パパもママも育児に積極的に関わることで感じられる「楽しいこと」ですね。

ーーパパだからこそ味わえる楽しさはありましたか?

山田さん
男性だから「育児のことを知らなくて当然」と見てもらえるので、周りが何かと助けてくれたり、親切にしたりしてくれます。「知らない」ことが前提なので、どんなに基本的なことでもわからなければドンドン質問することができました。保育士さんやママ友はもちろん、街や電車でも親切にしてもらえましたよ。

また、やはり子どもと仲が良くなるので楽しいですね。うちは娘なのですが、初めて彼氏ができた時は妻ではなく、僕に最初に報告してくれました(笑)。娘と仲が良いと、自然と娘の友だちとも仲良くなり、大学生になった今でも偶然会うと「○○ちゃんのお父さん!お久しぶり!」という感じで声をかけてもらえますよ。

笑顔の山田さん

ーー山田さんが楽しみながら育児をしてきたからこそ、娘さんと仲良くなったんですよね。山田さんが考えるパパが育児を楽しむコツとは?

山田さん
これから子どもが生まれるのなら、生まれた直後から育児に関わると良いですよ!ゼロからスタートすれば、赤ちゃんに合わせるしかないので、しんどいとか大変とか言ってられないですから。育児は、親だけがやるものではなくて、赤ちゃんと親が一緒にペースを作っていくものだと思います。そのペースが加速してから、後乗りするのはかなり大変です。

また、育児は抱え込むとしんどくなるので、やっぱりママ友やパパ友の存在は重要です。仲間がいれば、子育てのグチも笑い話にできますから。笑ってゴキゲンなママ・パパを見ていれば、子どももゴキゲンですよね。公園や保育園で話しかけるのが苦手、という人もいますが、オススメは「病院ネタ」ですね。「小児科でいいところありますか?」「耳鼻科はどこに通っていますか?」と聞けば、いろいろな情報が出てきて会話が弾みます。病院ネタは子育ての鉄板ネタです!話しかけるネタに困っている人は、ぜひ使ってみてください。

(vol.3へ続く)

山田亮(やまだりょう)

PROFILE

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家事ジャーナリスト、スーパー主夫、社会福祉士。 大学助手だった妻と結婚し主夫に。ホームページ上で綴った家事・育児記録が新聞社の目にとまり執筆活動を開始。ロジカルな視点で「楽に家事をする」方法 を日々実践し、「楽家事ゼミ」を主宰。男性の家事・育児参加、男女共同参画に関する講演活動や執筆活動等も行う。現在、妻・娘と京都市在住。
東京新聞、中日新聞、日経新聞紙上で家事について連載中。
https://rakukajiseminar.com

(制作 * OfficeTO)

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