料理創作ユニットGomaの中村亮子さんの子育て日記。今回のテーマは、赤ちゃんにまだ会う前から考えはじめたという“両親の呼び名”問題についてです。
妊娠期、赤ちゃんにまだ会う前の話。産まれたら、名前は何にしよう?どんな所に一緒に行こう?どんな風に過ごそうか…?なんて、まだ会えない時期だからこそ…そんな話をするのはとても楽しかったのを覚えています。
そんな話の中に、私たちの間で話題になったのが「なんて呼ばれたい?」問題。パパママ、お父さんお母さん、父ちゃん母ちゃん……と、いわゆる正統派の呼び名から、トトとカカなんていうのも最近よく聞きますし(ちなみにGomaの相方アラキはカカと呼ばれている)、なんか新たな呼び名というのも面白そうな気もしてました。
昔見たドラマでは「ちちはは」って呼んでてかわいかったなぁとか、いや男子だから名前呼び捨てにされる(←それもドラマで見た)ってのもなんかいいかも?とか夢は広がる訳でした。まあ妄想ですね…(笑)。
パパママで育った私と、お父さんお母さんで育ったパートナーですが、特にこれじゃないといけないという考えは2人ともなく….結局育てていくうちになんか決まるよね、ということに。思えば、妊娠期に考えてたことは大体そんな風に未来に投げたような気もします。
さていよいよ出産を経て、あっという間に過ぎて行く新生児期。少しずつ大きくなり何となく浮かんできたのは…「とーたんかーたん」。
父さん母さんへの移行もカンタンだし、何となくかわいい響きがいいなあと思いました。少しずつ息子が言葉を理解し始めた頃から、なるべく自分たちのことをとーたんかーたんと呼ぶように意識してみました。
そんなある日のこと、1才半になった息子が私を呼んでいるのに気がつきました。
「たんたん!」
え?た、たんたん?あれ…「かー」はどこいった?(どっちかというと「かー」の方が大事な部分なんだけどな?)戸惑う気持ちもありましたが、まだ上手にしゃべれないんだろうという懸念+息子が自分を呼んでくれた!という嬉しさもあったもので「まあいいか!」となりました。
何より小さな息子が自分たちのことを懸命に呼んでいる姿はもう何ともかわいくて。 名前を呼ばれる度に顔が自然ににやけてしまう程でした。
この1才半前後という時期は、ちょうどいろんなことに成長が見られる時期。アンヨも上手になり、笑ったり泣いたりする他、おちゃらけたり怒ったりと感情がより豊かになっていくのが面白かった。その中で「モノの名前」もグングンと覚え始めていった頃だと記憶しています。
ちなみに父親のことは「とー」のみの名称からスタート。でも途中で無事「とーたん」に昇格したのでこちらは思惑通りに…。
一方、「たんたん」はというと…?結局3才になった今でも私の呼び名は変わらず、毎日元気に「たんたん!」と呼ばれております。ちなみに言いやすいのか息子の友だちにも「たんたん」と言われていたりもします(笑)。
言葉も通じる今は「かーたんって呼んでみる?」とたまに持ちかけてみるのですが、答えはNO。「たんたんがいい!」とのこと。何だろな?本人はその呼び名がとても気に入っているらしいです。
慣れてきた今は私自身も「たんたん」がしっくりきてしまっているので、もう一生「たんたん」でもいいとさえ思っていたり…。
今ではこう呼ばせたい、という親の思いとは裏腹にちがった呼び名をつけてくれた息子には少し感謝!呼び名もまた、子育ての中では大事な大事な宝物だと気づかせてくれたから。
どこかのタイミングでそう呼ばれなくなった時、何だかさみしくなるような気もするんでしょうね。そう思うと、この「たんたん」時期が何とも大事な期間な気もしてきます。息子よ、オリジナリティがある呼び名をありがとう。これからもたんたんをよろしくね。
PROFILE
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食や子どもをテーマに料理、雑貨デザインなど幅広く活動している料理創作ユニットGomaを従姉妹のアラキミカと主宰(www.gommette.com)。媒体での作品発表他、ものづくりワークショップ開催なども行う。著書に、絵本へんてこパンやさんシリーズのレシピ本『12つきのおはなし&パンレシピ』(フレーベル館刊)、『かんたん☆かわいい♡だいすきクッキング』(あかね書房刊図書館シリーズ)、レシピ付き絵本『へんてこパンやさん』(フレーベル館刊)など子どもに向けてのものも多数。
instagram.com/ryocogoma
(制作 * エチカ)