先輩パパとママの毎日コラムvol.431

子どもと紡ぐ日々「転勤とインテリア」

2021/9/17
子どもと紡ぐ日々「転勤とインテリア」 子どもと紡ぐ日々「転勤とインテリア」

ご主人の仕事の都合で転勤が多いという、布作家のハヤシチエさん。転勤族の住まいの工夫とは?

我が家は全国的な異動を伴う転勤族です。子どもが生まれてからも、2度の引越しを経験しています。初めての引越しは、娘が4才、息子が1才半のとき。関東から九州への遠距離引越しで、子どもを面倒見ながらの引越し準備はとても大変でした。特に動きたい盛り、いたずら盛りの息子が側にいると、なかなか荷造りや手続きが進まず、夫にも協力してもらい、主に子どもたちが寝静まったあとに作業をしていました。

イスとダンボール箱

物理的な苦労はもちろん、住む街が変わるということは、一歩家の外に出れば環境がまるっきり変わるということ。

新しい地域、新しい人間関係。母親の私はまず「最寄りのスーパーはどこか?」など、役所や郵便局、小児科といった生活に必要な場所を把握するところからのスタートです。

子育て中は予防接種、急な発熱など小児科にお世話になることも多いですが、自治体によって小児医療証のカバーする医療費の負担額が違うことに驚きました(前の自治体では子どもの医療費は無料でしたが、引越し先では補助額の上限が決まっていました)。

これまで車を使わずに生活ができていた土地から、子どもを連れて遊ばせられるような公園や支援センターはどこも車がないと行けないという土地へ。ペーパードライバー歴10数年で、子どもたちを連れての車の運転に慣れるのにも四苦八苦しました。

引越し直後のヘトヘトな母とは対照的に、1才半の息子は状況がよくわかっていない分、あらゆる環境の変化を純粋に楽しんでいるように見えました。毎日大変だった分、家が変わってもいつもと同じ子どもたちの笑顔に救われていた気がします。

さて、新しい生活の中で、なじみの家具や日用品に囲まれる「家」は私にとっても家族にとってもホッと心を休められる唯一の場所でした。

ひとつ前に住んでいた家。ここは一軒家でしたひとつ前に住んでいた家。ここは一軒家でした

住まいという箱が度々変わるだけに、家の中で目に入るモノたちは、「引っ越しても使い続けたいと思うか?」という基準で選んできました。

新しい住まいに初めて足を踏み入れるとき、がらんとした無機質さを感じて毎回心細いのですが、家具や暮らしのものが入ると、途端にどの部屋も「我が家」になってホッとします。

今住んでいる団地。家具が入る前と後今住んでいる団地。家具が入る前と後

基本的に「長く愛せるか?」が家具選びの基準ですが、異動がある間はできるだけコンパクトで使う場所・時期が限定されないものを選ぶと決めています。例えば我が家に食器棚はなく、業務用のスチールワゴンに器やキッチン用品を並べています。

キッチン収納

以前の家は作り付けのキッチン収納が大きめだったこと、息子が動き回る時期で食器を並べておくのは危険と判断し、このワゴンは別の部屋で本の収納に使っていました。

今、仕事で使う糸など洋裁用品をしまっているのもコンパクトなワゴンです。これは、夫婦だけで住んでいたころはカトラリーなどのキッチングッズの収納にしていて、子どもが生まれてからしばらくはおもちゃ収納として使っていたものです。

洋裁収納

引っ越す先々で間取りや作り付けの収納の形状は違います。家具に関しては、必ずしも「大は小を兼ねない」と私は思っています。小さめで汎用性のあるものを選んでおけば、引っ越した先の間取りや部屋に合わせて、用途を変えられます。また、ゆくゆくは子ども部屋で子どもたちに使ってもらうこともできます。

ベビーが座る椅子にしても、椅子の高さが変えられたり、ガードが取り外せたりして、子どもが大きくなっても、また、場所が変わっても使えるかな?という視点で選ぶことがポイントかなと思います(我が家では2人とも1才から使っている椅子を、高さを変えて今も使っています)。

転勤族・賃貸生活、基本的に住む部屋も間取りも選ぶことはできません。限られた条件の中でどうしたらもっと心地よい住環境にできるかと、日々頭を悩ませています。ですが、引っ越しのたびに暮らしに使う持ち物が見直され、自分たちにとって本当に必要なものの輪郭がはっきりしてきたし、「工夫を楽しむ力」は引っ越しの回数を踏むごとに上がっているように思います。

「早くどこかへ落ち着きたい、終の住処に憧れる…」とも思いつつ、もうしばらくはこの変化に富んだ賃貸ライフを楽しんでいきたいと思っています。

ハヤシチエ

PROFILE

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布作家。インテリア会社を退職後、長女の出産をきっかけに洋裁にはまり、子ども服から小物まで様々なモノを縫うようになる。今は自宅で縫い物の仕事を行なっている。

(制作 * エチカ)

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