浅間山の裾野に家族5人で暮らすピラティスインストラクター前村詩織さん。9日間の海外出張に行くことになり、さてどうしよう?というお話です。
3人の子どもたちは現在12才、9才、そして1才10ヵ月。上の2人と年の差があることもあり、末っ子のフキちゃんはみんなのアイドル的な存在です。
フキちゃんが1才を過ぎたころ、私が事務局としてお手伝いしているアーティスト・イン・レジデンスのプロジェクトの海外開催が決まりました。開催地はカンボジア。コロナ禍の前から何年も温めてきた案件なので、是が非でも現地に行きたい。でもフキちゃんはまだおっぱいを飲んでいるし…一緒に連れて行くか?でもカンボジアといっても首都ではなくて片田舎だから厳しいか…子守に長男も連れて行く?いっそのこと家族旅行を兼ねてみんなで行ってしまおうか、といろいろな選択肢を考えて逡巡した末に、夫の「フキちゃん置いてっていいよ」のひとことであっさり単身出張することになりました。
フキちゃんが生まれてから初の出張ではあるものの、実は子どもたちを置いて長期出張に行くのはこれが初めてではありません。これまでも国内・海外出張で1週間以上家を空けることがたびたびありました。
でも今回はフキちゃんがいるので、いつもに増して周到に用意をしていかないといけません。まずはおっぱい卒業から。出張の1ヵ月前から夜間断乳を始め、徐々に日中の回数も減らしていきました。出発の10日前には無事に完全にバイバイすることができました。保育園の先生ともコミュニケーションをとりながら、サポートしてもらいました。
学生時代以来、20年近くぶりに行ったカンボジアは、昔と変わらず生命力あふれる場所でした。仕事の合間にときどき子どもたちとビデオ通話でおしゃべりをし、すっかりエネルギーチャージして帰国しました。
帰国日は土曜日。夫が仕事だったので、友人が駅までお迎えに来てくれました。帰ってみると、家の外でフキちゃんをおんぶして散歩している息子に遭遇。息子の背中から私を見つけたフキちゃんが「ままぁ」。満面の笑みで近づいてきました。
不在にしていた9日間、義理の両親も滞在してくれていたようですが、私がいなくてもすっかり家が回るようになっていました。おむつ替えも、ご飯を食べさせるのも、洗濯物をたたむのも、息子や娘が率先してチャキチャキと動いてくれます。
聞けば、不在の間にフキちゃんがママ恋しくて泣いたことは一度もなかったようで、拍子抜けしてしまいました。自分がいなくても家族がどうにかなる、という事実。ついいろいろな責任を背負ってしまって肩の力が入りがちなときにこのことを思い出すと、ふっと緩ませてくれます。
PROFILE
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ピラティスインストラクター。日本で十数名しか保有していないオーストラリアのピラティス国家資格を取得し、ASICS Sports Complex TOKYO BAYなどでクラスを受け持つ。2020年長野に拠点を移し、フリーのインストラクターとして働きながら一男二女の子育て中。
https://www.instagram.com/shiorilates/
(制作 * エチカ)
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