フードユニット、TORiの岡本雅恵さん。今回は初節句のお雛様選びについてのお話です。
いつごろまでだったかは定かではないですが、私自身が物心ついて、大きくなってからも、3月3日の節句の数週間前からは、立派な七段の雛人形を祖父母や両親が飾ってくれていました。小さなころのアルバムを見返すと、雛人形の前にちょこんと座った私の写真があり、十数年に渡って、成長を見守ってもらっていたのかと思うととても感慨深いものです。
そのときのお雛様は、私の祖父母が買ってくれたものでした。なので、気が早いな〜と思いながらも、私の両親たち(娘にとってはじじばばたち)は、孫には自分たちが買ってあげるんだ!という使命感を持ってくれていて(笑)、娘が生まれる前から、お雛様はどうする?!どんなのがいいの??と質問攻めでした。
幸い?雛祭りが過ぎてからの出産だったので、次のお雛様まで考える時間はたっぷりあったのですが雛祭り直前だと自分が欲しいものが売り切れている場合もあったりすると聞いていたので、娘が生まれて半年経って、私も育児に少し慣れてきたくらいの秋ごろに、節句の人形といったら!の東京・浅草橋へみんなで出かけたのでした。
その当時は東京のまったく違うエリアに住んでいたので土地勘もなく、両親たちも電車を乗り継ぎ来てくれていたので、ちょっとした旅行のような気分で待ち合わせをしました。少し慣れてきていたベビーカーでの移動でしたが、ほとんど初めての場所に子どもと降り立つのは、右往左往してなかなか疲れるものです。無事に着くことができた人形店は、同じように赤ちゃん連れの家族やおじいちゃんおばあちゃんで賑わっていて、とてもホッとしたのを覚えています。さらには、授乳スペースやおむつ替えなんかの場所もしっかりと用意されていて、ゆっくり選ぶことができたのはとても有り難かったです。
いざ、店内を見回してみると、いろいろな種類があってびっくり!サイズも大きいものから小さいものまであって、ひとつひとつじっくり見ていくと、人形たちの顔もまったく異なるので、だんだん面白くなってきてしまって、娘のためにどれがいいだろう?と選ぶのは、新鮮でとても楽しかったです!
畳があって、広さにも余裕がある実家とは違って、都内の限られたスペースに置くことになるので、サイズは重要視して、優しくも凛とした顔立ちと華やかながら品のある少し珍しい着物の柄や色味で決定しました。私自身、とても気に入っていて、毎年飾るのがとても楽しみなのですが、お祝いの春めいた雰囲気をプラスしたくて、横には季節のお花を飾るようにしています。ここ最近はチューリップを飾るのが定番になりました。
ちょうど娘が1才になる手前での両家でお祝いした雛祭りでは、華やかなお雛様を囲み、頼んでいたお祝いのご飯を一緒に食べて、みんなですくすくと成長している娘を眺めながら、とても幸せなひとときでした。
自分が当事者だと気づかなかった、成長を感じる瞬間というのは、親になってやっぱりわかったことで、こんなにも心動かされるんだな〜と、見守ってきてくれた両親たちに感謝の気持ちを持つ日でもありました。
PROFILE
Rom 岡本雅恵このライターの記事一覧
料理家。友人と共にフードユニットTORiとして、カフェ営業、ケータリング、webや雑誌などのレシピ提供などを経て、2020年に長野へ移住。畑に隣接する古民家をアトリエとし、Romという屋号で活動を開始。野菜を育てたり、土に近い暮らしを通じて、さらに季節と地域を意識した食の在り方を模索中。女の子と男の子の二児の母。
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(制作 * エチカ)