自然豊かな信州でネイチャーガイドをしながら2児の子育てに奮闘中の阿部菜々恵さん。今回は2人目の妊娠がわかって、どのようにお兄ちゃんになる息子と過ごしたのか、というお話です。
娘を妊娠していることがわかったのは、息子が3才の初夏のことでした。そのとき、まず一番に考えたことは、「おなかに赤ちゃんがきたことを息子にどう伝えよう…」ということでした。
甘えん坊の泣き虫な息子。そして、なんとそばにいる赤ちゃんが泣きだすと、自分もなんだか同調して泣いてしまうのです。そんな息子が、赤ちゃんと四六時中、同じ屋根の下で暮らせるのだろうか…いったいどんな日々になるのだろうか?などと妊娠初期は体調も不安定だったこともあり、いろいろと考えてしまいました。そして、どんな風に打ち明けたら(すっかり重大事件のよう…笑)、息子は赤ちゃんが私のおなかにいることを受け止めてくれるのかを考える日々でした。
4ヵ月ごろからようやく体調も赤ちゃんの様子もだいぶ落ち着いてきました。が、息子は夏休みに突入。夫は夏休みはほとんどないので、元気な4才児と夏の炎天下、水遊びや外遊びの日々はなかなか大変でした(笑)。けれど、時間がたっぷりとあったので、そのころから赤ちゃんや出産などをテーマにした絵本をみつけると、いつもの絵本にプラスして、息子に読み聞かせるようにしてみました。いきなり、現実を伝えるより、絵本から少しずつ理解していくのが息子にはあっているのでは、と思ったからです。どんな反応をするかしら、とドキドキすることもありましたが、意外にもほとんどの絵本を楽しくみてくれて、今、おなかの中にも、あなたのすぐそばにもいるんだよ〜と言いたくなったりしていました。
夏以降は息子の通うようちえんで、スタッフの方が出産されたり、同じ学年で大きなおなかのお母さんがいたりと、子どもたちの中でも命の誕生をみんなで自然に待ちわびて、喜び合う景色がありました。
そんな日々を経て、なんとなく、息子に赤ちゃんのことを言うタイミングは彼の誕生日をお祝いして、そのあと!と私の中で決めていました。息子の4才の誕生日をたっぷりお祝いし、いざ!告白の瞬間!!
「あのね…実は、伝えたいことがあって…」「お母さんのおなかの中に赤ちゃんがいるんだよ」とドキドキしながら伝えると、「うん、知ってたよ」と息子のあっさりした答え(笑)。なんと〜!!母はびっくりでした。え〜!!そうだったの?あんなにいろいろ悩んでいたのにすんなり受け入れて、というか、知っていたとは…。
絵本などやようちえんでのできごとで、なんとなく察していたのでしょうか?私と夫の会話をどこかで聞いていたのかな。小さな息子でもいろいろと感じるところがあったのでしょうか。
そして、息子におなかの赤ちゃんの名前をみみちゃんと名付けたこと、春に産まれてくることを伝え、その日から少しずつエコー写真などをみせたりしました。お風呂に入るときはぐるぐるとおなかの中の娘はよく動いたので、息子に触ってもらうと、「動いた!今、動いたねぇ!」と喜んで、「みみちゃーん!おにいちゃんだよ〜♪」などと言ってくれたりして、この甘えん坊さんがお兄ちゃんになるんだなぁと、思わず涙ぐみそうになったり…。

息子に赤ちゃんがおなかにいることを伝えた日から、息子は「産まれてきたら4人でこうやって寝るんだ〜。ぼくが、隣ね!」と絵を描いたり、何度もおなかに向かってしゃべりかけたり、「みみちゃん、早く産まれてきてね。」なんてやっと書けるようになってきた文字でメッセージを書いたり、娘がおなかにいること、産まれてきてくれることをとても楽しみに過ごしていました。
そして、実際産まれてから息子は娘をたくさん可愛がってくれ、授乳をしたり、絵本を読み聞かせたり、いつも一緒に遊んで、よいこともいけないことも娘にいっぱい教えてくれて(涙)、喧嘩も最近はよくするけれど、お兄ちゃん大好きのやんちゃな女の子に娘は育っています。2人の子育ては1人より大変なこともあるけれど、2人が並んで笑顔でいる姿をみると、そんなことは全部吹っ飛ぶくらい幸せな気持ちをしばしばもらっています。これから2人がどんな成長をしていくのかわからないけれど、2つの命を授かれて、こうして育てることができて、とても幸せです。ありがとう。


PROFILE
阿部菜々恵このライターの記事一覧
ネイチャーガイド/保育士/野草ハーバリスト
道草を愛でること、食べることがライフワーク。軽井沢周辺の森のガイド、森のようちえんの講師などを行う。子育てや暮らしの中で美味しく、楽しい自然の楽しみ方を提案。野草茶、野草料理などのワークショップなども行う。下見と味見は2016年生まれの食いしん坊な息子と2021年生まれの娘と共に。
(制作 * エチカ)