先輩パパとママに聞きました!vol.154

加治枝里子さん「海の音と森の光〜長女と双子の青空子育て」(前編)

2023/10/19
加治枝里子さん「海の音と森の光〜長女と双子の青空子... 加治枝里子さん「海の音と森の光〜長女と双子の青空子...

現在小学1年生の長女キノちゃんと2才の双子と共に、家族5人で鎌倉に暮らす写真家の加治枝里子さん。国内外を撮影で飛び回りながらも、自分たちらしい家族の在り方を求めて、海と山に囲まれた町で充実した日々を送られています。そんな加治さんへのインタビューの前編では、初めての妊娠〜仕事と子育ての両立〜青空自主保育との出会い〜鎌倉への移住についてお話を伺いました。

——アメリカの美術大学で写真を学び、パリで独立後、東京そして現在は鎌倉に拠点を移し、旅やライフスタイルに関する雑誌や広告などのお仕事を続ける加治さん。ご結婚は今から10年前ということですが…。

加治さん
日本の離島を紹介する仕事で一緒に撮影の旅をしていたアートディレクターの夫と結婚しました。それからも国内や世界中を飛び回って忙しくしていたのですが、2年ほどして長女キノを妊娠しました。もっと世界を回ってバリバリ働きたいと思っていたところだったので、とてもうれしかった反面、仕事をどうしようかと悩みましたね。

赤ちゃんだったころのキノちゃんと加治さん

——ここにキノちゃんが赤ちゃんだった頃のパスポートがありますが、渡航記録のスタンプがいっぱいですね!

加治さん
そうなんです。2才の時点で、すでに15ヵ国に行っていました。最初は子どもができたら今までのように海外ロケには行けないし、仕事もゼロになってしまうかもしれないと思っていたのですが、ありがたいことに、赤ちゃん同伴で家族旅行をしながら風景撮影をするといった自由度の高い仕事の依頼が来るようになり、インドやヨーロッパなど世界各地にキノを連れて撮影に出かけました。母娘2人だけのときもあれば、家族にも協力してもらい、夫の長期休みに合わせたり、母や弟に同行してもらったこともありましたね。現地ではキノをおんぶしながら撮影したり、スタッフの方がキノの面倒を見てくれたこともありました。以前のような頻度では飛び回れなくなったものの、低空飛行ながら状況に合わせて柔軟に撮影を続けることができています。周りに支えられ、貴重な経験をさせてもらっています。

生後7ヵ月のキノと家族でアイスランドを一周。まるでどこかの惑星のようだった。生後7ヵ月のキノと家族でアイスランドを一周。まるでどこかの惑星のようだった。

——加治さんご自身も子どもの頃から海外生活の経験を長くお持ちですが、妊娠や出産に関して影響を受けたことはありますか?

加治さん
ドイツの助産院で出産した友人から、出産後たった数時間で帰宅したという話を聞き、日本の産院は恵まれているなと思いました。その友人から水中出産やフリースタイルの出産をオススメされたことをきっかけに、「フリースタイル出産」に興味を持ったんです。たまたまそのとき住んでいた東京の友人たちが通っていた中目黒にある産院がフリースタイルを実践していて、自由な姿勢で心も体もリラックスして産めそうだなと思い、長女キノのときは私もそこで出産をしました。和室にロープがぶら下がっていて、それに掴まりながら、バランスボールに座ってストレッチをすると、陣痛の痛みが和らぎましたよ。また、妊娠中に読んでいた本が、出産に対してとてもポジティブになれてよかったですね。その本のおかげで陣痛が来てすごく痛くても、「楽しい、楽しい」と暗示をかけるように笑ってお産をしました(笑)。好きな音楽や香りを用意して、夫にも立ち会ってもらい、畳の上にすごい勢いでキノが産まれてきたのを覚えています。おもしろい体験でしたね。

フリースタイル出産自然光がやさしく入る和室でのバランスボールを使ったフリースタイル出産。

——キノちゃんは、最初は東京の保育園に預けていたそうですが…。

加治さん
都内の激戦区だったので、いわゆる保活に奔走しました。どうにか保育園に入ることはできて安堵したものの、どこかでモヤモヤした気持ちが募っていて。都心ではなく、もっと自然の中で子育てをしたいという思いも日に日に増して、理想の場所を探し求めていたんです。そんなとき、たまたま、自主保育に入っていた友人と出会いました。「自主保育」という言葉もそのときに初めて知って、園舎を持たずに雨の日も風の日も自然の中で外あそびをしているという話を聞いて驚きました。その友人に「自主保育に興味があるなら鎌倉がアツイらしいよ」と教えてもらい、「鎌倉」「自主保育」と検索をして、いま娘たちが通う青空自主保育にたどり着きました。たまたま翌日に体験会があるというのですぐに出かけて行ったんです。これまで30ヵ所以上の保育園や幼稚園を見学してもピンとこなかったのに、「これだ!」と雷に打たれたような衝撃を受けて、すぐに鎌倉への引っ越しを決めました。

自然と双子ちゃん

——鎌倉への引っ越しは、自主保育との出会いが先だったんですね。

加治さん
そうなんです。見学をしてから3ヵ月後には、青空自主保育が拠点にしている広大な緑地のそばに家を探して引っ越しをしました。下の双子は生まれてすぐからお世話になっていて、この青空自主保育との出会いがなかったら、双子は育てられなかったかもと思うくらい感謝してもしきれません。助け合いながら賑やかに子育てができたらいいなと思っていたので、まさに理想としていた環境でした。昔の村のように他人の子にも授乳をしている人までいて、さすがにそれには驚きましたね(笑)。

海で遊んでいます

——最近、自主保育の存在をよく耳にするようになりました。興味を持っているママやパパも多いと思うのですが、赤ちゃん時代から実際に赤ちゃんを通わせていていかがですか?

加治さん
子どもの世界になるべく手出しをしない「見守り保育」で、自主性が尊重されています。小さい頃から土や草花に触れ、風の匂いを感じながら五感を常にフル回転して、海や山で思いっきり遊んでのびのびと過ごしています。失敗も体験し、自ら学ぶ…心も体もしなやかに逞しく成長していく姿を間近で見ることができ、感動しています。専任の保育者と共に保護者も交代当番制で預け合うので、親同士の信頼関係がとても重要になってくるんですね。よい環境を自らの手で作っていく。日々試行錯誤する中で私自身も学ぶことが多く、常に刺激を受けています。この春、小学生になった長女キノは、自分がいかに恵まれた環境にいたかを痛感しているようで、「最高に楽しかったな!ママ、選んでくれて本当にありがとう」と言ってくれました。あっという間に過ぎてしまうこの幼少期を、かけがえのない仲間と豊かな時間を過ごしたい。仕事をセーブしてでも、勇気を出して飛び込んで本当によかったなと思っています。

海や山で思いっきり遊んでのびのびと過ごしています
加治枝里子

PROFILE

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2006年にパリを拠点に写真家として独立。2010年から活動の場を東京に移し、『TRANSIT』をはじめとした旅雑誌などで活動。定期的に写真展を開催しフィルムでの作品制作を続ける。幼少期にニューヨーク州北部の湖や森に囲まれ育った影響から、2019年夏に鎌倉に移住。園舎のない「青空自主保育」で毎日、海や山で子どもたちと日々を過ごす。長女と双子の3児の母。
@erikokaji
@dendenmushi_kamakura

(制作 * エチカ)

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