前編の続き

美沙
妹の鈴（りん）ちゃんができたときはどうだった？ちょうどケータリングのイベント期間中で、体調が悪くて病院に行って妊娠が分かったんだよ。その瞬間、何となく「女の子かな」って思ったのを覚えてる。

隼
僕は女の子って聞いたとき、すぐに結婚式の想像をしちゃった。「何、歌おうかな？」って（笑）。僕自身が男兄弟で育ったこともあるから、小さな女の子は本当に未知の世界だったな、今もそうだけど。

美沙
私は子どもが男でも女でもそんなに違いはなかった。ただ、個性の違いはおなかの中にいるときから感じてたかな。謡くんを妊娠中は電車通勤がつらかったんだけど、謡くんは電車の振動が気持ち良かったのか楽しかったのか、よくおなかの中で縦にクルッと回ってた。それで私も少し気が楽になったり。逆に、鈴ちゃんのときは全く動かなかった。

隼
これ（トップの写真）は謡と鈴のご対面の写真。小学４年生と小学２年生になった今では、個性の違いが分かりやすく出てるけど、おなかの中にいるときの動きまで違うのは今聞いて初めて知ったよ。母の特権だなー。出産といえば、謡の産院の先生はすごい自由なスタイルの人で、分娩室で母親が頑張っている姿を父親も一緒に見るべきって、「今よ、今、今！写真撮りなよ！」って急かされた。へその緒も切らせてもらって、一刀目は滑っちゃったけど（笑）、いい思い出だな。だから、違う産院に通っていたけど、鈴のときのも「よし！」って気合い入れて一眼レフをぶら下げて行ったら、先生に「何カメラ持ってきてるの！撮影なんて絶対禁止！」って怒られた（笑）。

美沙
ちょうど妊婦さんがいっぱいで、呻き声がいろんなところから聞こえてたからね。対応に忙しかったんだよ。隼さんが「へその緒は……」って小さな声で先生に尋ねていたのを覚えてるよ（笑）。

妹の出産時に撮影が出来なかったことに文句を言うつもりは決してありません。第一子の誕生の瞬間、と言うこともあり、「誕生」と聞くと、妻が分娩台の棒を強く握るこの光景が一番に浮かびます。改めて、産んでくれてありがとうと思います（隼）。

隼
こうして話していてもどこか冷静に思い出せるのは、子どもがいることが美沙さんとの生活には自然すぎるからかな。僕は念願の父親になったけど、変わったと思う？よく周りからは「堀出家には子どもが３人いる」と言われるけど……。

美沙
自分の自由なところを残して、しっかりお父さんをやってる。「精神的な自由がある父親」かな。私自身は父親が忙しくてあまり遊んでもらえなかったから、隼さんが遊んでくれるお父さんで良かったって思う。きっと子どもも将来、「お父さんは子育てをたくさんしてくれたな。楽しかったな」って思うんじゃないかな。父親がゆとりある子育てをしている分、母親の私は真面目にしつけをきちんとすることが責任だよ。

隼
そういえば、ついこの間、謡に「お父さんってお仕事してる人だったの？」って言われてびっくりした（笑）。

先述した通り、「出産」「赤ちゃんの子育て」というのは今から8〜10年前の話になってしまいます。が、「NICE TO MEET YOU」の気持ちは今ももちろん変わりません。その当時の話や、現在とリンクするエピソードなどを紹介していきます。よろしくお願いします（隼、美沙）。

PROFILE

holiday 堀出隼、美沙このライターの記事一覧

アートディレクターの堀出隼と料理家の堀出美沙から成るクリエイティブユニット。「make everyday happy（毎日を楽しく）」をコンセプトに、アート＆フードディレクション、ケータリング、空間演出、ディスプレイ、イベント企画、オリジナルグッズプロデュースなど「食とデザインとアート」を中心に活動、湘南・葉山に食堂「HOLIZONTAL」も営業。また子どものアートを募集・展示・評価する「holidaymuseum」をオンラインで開催中。2009年生まれの謡くんと2012年生まれの鈴ちゃんの子育て真っ只中。
http://we-are-holiday.com/
instagram @weareholiday

(制作 * エチカ)