（二人でアルバムをめくりながら）

美沙
お兄ちゃんの謡（うた）くんは、予定日ぴったりに生まれたんだよね。律儀な子。私は仕事を妊娠８ヵ月で辞めていて、毎日家にいる生活に戸惑っていた頃。妊娠のトラブルもなくて、羊水が多くておなかが大きくなるタイプで、早く生まれて来ないかなーって思ってた。

隼
僕は、フリーランスで家で仕事をしていて、産院も歩いて近くだったから、出産当日のことも二人でとくに打ち合わせることもなく……。妊娠中はよく一緒に健診に行ったり、父親教室に参加したりしたよね。

現在は湘南の葉山に住居とアトリエ・店舗を構えていますが、第一子出産時は東京の中野にて、取り壊すまでの間、内装など自由にいじって良いよという、いわゆる「取り壊し物件」でDIYの研究に励む生活を行なっていました。楽しかったなー中野生活！（隼）

隼
そういえば、僕の中では美沙さんとは「計画的できちゃった結婚」だった。とにかく「父親になりたい！」って思っていて。知り合って３ヵ月で入籍したときは、おなかに赤ちゃんがいた。

美沙
出会ったときから、とにかく「子どもが欲しい」ってずっと言ってたよね。何でだったの？

隼
今もそうだけど、自分があまりにも子どもだったから、父親になれば何か変わるんじゃないかって……。だから、出会ってすぐに「母親になってくれませんか」的なことを言ったんだよね。

美沙
私は母親になりたいとは全く思ってなかった。仕事を任されていた時期で、恋愛とか他のことに心を乱されるのが嫌だった。でも逆に恋愛期間がなくて、すぐに子どもができて結婚したから、すんなり受け入れられたのかもしれない。そのスピード感が良かったのかも。

隼
自然な流れだったよね。子どもができたと分かってからは、思っていたよりも冷静な自分。美沙さんのおなかが大きくなってきても、ハラハラドキドキもせず、冷静に出産当日を迎えた感じ。頑張って働かなきゃって思ったくらい。

美沙
私は、「お父さんが働いて、お母さんが育児して」じゃなくてもいいかなと思っていたよ。謡くんが１才のときにholidayとしてケータリングの仕事を始めたんだよね。親からは３年間は仕事をしないで子どもといて欲しい、と言われたけど……。

隼
保育園には入れずに、自分たちでできる範囲で子どもを見てた。ケータリングの会場にも抱っこして行って、「よろしくお願いします！」とか。今までの自分たちの姿勢は変えずに、自然に、クールに。僕はフランスで仕事をしていた経験もあってか、固定概念にとらわれたくなくて、子どもを仕事のケータリングの場にも連れて行くし、ミーティングにも連れて行く。もちろん、先方の会社の承諾はきちんと事前に得てからだけど。そんな家族がもっと社会に増えればいいなと思うよ。

後編へ続く

本当にいろいろな仕事の場に子どもたちを同行させました。当初は致し方ない面が強かったのですが、さまざまな業種の大人たちから本当にたくさんのことを学べる絶好の機会なので、どんどん率先して連れて行くようになりました。今では「子どもたち絶対連れてきてね」と、リクエストを受けるまでの成長を遂げました（美沙）。

PROFILE

holiday 堀出隼、美沙このライターの記事一覧

アートディレクターの堀出隼と料理家の堀出美沙から成るクリエイティブユニット。「make everyday happy（毎日を楽しく）」をコンセプトに、アート＆フードディレクション、ケータリング、空間演出、ディスプレイ、イベント企画、オリジナルグッズプロデュースなど「食とデザインとアート」を中心に活動、湘南・葉山に食堂「HOLIZONTAL」も営業。また子どものアートを募集・展示・評価する「holidaymuseum」をオンラインで開催中。2009年生まれの謡くんと2012年生まれの鈴ちゃんの子育て真っ只中。
http://we-are-holiday.com/
instagram @weareholiday

(制作 * エチカ)