ぬいぐるみ作家「サリークシー」として活動するやまがたゆりかさんの子育てエピソード。第4回のテーマは「手作り」です。
ーーやまがたさんは今、ぬいぐるみ作家としてご活動されていますが、昔からものづくりや裁縫がお好きだったのですか?
やまがた
小さい頃からものづくりは好きでした。小学生の頃から廃油を使って石鹸を作ったり、フェルトで小物を作ったりと、ひとりで黙々と作業している子どもでした。幼少期に暮らしていた家の隣に手芸屋さんがあり、よく遊びに行ってフェルトやビーズ、毛糸など作品を作るための素材の美しさに魅せられ、自分でも作ってみたいと思うようになりました。
当時、ミシンが欲しかったのですが、買ってもらえなかったことがずっと心残りだったんですよね。それが、子どもが生まれてから、“ミシンを使ってものづくりがしたかった”ということをふいに思い出し、ミシンを購入したことをきっかけに、本格的に子どものための、ものづくりがスタートしました。
ーーこれまでお子さんのためにどんなものを作ってきましたか?
やまがた
上の子が2才、下の子が6ヵ月くらいの頃に帽子を編んだことがものづくりの始まりでした。
そのあと、ミシンを使ってワンピースを作り、フリル付きのブルマやブラウスなども作るようになりました。子どもが少し大きくなってきてからは、バッグやぬいぐるみなどの小物も作るようになりました。
ーー「サリークシー」でも販売しているぬいぐるみを作ることになったきっかけを教えてください。
やまがた
ある日、子ども用にマフラーを作ろうと思って、モコモコの生地を購入したんです。ただ、その生地を間違えて多く買ってしまって。余った生地を何かに活用できないかと思い、素材のモコモコ感を活かしてぬいぐるみを作ろうと思ったのがきっかけです。
デザインは自分がクマ好きだったことと、布の色が茶色だったことから、思いつきでクマにすることに。余った布だったので、気楽に楽しみながら作ったところ、ちょっととぼけたクマができあがりました。
ーー思いついてから、実際にぬいぐるみが完成するまでにどのくらいかかりましたか?
やまがた
試行錯誤はありましたが、2〜3日で試作が完成しました。
ーーそこからお子さんのためのぬいぐるみ作りがスタートしたのですね!こだわった点を教えてください。
やまがた
素材の肌触りと大きさにはこだわりました。
子どもが触っていて気持ちいいと思える素材、子どもが抱っこしやすくて、外に連れていきやすい大きさになるようにこだわりました。あと、ぬいぐるみの持つあたたかさややわらかさを大切にしたかったので、目や鼻にプラスチックを使用せず、刺繍で目鼻を作るようにもしました。
私は、小さな子どもにとっての最初のお友達はぬいぐるみだと思っています。
だから、ただ鑑賞するのではなく、子どもの遊びの一環になるようなぬいぐるみにしたいと思い、着せ替えの洋服も作りました。ぬいぐるみも子どもたち自身と同じように服を着ていて、脱ぐこともできるようにしたかったんです。
ーー完成したぬいぐるみを初めて見せたときのお子さんの反応を教えてください!
やまがた
「わー!!」という感嘆の声を上げ、こちらが想像していたよりもずっと喜んでくれました。そして、ぬいぐるみを嬉しそうに抱きしめてくれた姿が今も心に残っています。このときの子どもの反応が、私のものづくりの原動力となっているように思います。
ーーお子さんはぬいぐるみをどんな風に大切にしていますか?
やまがた
上の子がぬいぐるみに「スズギト」という名前をつけ、2人とも遊ぶときも寝るときもいつも一緒に、肌身離さず持ち歩いてくれています。「この子は2つとなりの駅のサリークシーというところから来たんだよ」と子どもが教えてくれたので、この「サリークシー」というスズギトの故郷の名を、後に自身のブランド名にしました。
ーー自分の手作りのものを大切にされているお子さんの様子を見て、どのようなお気持ちですか?
やまがた
自分が作ったぬいぐるみが、子どもならではの独特な世界の住人になっていることが、とても嬉しいなと思います。作ってきたものたちへ込めた愛情を、こうして娘たちがちゃんと受け取って、感じてくれていることに、心から幸せを感じます。
PROFILE
やまがたゆりかこのライターの記事一覧
2011年2月12日生まれと、2012年9月25日生まれの2人の女の子のママ。ぬいぐるみ作家「サリークシー」として活動。
https://www.instagram.com/sariikusii/
(制作 * エチカ)