赤ちゃんとの暮らしは、当時は毎日あっという間なのに、振り返るとシンプルに赤ちゃんとだけ向き合っていた、ゆったりとした穏やかな時間として記憶に残っています。

息子はちょうど真冬、１月生まれだったこともあり、外出しやすくなってきたタイミングには桜が咲いて、親子でおでかけするには絶好の季節。体のサイズもぐんぐんと伸びる時期で、お洋服選びが楽しかったです。

わたしは赤ちゃんが生まれるまでは、イベントや行事に特に積極的なほうではありませんでした。招かれるのは好きでしたが、自分から企画するほどではありません。クリスマスやお祝い事があっても、ケーキを買ってくるって程度。それが、妊娠出産で一変。さまざまなイベント事を楽しむようになりました。

等身大アルバム作ろうと思って撮った、ハーフバースデーの写真。

まずは出産の記念に、節目に長く使えるものを作ることにしました。私は和服の帯、夫はスーツを新調。これから、息子の七五三や式典でも、生まれたときのことを思い出しながら着られるといいなという思いでした。

これらの衣装は、お宮参りで早速活躍しました。参拝は、妊娠前からよく夫婦で散歩がてら立ち寄っていた神社にしようと決めていました。赤ちゃんのおでこに赤い印をつけられた息子をみて、うちの子はなんておでこの“赤いちょん”が似合う子なんだろう！と家族で大絶賛しました。ずっと夫婦でしか来たことがなかった神社に、家族で集まって息子の成長祈願をできたことは嬉しかったです。

“赤いちょん”の似合うお宮参り。

夏には「おうちプール」が楽しかった思い出です。真夏の暑い日にベランダで行ったのですが、後日母に写真を見せると「まだ腰も据わってないのに、楽しそうなのはあなただね」と言われました。子と一緒に体験したいことがありすぎて、前のめりになりがちな新米ママでした。

クリスマスは、息子はまだ11ヵ月。それでもプレゼントを喜んでくれて、もらうよりあげるほうが幸せな気持ちになる！！と、思った自分にびっくりしました。

はじめての水遊び。

こんなふうに１年はあっという間に過ぎていきました。イベントごとはただただかわいくて面白くて、だいたい笑いながら写真や動画を撮っていました。もちろんなんでもない日も大切な１日。日々成長していく息子を育てることに必死な部分が強くて、かわいいという気持ちと同じくらい悩んだり、さまざまな感情が自分の中を巡りました（今でも！）。愛おしいと思う瞬間も撮りたいですし、なんでこんな時間に泣きやまないんだ！と、自分が泣きたくなるような瞬間もカメラを持つことで冷静になれたりするので、カメラは息子とわたしの育児日記のような役目もあったりします。

まだPCを横で広げて、仕事の撮影ができたころ。

記念日のことって、インパクトがあるので、記憶としても残りやすいと思うのですが、写真を撮ることで、愛おしくて慌ただしくて何気ない日常を、いつか「ああ、こんな日々もあったよね」と芋づる式に思い出せるよう残しておきたいです。そして、いつか息子が我が家から巣立つときにでも、これまでの記録をまとめて、プレゼントできたらいいなと思っています。

１才まで毎月撮った月齢フォト。

写真好きの学生時代から、仕事になり、徐々に日常の写真をカメラで撮るということはなくなってきてしまっていましたが、息子が生まれて、毎日のようにカメラで写真を撮るようになりました。真新しい発見ばかりの毎日に“思わず撮りたくなる” がいっぱいで、若かりし頃のようです。

PROFILE

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1985年埼玉県所沢市生まれ。活発で男の子のような幼少期を過ごす。高校生まではスポーツ少女だった一方でものつくりが好きだった母の影響から、絵画や造形、映画に興味を持つようになる。大学は日本大学芸術学部写真学科に進学。卒業後、広告代理店制作部勤務。フォトグラファーを志し、広告フォトグラファーアシスタントを経験。2013年からの２年間はバンコクを拠点とし活動。2015年からは東京を拠点とし、人物写真、料理写真、ウェディングフォト、ファミリーポートレートなど女性らしいあたたかみのある写真を得意として幅広く活動中。
https://www.chisatoyamagami.com/

(制作 * エチカ)