ドイツ人の夫と愛娘・スーちゃんと3人で暮らす酒井咲帆さんによる、出産&子育てコラム。
写真館を営んでいることもあり「子どもの上手な撮影の仕方を教えてください。」とよく聞かれる。
その度に“上手”って何だろうと真剣に考える。そんな撮影の仕方あるのかなぁと思いながら闇雲にInstagramを拝見していたら、下手な人なんていないんじゃないかと。
Instagramにアップするくらいだから、「伝えたい!」という思いのもとに撮影されていることが多い。そういう気持ちがあれば、多少ピントがブレてても、ボケてても本人がよければそれでいい。
もしかしたら「上手に」っていうのは、自分が納得することに近い。そして自分が納得できるということの中に、相手とも共感できる、とか、相手が喜んでくれる、とかそういうのも含まれる気がする。
そう考えると上手な撮り方っていうのは、自分が撮影するときに生まれる相手への姿勢で大半は決まってくるのではないかと思えたりする。多少のテクニックもあるだろうけど、まずは撮影そのものを楽しむこと。
ということで、私が大事にしている「子どもの上手な撮影の仕方」を書き出してみました。
【事前準備】
- ・子どもが心地よくなる環境を用意する
【心の持ちかた】
- ・子どもを信頼する
- ・子どもに敬意を払う
【実践】
- ・シャッタースピード優先で1/250以上を心がけて撮影する
- ・カメラに集中しすぎず、ファインダーから顔を出したりして目を合わせてみる
- ・普段は見ないような視点で撮ってみる(しゃがむ、飛ぶ、寝そべる、近づく、遠ざかる)
- ・子どもがカメラに向かってくるような呼びかけをする(カメラに向かってヨーイどん!と走ってもらうなど)
- ・(子どもがカメラを触りたがったら)子どもにも撮ってもらう。ちゃんと教えれば難しいカメラでも撮れます。
カメラが重たかったら、使い切りカメラに変えてみるとか、とにかくさっと取り出せるような小さなデジカメを用意するとかでもいいかな。
高度なテクニックになると、撮影しながら鬼ごっこをしたり(撮影されたら負けというルールを作って追いかけ回す)、絵本を使って「これな~んだ。」とクイズを出しながら撮影したりと、子どもは撮影していることなんて忘れてしまってその時間と空気が変わったりする。そんなときこそシャッターを。
そして撮影している本人(カメラマン)が思わず「楽しかった~。」と言葉にしたとき、その写真はきっと満足できるものになっているはず。
PROFILE
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写真家・ALBUS代表。2009年まで九州大学USI子どもプロジェクトの一員として「子どもの感性」を育める居場所づくりを行う。09年に写真屋『ALBUS(株式会社アルバス)』を福岡市中央区警固に設立し、写真現像・プリント・撮影・企画などを行いながら、写真屋とは何かを日々実践中。2015年にスー(娘)が誕生、ドイツ人の夫と3人暮らし。著書『いつかいた場所』(2013)/展覧会『神さまはどこ?』太宰府天満宮(2014)、『いつかいた場所』水戸芸術館(2011)、福岡県立美術館(2014)
http://www.albus.in/
(制作 * エチカ)