先輩パパとママの毎日コラムvol.377

まだまだ新米おかあさん「子育てを通じて知った、自分の町の楽しさ、あたたかさ」

2020/12/14
まだまだ新米おかあさん「子育てを通じて知った、自分... まだまだ新米おかあさん「子育てを通じて知った、自分...

子どもができてから地元が好きになったというライターの藤沢あかりさん。どういう変化があったのでしょうか。

結婚を機に、大阪から東京へ出てきたわたし。東京に住んでいるとはいえ、おしゃれなエリアとは程遠く、さらに平日は、当時勤めていた編集部と自宅の往復のみ。遊ぶのも食事に行くのも、地元ではなく都心の華やかな場所ばかりを選んでいました。となると、自分の住む町に愛着はゼロ。知り合いも皆無だし、おしゃれなカフェも雑貨屋もない。東京のこんな端っこ…と、ちょっと地元を見下すような気持ちすらありました。

そんなわたしが、今ではすっかり地元ラブ。この町を離れるなんて考えられないし、顔なじみの店や場所、友人も増えました。

さて、その間にはなにがあったのかと言いますと。もちろん、出産&子育てです。

たかいたかい

赤ちゃんを連れて歩くようになって、びっくりしたことがあります。それは、近所を歩いているだけで、たくさんの人に声をかけられるということ。

「あら、何ヵ月?」「ま〜!かわいい。お散歩?気をつけてね」「お母さん、荷物いっぱい持ってえらいね、がんばってね」

家から駅までの数分までの間ですら、大げさではなく何人もの人が声をかけてくれます。抱っこ紐をのぞき込んで、指をにぎにぎ触る人がいるかと思えば、「いいもの見せてくださってありがとう」と、腰の曲がったおばあちゃんに手を合わされたこともありました。

それまでは、ひとりで歩いているときに声をかけてくるのはキャッチくらいでしたから、新宿や渋谷のど真ん中でもない下町の住宅街で、道行く人が次々に話しかけてくる現象に、最初はかなりとまどいました。

抱っこ紐の中を上から覗いた様子って、赤子萌えのポイントのひとつですよね〜。抱っこ紐の中を上から覗いた様子って、赤子萌えのポイントのひとつですよね〜。

商店街のお店の人たちとも、顔なじみになるスピードが全然違います。子連れならおまけをしてくれたり、お菓子をくれたりする店が多いことも知りました。よく行くスーパーのおじちゃんは、子どもの成長を目を細めて喜んでくれるし、行くたびに働く母であるわたしのこともねぎらってくれます。買い物ひとつも、人の温度を感じる機会が多くなりました。

こうなってくると、だんだん自分の住む町に愛着がわいてきます。そこに輪をかけて、この町が好きだと思いはじめたのは、やっぱりママ友の存在です。

抱っこ紐もベビーカーも、即寝。おろしたあとも、こうやってずっと寝続ける子でした。(が、下の子は正反対、絶対寝ないタイプでした)抱っこ紐もベビーカーも、即寝。おろしたあとも、こうやってずっと寝続ける子でした(が、下の子は正反対、絶対寝ないタイプでした)。

ママ友というと、陰口、マウンティング、派閥…みたいなネガティブ連想ゲームしかできず、「子どもつながりより、自分の趣味や話があう人がいいし」なんて斜に構えていたわたしも、子どもが成長するにしたがい、自然とママ友の存在が増えていきました。もちろん、みんないい人ばかり。

スーパーやコンビニ、ファミレスに公園。今ではちょっと歩くだけで、行く先々で誰かに会います。すっぴんでも知り合いなんていないし〜、と平気で町を歩けたころに比べたら、誰が見ているかわからないから下手なことはできません。

でも、困ったことや知りたいことがあれば誰かが教えてくれるし、「○○ちゃん好きでしょ、食べさせてあげてね」と果物を届けてくれるおばちゃんがいたり、「なにかあったら預かるよ」と声をかけてくれる友達がいたりというのは、ほんとうに心強いものです。隣に住む人の顔も知らない希薄な人間関係でも良しとしていたわたしでしたが、こうやって町ぐるみで見守られながら子育てをしていく良さを、ひしひし感じています。

笑顔のお子さん

住む場所や暮らしかた、働きかたが多様性を増す今、縁もゆかりもない土地で子育てをスタートする人も多いかもしれません。でも、子育てを通じて生まれる縁は、決して面倒くさいものでも、漫画やドラマで見るようなややこしいものでもありませんでした。子育てをしていなかったら、わたしは自分の住む町の楽しさにも温かさにも、気づけていなかったはずです。

さて、わたしの子どもも8才と3才。すっかり「赤ちゃん」とは言いがたい年齢になってしまいました。もうすでに懐かしい、あの柔らかさと甘いにおい。となると、途端に道を歩いている自分より若いお母さんたちに、声をかけたくなっちゃうんですよね。

「何ヵ月ですか?」「かわいいですね」わたしが、そうやって声をかけるようになる日も、そう遠くない気がしています。

藤沢あかり

PROFILE

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編集者、ライター。衣食住や子育てなど暮らしまわりを中心に執筆。主流・傍流にこだわらない視点で丁寧に取材し、分かりやすい言葉を使って伝えることがモットー。2012年、2017年、どちらも夏生まれの2児の母。
https://www.instagram.com/akari_kd/

(制作 * エチカ)

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